二酸化炭素

二酸化炭素とは

二酸化炭素とは、化学式CO2で表される無色無臭の気体です。

二酸化炭素の気体は炭酸ガス、液体は液化炭酸ガス、固体はドライアイス、水溶液は炭酸水と呼ばれます。地球上に存在する自然な炭素循環の一部として、植物や生物の呼吸などで生成され、植物の光合成によって消費されます。

また、燃焼反応や工業製品の製造工程などにより大量に排出されることもあります。

二酸化炭素の使用用途

二酸化炭素は、炭酸ナトリウムの製造など、化学工業で広く利用される他に、炭酸飲料などの清涼飲料水や医薬品などとしても使用されています。固体はドライアイスと呼ばれ、冷却剤として、魚類、乳製品、冷凍食品などの保存、低温輸送用などに利用されています。

液化炭酸ガスは、冷却用の他に清涼飲料水の原料、消火剤、炭酸塩の工業製品の原料、殺虫剤、酸化防止剤、植物の成長促進用など、他用途に使用されています。

断熱材などに使用されるウレタンフォームなどに含まれている泡の組成は、ウレタンフォームの原料を混合して反応が起きる際に副生する二酸化炭素を利用したものです。二酸化炭素の大量放出が地球温暖化の原因の1つとされているため、二酸化炭素の排出量削減が求められています。

二酸化炭素の性質

二酸化炭素は、空気中に約0.03%存在している、無色無臭の気体です。二酸化炭素には、水に溶けやすい性質があります。二酸化炭素の水溶液は炭酸水となり、炭酸イオンを生じ、弱酸性を示します。二酸化炭素は、固体から気体へ昇華するという特性を持ちます。

二酸化炭素は、不燃性ガスで空気より重たい気体であることから、消火剤としても使用されています。二酸化炭素が、上部に拡散することなく低所に滞留し、燃焼面を覆うことで、窒息効果により消火を行います。二酸化炭素には、中毒性があるため、使用には注意が必要です。

二酸化炭素のその他情報

1. 二酸化炭素の製造方法

原料である粗二酸化炭素ガスとして、工業的には発酵ガス、天然ガス、石油精製の副生ガス、アンモニア合成の際の副生ガスなどが主に用いられます。これらは二酸化炭素濃度が高いですが、水素、メタン、酸素、窒素、無機・有機硫黄の不純物、水蒸気などの不純物が含まれています。

これを物理的洗浄法 (水洗洗浄) 、活性炭、シリカ、アルミナによる吸着、化学的洗浄法 (過マンガン酸カリ溶液洗浄法) 、炭酸ナトリウム溶液洗浄法などを組合わせて精製します。液化炭酸ガスは、上記のようにして得られた二酸化炭素のガスを1.01MPaに圧縮して冷却することで得られます。

また、ドライアイスは8.08MPaに圧縮して得られた液化炭酸ガスを細孔から噴出させることで、断熱膨張により雪片状に凝結させながら、型に詰めて圧縮成形して得られます。

2. 二酸化炭素による温室効果

二酸化炭素は温室効果ガスとして働き、赤外線の特定の波長帯域に強い吸収帯を持ち、地球温暖化の主な原因とされています。二酸化炭素は産業革命以前の濃度は280ppmでしたが、2015年には世界の年平均二酸化炭素濃度が400ppmに到達しました。

排出量が莫大であるため、各国で排出量の削減を目指す取り組みが進められています。これには、エネルギーや農業・畜産業など人為起源の二酸化炭素の排出量を抑制する取り組み、森林の維持・育成、二酸化炭素回収貯留 (CCS) 技術の開発などが含まれます。また、排出権取引を活用した取り組みも行われており、海洋酸性化も懸念されています。

3. 二酸化炭素の回収・分離の取り組み

地球温暖化を抑制するためには、二酸化炭素の新たな排出を減らすだけでなく、排気からの回収や大気からの回収技術 (Direct Air Capture, DAC) 、植林や負の排出も必要です。DACはアメリカ、カナダ、スイスなど15か所で開発施設があり、日本も2050年の実用化を目指しています。

DACには二酸化炭素を、化学吸収・吸着法、物理吸着法、膜分離法、ドライアイス化させる深冷法などがあります。回収した二酸化炭素は地中に貯留するか、原料として利用できます。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/124-38-9.html

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