シリコン塗装とは
図1. シリコン樹脂の構造 (上) / アクリル樹脂の構成モノマー例 (下)
シリコン塗装とは、シリコン塗料を用いた塗装のことです。
一般的に塗料は、顔料、樹脂、溶剤、添加剤の4つの要素で構成されています。主成分にシロキサン結合 (-Si-O-) を有するシリコン樹脂を有する塗料がシリコン塗料です。
シリコン塗料に用いられる樹脂の実体はアクリル樹脂にシリコン樹脂骨格を導入した樹脂で、アクリルシリコン塗料と呼ぶのがより一般的と言えます。シリコン塗料は、アクリル塗料の短所である長期耐久性、耐水性を改良した塗料であり、他にも強い耐熱性、防汚性、透湿性などの性質を持っています。
シリコン塗装の使用用途
シリコン塗料は、家屋の外壁塗装にもっともよく用いられる塗料です。これはシリコン塗料が、価格や耐用年数のバランスがよく、コストパフォーマンスに優れているからです。また、シリコン塗料は透湿性に優れ、湿気を通しやすいため、カビなどが生じにくく、塗装が剥がれにくいという利点があります。
さらに、シリコン塗料にはセラミック成分が配合されている場合が多いです。シリコンにセラミックを配合することで、汚れが付きにくく、断熱性が高い塗装を施せます。
シリコン塗装の種類
図2. 水性と油性の違い
シリコン塗料には、水性と油性、1液型と2液型という種類が存在します。一般に塗装をする際は、塗料を液体に溶かす必要があります。
1. 水性塗料
水性塗料は水に塗料成分は溶けないので、塗料成分を細かく分散させて用いられます。水性塗料の特徴は、有機溶剤を使わないため、揮発性有機化合物をあまり生じないことです。そのため、臭いが弱く、環境への負荷も抑えられます。
2. 油性塗料
油性塗料は、塗料成分をシンナーなどの有機溶剤に溶かして用います。シンナーなどは、大量に吸うと人体に害を及ぼし、引火性も高いため非常に危険な物質です。油性塗料の場合は、扱いには特に注意が必要です。
3. 1液型
1液型とは、硬化剤があらかじめ含まれている塗料を指します。2液型と違い、余った分は保管しておくことができます。1液型の方が扱いが楽で低価格ですが、2液型の方が耐久性が高くさまざまな場所に使用できるという特徴があります。また、塗料の品質保持期間も主剤と硬化剤が分かれている2液型の方が長めです。
4. 2液型
2液型は反応硬化型とも呼ばれ、主剤と硬化剤の2つがあります。塗装をする直前に2つを混ぜ合わせて使用する塗料のことです。混ぜたらすぐに反応が始まり、塗料が固まり始めてしまうため、速やかに作業を行う必要があります。混合後、塗装が行える可使時間はおよそ3~7時間程度で、可使時間を超えると塗装はできなくなります。
シリコン塗装のその他情報
シリコン塗装のメリットデメリット
シリコン塗料のメリットとしては塗膜が硬く、撥水性があることから汚れを寄せ付けないという特徴が上げられます。また、化学的安定性の高いシロキサン結合を有しているため、耐薬品、耐熱性が高いです。
長期耐久性についてもシロキサン結合により、アクリル塗料やウレタン塗料と比較して長寿命になりますが、フッ素塗料に比べると劣ります。反面、コストは耐久性に反比例しており、フッ素塗料は非常に高価です。よってシリコン塗料は塗替えを頻繁に行わない箇所の塗料としては、コストパフォーマンスの高い塗料となります。このような理由から、シリコン塗料は、住宅など建物の外装向け塗料として、最も広く使われています。
図3. 各種塗装の特徴比較
シリコン塗料を用いる際の注意点は、シリコンの含有量により性能が大きく変わるということです。この点がアクリル塗料、ウレタン塗料、フッ素塗料と大きく異なります。
シリコン塗料の樹脂成分はアクリル樹脂にシリコン樹脂を導入した樹脂ですが、高い長期耐久性、防水性、防汚性はシリコン樹脂部分に由来します。このため、シリコン樹脂の量が少ない製品は、アクリル樹脂に似た特性となります。このような理由から、表1でもシリコン塗料の価格や長期耐久性については、他の塗料に比べて幅があります。