デジタルサーモスタットとは
デジタルサーモスタット (英: Digital thermostat) とは、デジタル式の温度調節器です。
熱電対や側温抵抗体、サーミスタなどの温度センサーを用いて対象物を測定し、得られた出力信号から各温度センサーに対応した温度を算出して、対象物を設定値通りに加温や冷却を行う機器を動作させるための電気信号を出します。センサー部の温度を数値で確認して、任意の設定温度を数値で入力します。
ヒーター等の加温機器をON/OFFすることで、対象物を設定温度まで加熱して、その後一定温度に保つ電子機器です。温度制御の方法には、設定温度を下回るとON、設定値になるとOFF信号を発する単純なON/OFF制御があります。
設定温度に近づくに従いOFF信号が長くなり、設定温度から離れるほどにON信号が長くなるPID制御 (英: Proportional-Integral-Differential Controller) があります。
デジタルサーモスタットの使用用途
デジタルサーモスタットは、温度制御が必要な多くの環境で活躍します。温度センサーからの信号を数値で表示する能力により、正確な温度管理が可能になります。自動復帰型制御によって対象物の温度を一定に保ちながら、例えば食品保温や動物保育器の温度制御など、多様なアプリケーションに対応が可能です。
手動復帰型制御機能付きのデジタルサーモスタットは、過昇温防止や異常温度警報器として利用可能であり、特に重要なプロセスや価値の高い資産を管理する際に有用です。水槽の水温調節や家庭での室温制御といった場面で、デジタルサーモスタットはその利便性と効率性により、広範囲な使用用途で信頼されています。
デジタルサーモスタットの原理
デジタルサーモスタットは多くの温度センサーを利用して対象物の温度測定を行い、得られた出力信号を解析し、各温度センサーに基づいた温度を計算します。これにより、対象物の加温または冷却を適切に制御する電気信号の生成が可能です。
温度センサーには、接点に起電力を発生させる熱電対、電気抵抗値の変化を利用する測温抵抗体、または電気抵抗値の変化に基づく電流値を利用するサーミスタが含まれます。デジタルサーモスタットは、各温度センサーに対応する電子回路を必要とします。
しかし、同じ種類の温度センサーであれば、熱電対はJIS C 1602、測温抵抗体はJIS C1604、サーミスタは JIS C 1611に準拠した製品を利用することで、どの製造元の温度センサーでも互換性が保たれ、交換が可能です。
デジタルサーモスタットの種類
デジタルサーモスタットは、主にその機能や制御方式によっていくつかの種類に分類されます。各種類のデジタルサーモスタットは特定の状況や要件に適しており、家庭やオフィス、産業施設など様々な環境で温度管理の要件に応じて選択されます。
1. 単純ON/OFF制御型
この種類のデジタルサーモスタットは、設定温度を下回ると加温装置をONにし、設定温度に達するとOFFにする基本的な制御を提供します。
2. PID制御型
PID制御を用いて、より精密な温度制御を提供します。PID制御は設定温度に対する実際の温度の差に応じて制御信号を調整し、温度変動を最小限に抑えます。
3. プログラマブルデジタルサーモスタット
この種類のデジタルサーモスタットは、特定の時間や日にわたって異なる温度設定をプログラムすることができます。これにより、エネルギーの節約や、特定の時間帯における快適な温度設定を実現することができます。
4. Wi-Fi / スマートデジタルサーモスタット
Wi-Fiまたはスマートデバイスと連携して、リモートで温度設定や監視を行うことができるデジタルサーモスタットです。アプリを利用することで、外出先からでも温度制御を行うことができます。
5. 学習型デジタルサーモスタット
この種類のサーモスタットは、ユーザーの温度設定のパターンを学習し、自動で最適な温度設定を提供することができます。
参考文献
http://www.asahikeiki.co.jp/images/catalog/WhatsThermostatcatalog.pdf