フッ素樹脂塗装

フッ素樹脂塗装とは

フッ素樹脂塗装とは、フッ素樹脂塗料を使用した塗装加工のことです。

耐候性が非常に優れていることが最大の特徴と言えます。耐候性とは、温度変化、紫外線、風雨などの、気候の変化に対する耐性のことです。一般に耐候性が高いシリコーン樹脂と比べても、フッ素樹脂の方がより優れています。

また、耐候性以外に、耐熱性、耐薬品性なども優れており、フッ素樹脂塗装は非常に高性能です。そのため、他の樹脂による塗装と比べて高価です。

フッ素樹脂塗装の使用用途

フッ素樹脂塗装は、頻繁に塗装を行うことが困難な高層ビルや大型建造物などの塗装に用いられます。

少し高価ですが、一般住宅の外壁塗装にも用いられます。耐候性が高く非常に高性能であるため、一度塗装を行えば長期間塗替えを行う必要はありません。</p.

また、フッ素樹脂は熱に強く、表面の水や油を弾くため汚れがつきにくいとされています。そのような性質を生かして、フライパンや炊飯器などの家庭用品にも利用されています。 

フッ素樹脂塗装の耐久性

フッ素樹脂物性比較表

フッ素樹脂塗装に使用されているフッ素樹脂の耐久性 (耐薬品性、耐候性、使用上限温度等) は、他の一般的な樹脂と比較してとても高くなっています。これは、フッ素樹脂の分子構造が、主鎖である炭素-炭素結合の周りをフッ素原子がしっかりと覆うような構造になっているからです。

原子サイズの大きなフッ素原子により、薬品や光などの劣化因子が炭素―炭素結合へ攻撃できないため、フッ素樹脂は高い耐久性を有してます。また、炭素原子とフッ素原子間の結合は、分極率が小さいのが特徴です。これは、分子間でプラスとマイナスの電気的な相互作用が生じにくいことを意味しています。

このため、分子間の静電的な相互作用がほとんどないので、物質が付着しにくくなります。このような性質が、フッ素樹脂塗装に撥水・撥油性を与えています。

一方で、フッ素樹脂分子同士の相互作用も小さく、そのままでは強度が弱いです。強度を高めるために、ETFEやPFAのように水素や酸素などの極性を生じやすい原子を導入させたり、分岐を持たせたりして分子間相互作用を高めて機械的物性を向上させています。PTFEの場合は、分子量を超高分子量にするなど分子同士の絡まりを増やし、使用上問題ない強度にしています。

フッ素樹脂のその他情報

1. フッ素樹脂塗料の種類

フッ素樹脂分子構造

フッ素樹脂塗料の種類には、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体 (PFA) 、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体 (ETFE) などがあります。

PTFEは、炭素原子とフッ素原子のみからなるフッ素樹脂です。炭素原子とフッ素原子間の結合は、炭素原子と水素原子間の結合と比べても、結合エネルギーが高くなっています。

結合エネルギーが高いということは、壊すのにそれだけ大きな力が必要だということです。そのため、PTFEは劣化しにくいという性質を持っています。

PFAとETFEはPTFEと比較して溶融粘度が低いため、焼付を行う粉体塗料用の原料として使用されており、PTFEと同等の耐熱性、耐薬品性等の諸物性を有しています。

2. フッ素樹脂塗装の方法

液系フッ素樹脂塗料特徴

粉体フッ素樹脂塗料

フッ素樹脂塗装には水系、溶剤系の液系塗料を用いた液塗装と、粉体塗料を用いた粉体塗装があります。フッ素樹脂塗装はその高い耐熱性、耐候性、耐薬品性から、液塗装、粉体塗装に関係なく、性能面でのメリットが多い塗装方法です。反面、高価格であるというデメリットも共通しています。

着色を目的とした塗装だけでなく、被塗物の表面を腐食などから保護することに重点をおいた厚膜のコーティング (ライニング) 目的で使用されることも多いです。ライニング方法としては、塗装以外のフッ素樹脂シートを貼り付けるといった方法もありますが、被塗物の形状が複雑だったりする場合は、塗装による工法がとられます。

厚膜の塗膜を得るためには、液系塗料よりも粉体塗料が適しており、粉体を被塗物に静電塗装したり、加熱した被塗物に粉体塗料を溶融付着、被膜形成させたりする方法がとられます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です