金属焼付塗装

金属焼付塗装とは

金属焼付塗装

金属焼付塗装とは、鉄、アルミ、真鍮などの金属材料に塗装する方法の1つです。

塗装用の溶剤あるいは粉末状の塗装材料を被対象素材に塗布し、熱硬化性のある専用塗料を用いて塗装被膜を形成します。塗装材を塗布した材料を110度から200度程度の温度で加熱して焼き付けることにより、塗装被膜が硬化します。

金属焼付塗装は、金属製品の美しい装飾を得るだけでなく、防錆性や耐候性が高まるため、製品の安定した品質を保つ目的でも焼付塗装が施されます。

金属焼付塗装の使用用途

金属焼付塗装は、金属製品の塗装後の表面仕上がり向上、強度、耐久性を高める用途で使用されます。そのため、風雨や紫外線に長期間さらされる自動車部品、建設重機部品、建物の外構金属製品、屋外照明器具など、幅広い製品の塗装用途で使用されます。

金属焼付塗装の原理上、焼付の高温に耐えられない金属素材への塗装はできません。鉄製品、アルミ製品、ステンレス製品など、高温に入れても問題ない金属素材への塗装に適しています。そのため、樹脂やゴムといった材料へは焼付塗装はできません。

金属焼付塗装の種類

金属焼付塗装は、塗装剤の系統により2種類に大別されます。1つ目が有機溶剤を用いる焼付塗装、2つ目が粉体塗料を用いる焼付塗装です。

硬質で光沢のある塗料で、所望の特性を得るためには高温で焼成します。焼き付け塗装は、通常、油脂樹脂または合成樹脂(アルキド、メラミン、エポキシ、硝酸セルロース、尿素)をバインダーとして作られます。金属表面にスプレーまたは塗装した後、焼成して溶剤やその他の揮発性成分を除去します。これにより、均一で緻密な、耐摩耗性に優れた丈夫な仕上がりになります。焼き付けエナメル仕上げは、キッチン用品などの金属コーティングとしてよく使用されます。

各々の塗装方法においても、塗装剤の配合成分によりさらに細かい種類が存在します。代表的なものを一例として記載します。

1. 有機溶剤による焼付塗装

  • メラミン樹脂
    一般的であり、塗装の色・艶の自由度が高い特徴があります。平均的な耐候性があります。
  • アクリル樹脂
    メラミン樹脂よりも耐候性に優れます。こちらも色・艶の自由度が高い特徴があります。
  • エポキシ樹脂
    耐水性、耐薬品性は、非常に高いのですが、耐候性は、低く主に下地処理として使用されます。色・艶に制限もあります。

2. 粉体塗料による焼付塗装

  • ポリエステル樹脂粉体
    耐久力が強く耐候年数が長い特徴があります。
  • エポキシポリエステル樹脂粉体
    耐候性は低いですが、塗装時の作業性が高く、あらゆる金属製品に塗装できる点が特徴です。

その他樹脂として、フッ素樹脂があります。溶剤型、粉体型ともに使用することができます。紫外線に強く高い超耐候性の塗装で、汚れにくいため、道路の資材や家の外壁などに使用される製品に適用されます。高耐久度が得られますが、ツヤの調整が難しく、また塗料の価格が高いことが特徴です。

上記のように、様々な樹脂が焼付塗装で使用できますが、メラミンなど室内のみで使用できるものからフッ素やシリコン系といった超高耐久性まで幅広くあります。耐久性やコストといった様々な条件を検討しながら選定する必要があります。

粉体塗装との比較

液体塗料と粉体塗料のを比較した際、粉体塗装の方が比較的硬い表面仕上がりが得られます。近年では、エナメル塗料は、粉体塗装が代替手法になりつつあります。焼付エナメルの代わりに粉体塗装を使用する理由として、溶剤塗装と比較して環境への負荷が少なく、焼き付けエナメルよりも優れた仕上がりで耐久性のあるコーティングとなることも要因の一つと考えるられます。

加工工程において、スチール製品は、油分、金属酸化物、溶接痕を除去するための前処理が施されています。この前処理により、粉末と金属との結合を向上させ、吸着性向上のためのプライマーを不要にします。粉体塗装は、静電気で粉体を基材に固定し、コーナーの内側と外側に優れたカバー力を発揮し、流動性のある乾燥粉体としてスチールに塗布します。塗布後、オーブンで一定時間熱にさらすと、粉が流動して基材と熱的に結合し、耐久性のある硬い仕上げとなります。

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