テレフタル酸ジメチル

テレフタル酸ジメチルとは

テレフタル酸ジメチル (英: Dimethyl terephthalate) とは、白色結晶または結晶性粉末の有機化合物です。

IUPAC名はDimethyl benzene-1,4-dicarboxylate、別名としてテレフタル酸メチルエステルやジメチルテレフタラート、1,4-ベンゼンジカルボン酸ジメチルエステル (英: 1,4-Benzenedicarboxylic acid dimethyl ester) 、DMTなどが挙げられます。

テレフタル酸ジメチルの使用用途

テレフタル酸ジメチルは、PET (ポリエチレンテレフタレート) 樹脂やPTT (ポリトリメチレンテレフタレート) 樹脂、PBT (ポリブチレンテレフタレート) 樹脂の原料として用いられています。

PETは、ポリエステル繊維やポリエステルフィルム、ペットボトルなど幅広く使用されています。PTTは、伸縮性や形状安定性に優れ、やわらかい肌触りなどの特徴を持つ植物由来の繊維です。カーペットやカーシートなどに使用されています。

PBTは、成形性、電気特性、難燃性、着色性などに優れており、エンジニアリングプラスチックとして自動車部品や電気・電子部品に利用可能です。

テレフタル酸ジメチルの性質

化学式はC10H10O4で表され、分子量は194.18です。CAS登録番号は120-61-6です。

融点は140~142 °C、沸点は288 °Cで、昇華性を持ち、常温で固体です。無臭の化合物で、アセトンに溶けやすく、エーテルやエタノールにやや溶け、水にはほとんど溶けません。

テレフタル酸ジメチルのその他情報

1. テレフタル酸ジメチルの製造法

テレフタル酸ジメチルの代表的な製造方法は、ビッテン−ハーキュレス法です。パラキシレンおよびp−トルイル酸メチルを空気酸化して得られる酸化反応混合物を、高温高圧条件下においてメタノールでエステル化します。このエステル化反応混合物の分離精製により、テレフタル酸ジメチルが得られます。

また、テレフタル酸をメタノール存在下メチルエステル化することでも合成可能です。生成したテレフタル酸ジメチルは、蒸留により精製できるため、純度の低いテレフタル酸も使用できます。

2. 法規情報

テレフタル酸ジメチルは、以下の国内法令に指定されています。

  • 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法): 第1種指定化学物質 (法第2条第2項、施行令第1条別表第1) (令和5年3月31日まで)
  • 改正化学物質排出管理促進法: 第1種指定化学物質 (法第2条第2項、施行令第1条別表第1) (令和5年4月1日から)
  • 大気汚染防止法: 有害大気汚染物質

3. 取り扱い及び保管上の注意

取り扱う場合の対策
強酸化剤や塩基、強酸、硝酸塩との接触は避けてください。呼吸器への刺激のおそれがあります。

局所排気装置であるドラフトチャンバー内で使用することが重要です。なお、使用の際は、個人用保護具を着用します。

テレフタル酸ジメチルは、141℃に引火点を持つ可燃性物質です。熱や発火源を近づけないようにしてください。

火災の場合
熱分解により、刺激性で有毒なガスや蒸気を放出するおそれがあります。消火には水噴霧や泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、消化砂などを使用します。棒状注水は使用しないでください。

保管する場合
保管する際は、ポリプロピレン製容器に入れて密閉します。直射日光を避け、換気がよく、なるべく涼しい場所に施錠して保管してください。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/120-61-6.html
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0113-0313JGHEJP.pdf
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Dimethyl-terephthalate

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