金型温調配管洗浄機とは
金型温調配管洗浄機とは金型の温調配管の内部を洗浄するための機器です。成形工程において、金型の温調は安定した品質の製品の作成、成形サイクルの安定化にとって非常に重要な因子です。一方で金型の温調は水などの液体を循環させ続けているため、経時的に配管の中には汚れやサビなどが蓄積して、温調が不安定になることがあります。
このような汚れやサビを除去する機器が金型温調配管洗浄機です。この機器は配管内部のサビなどを洗浄、除去するとともに防錆加工を配管表面に付与できるなどの効果もあります。また、洗浄機によっては水だけを用いるものもあり、低コストで洗浄することも可能です。
なお、配管内部に蓄積される汚れの一つに循環水に由来するスケールと呼ばれるものがあります。スケールは水に含まれる二酸化ケイ素が塩基と反応したものや、カルシウムイオンが二酸化炭素と反応したものなどに由来しており、洗浄の際は薬液で溶解する必要があります。そのため、金型温調配管洗浄機の種類によっては使用する薬液が酸性のものもあり、配管やOリングなどの部品が十分な薬品耐性があるか確認が必要です。
金型温調配管の構造と洗浄機の用途
金型温調配管は金型の温調を制御するための配管で、内部に循環水などが流れています。金型は200℃以上の高温下で用いられる一方で、成形プロセスを安定化させるためには0.1℃での温度制御が必要なこともあります。このような高温かつ精密な温度制御を行うために金型温調配管が用いられています。
一方で、金型温調配管の内部には経時的にサビなどが蓄積するため、本来の精度で温度制御ができなくなる場合があります。こういった配管内部の汚れを除去するためには金型温調配管洗浄機が用いられます。
金型温調配管洗浄機は射出成形機、押出成形機など金型を用いた様々な製造機に用いることができ、金型配管を分解すること無く洗浄を行うことが可能です。また、洗浄と配管内部の乾燥、内部表面の防錆加工といった一式の作業を行える洗浄機もあります。
金型温調配管洗浄機は多くの金型や温調配管に対応可能となるように設計されています。ただし、機種によっては金型や配管の材質がアルミ、亜鉛またはこれらの金属の合金であると使用できない場合があります。
金型の配管部の汚れ
金型温調配管洗浄機は、温調配管内に発生したサビや水に含まれる不純物を除去する機器です。温調配管の冷媒としては水が用いられることが多いため、長期の使用によって配管のサビが生じたり、不純物の層であるスケールが水中の金属イオンなどが由来で生じたりします。一般的には水の硬度が高いほどスケールができやすくなると考えられています。
配管内部に発生するスケールの種類としてはシリカスケールとカルシウムスケールが挙げられます。シリカスケールは水中に含まれる二酸化ケイ素が塩基と結合することによって生じるもので、カルシウムスケールはカルシウムイオンが水中の二酸化炭素と反応して生じる炭酸カルシウムが原因です。両者ともに析出すると非常に硬く、固着力も高いため配管内部で経時的に積み重なっていきます。
金型温調配管の洗浄法
従来は金型温調配管を洗浄する際、金型を分解して手作業で1本ずつ配管内部を棒やドリルなどを用いてスケールを削り、掃除を行っていました。このような面倒で長時間必要な作業を削減するために金型温調配管洗浄機が使われています。洗浄機は金型を分解すること無く洗浄可能です。
金型温調配管洗浄機はスケールなどを化学的に分解して溶解させる洗浄液を配管内部に流すことによって配管内部を洗浄します。配管内部に洗浄液を十分流すため、複雑な形状の配管でも洗浄可能です。一方でスケールを溶解させるため、洗浄液には酸性の薬液を使用しているため配管やOリングなどの部品の薬品耐性を事前に確認する必要があります。