トリエチレンジアミン

トリエチレンジアミンとは

トリエチレンジアミン (英: Triethylenediamine) とは、白色結晶性粉末の3級アミンです。

IUPAC名は1,4-ジアザビシクロ [2,2,2] オクタン (英: 1,4-Diazabicyclo [2.2.2] octane) 、別名として1,4-エチレンピペラジン (英: 1,4-Ethylenepiperazine) やDABCO、TEDAなどが挙げられます。

DABCOは、エアプロダクツ&ケミカルズ社の登録商標 (第551479号) です。なお、トリエチレンジアミンは、主な国内法規には該当しません。

トリエチレンジアミンの使用用途

1. ポリウレタンフォームの発泡触媒

トリエチレンジアミンは、ポリウレタン化反応の触媒として主に利用されています。結晶のままあるいはジプロビレングリコールなどで溶解して、重付加反応と泡化反応をバランスよく進行させます。軟質、硬質、半硬質、ウレタン塗料、ウレタンエラストマーなどが製造可能です。

2. 低分子有機合成反応

トリエチレンジアミンは、嵩高い塩基として低分子有機合成化学反応に用いられます。有名な使用例として、森田・ベイリス・ヒルマン反応が挙げられます。トリエチレンジアミンは、同反応における求核触媒です。

アルデヒドまたはイミンと電子吸引基が置換したアルケンをトリエチレンジアミン存在下反応させると、新たな炭素‐炭素結合が形成できます。反応は、マイケルアルドール様の機構で進行します。

そのほか、金属錯塩の形成や脱ハロゲン化剤、シアノエチル化触媒、エステル交換触媒、エポキシ樹脂の硬化触媒として用いられています。

トリエチレンジアミンの性質

化学式はC6H12N2で表され、分子量は112.17です。CAS登録番号は 280-57-9です。

融点は158 °C、沸点は174 °Cです。吸湿性と昇華性を持ち、常温で固体として存在します。アンモニア様の臭いを持つ化合物で、水やエタノール、アセトン、クロロホルムによく溶けます。

酸性・アルカリ性の程度を表すpHは10.8、酸解離定数 (pKa) は3.0と8.6です。酸解離定数とは、酸の強さを定量的に表すための指標の1つです。pKa が小さいほど強い酸であることを示します。

塩基性は他の3級アミンと同等ですが、固定された構造により非共有電子対がむき出しになっているため、高い求核性を有します。

トリエチレンジアミンのその他情報

1. トリエチレンジアミンの製造法

ゼオライトを触媒としたアミン化合物の環化により合成されています。アミン化合物としては、エチレンジアミンモノエタノールアミンジエタノールアミンジエチレントリアミンなどが使用できます。

2. 取り扱い及び保管上の注意

取り扱う場合の対策
強酸化剤との接触は避けてください。呼吸器への刺激のおそれがあります。局所排気装置であるドラフトチャンバー内で使用してください。使用の際は、個人用保護具を着用します。

火災の場合
熱分解により、腐食性で有毒なガスや蒸気を放出するおそれがあります。消火には水噴霧や泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、消化砂などを使用します。

保管する場合
トリエチレンジアミンは、光により変質する可能性があります。保管する際は、ポリプロピレンまたはポリエチレン製容器に入れて密閉します。直射日光を避け、換気がよく、なるべく涼しい場所に施錠して保管してください。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/280-57-9.html
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0104-2571JGHEJP.pdf
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/1_4-Diazabicyclo_2.2.2_octane
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/49/10/49_10_947/_pdf/-char/ja

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