テープヒーターとは
テープヒーターとは、加熱や保温をするための帯状のヒーターです。
形状が複雑な配管やバルブなどに巻き付けて使用します。電圧を印加することで、簡単に加熱が可能です。
また、温度コントローラーと組み合わせると、任意の温度に達するように対象物を加熱できます。一方で、自己制御型ヒーターも存在し、この場合は温度変化に合わせて常に一定温度となるように、ヒーター自体が調整する製品も販売されています。
テープヒーターの使用用途
テープヒーターは、産業機器やインフラなどに幅広く使用される機器です。以下はテープヒーターの使用用途一例です。
- パイプやポンプの過熱
- 電池の保温
- 水道管や道路などの凍結防止・融雪
- 飲料工場における液体加熱
- ガスタンクや油圧ユニットの加熱
水道管などでは配管内を流水が流通しており、屋外に設置されます。屋外配管は気温が低い日などには凍結する場合があり、内部の水が膨張して配管を破裂させる事故が発生します。このような凍結事故を防止する目的で、テープヒーターを配管に沿わせて使用されます。
工場などでは燃料にLPGやLNGが使用されることがありますが、これらは液化貯蔵するのに対して使用する際にはガス化が必要です。ガス配管内で液化すると凍結時と同様に配管へ負荷が掛かるため、テープヒーターなどで加熱して使用します。
被加熱物と密着性を高めたい場合には、外側から断熱材を巻く、あるいは耐熱素材のテープで止めるなどの工夫が必要です。
テープヒーターの原理
テープヒーターはリード線、発熱体、外装などで構成されます。
1. リード線
リード線は、外部電源とヒーターを接続する部品です。ヒーター温度に応じてテフロン電線やニッケルシリカ電線が使用されます。端末が丸端子の状態で販売させることも多いです。
2. 発熱体
発熱体は、電気を流通させることで発熱する部品です。ニッケルとクロムの合金であるニクロム線やカーボン線などが使用され、温度に応じて径を調整します。電気が導通する部品である発熱体は、絶縁体である外装で覆われる構造が一般的です。
3. 外装
外装は、発熱体を絶縁しつつ伝熱する部品です。素材に応じて耐熱温度が異なります。耐久性向上などを目的に、絶縁素材以外に金属テープや網状金属を被覆する場合もあります。
テープヒーターの種類
テープヒーターは、外装材料によって耐熱温度が異なります。ヒーターを使用する環境や加熱温度によって、適切なクロスの素材を選択する必要があります。
以下はテープヒータの外装種類一例です。
1. シリカガラスクロス
シリコンガラスを外装に用いたテープヒーターです。シリカガラスは石英ガラスの別称で、高い電気絶縁性と伝熱性を有する材料です。耐熱温度が高い点も特徴で、700℃まで耐えることができます。
また、酸に対しても強いため、酸性液体を移送する配管などに使用される場合もあります。
2. ガラスクロス
ガラス繊維から作ったガラスクロスと呼ばれる織布を外装としたヒーターです。耐熱温度も比較的高く、400℃に耐えます。シリカガラスクロスよりも耐熱性は低い反面、ガラスクロスの方が安価です。
3. ファイバークロス
PTFEなどを材料とした織物を被覆としたヒーターです。耐熱耐熱温度は260℃と低いですが、摩耗や飛散が少ないためにクリーンルームでの使用が可能です。
4. シリコンゴム
シリコンゴムを外装としたヒーターです。シリコンコードヒーターとも呼ばれます。絶縁性や耐湿性に優れ、多くの場所で使用されます。屈曲も自由で入り組んだ場所にも使用可能です。ただし、耐熱性は200℃またはそれ以下であり、ガラスクロスなどの外装と比べて低いのが欠点です。
テープヒーターのその他情報
テープヒーターの使い方
テープヒーターは、温度調節器によって任意温度に設定できます。ただし、被加熱物とヒーターの間にすき間があると、加熱効率の低下やヒーターの異常過熱を生じます。
そのため、使用する際はヒーターの上から断熱材で覆うなどして、ヒーターと被加熱物との密着性を高める必要があります。
参考文献
https://sakaguchi-dennetsu.co.jp/lineup/heater/beltheater_index/creibom_tape_heater.html
https://www.threehigh.co.jp/products/index.php?dispatch=categories.view&category_id=15
https://sakaguchi-dennetsu.co.jp/lineup/heater/beltheater_index/techeater100_01.html
https://www.threehigh.co.jp/blog/2017/08/3ribbon-heater.php