GPSセンサーとは
GPSセンサー (英: GPS sensor) とは、全世界的な位置測位システムであるGPS (Global Positioning System) に使用するセンサーです。
GPSは人工衛星を利用した高度なシステムにより、24時間誰でも場所問わず使用可能で、高精度に位置を測定できるシステムです。その性質を利用して、GPSセンサーはカーナビゲーションを代表とする一般的な測位から、正確な時刻の算出、地球物理的な観測といった分野に至るまで幅広く応用されています。
GPSセンサーの使用用途
GPSセンサーは、航空機や船舶、測量における位置測位のために用いられてきました。今日ではIT技術の発達により、スマートフォンやノートパソコン、カーナビゲーションシステム、デジタルカメラ、さらにスマートウォッチ、ドローンなどにも積極的に応用されています。
これらの一般的な測位だけでなく、mm~cmレベルの精密測位も実現されており、精密測量や地殻変動を精密測定するために利用されています。その他にも、国際的な標準時刻を決定する上で、全世界の国際原子時計で計測した時刻のデータを仲介する目的で、GPS衛星は利用されています。
GPSセンサーの原理
GPSでは地上の位置を特定するために、複数の人工衛星を用いて、それぞれの衛星との距離を測定しています。各衛星から発せられた電波を使い、地上までの伝搬時間を計測することで距離の測定が可能です。
GPSセンサーは、各衛星から発せられた電波を受信して、衛星との距離を計算して位置を特定する機能を有します。GPS衛星から送られてきたL1波とL2波の信号は、利用者のGPS受信機によって検出されます。GPS衛星における信号の送信時刻と、地上での受信時刻との差を算出します。
電波の速度は、光の速度と同じであり、伝播時間との積から、GPS衛星と地上のGPSセンサーとの距離を測定することが可能です。GPSは元々アメリカで軍事用に開発されたシステムでしたが、1996年に全世界に解放されて以降、様々な場面で使用されています。
GPSセンサーのその他情報
1. GPS衛星の動作原理
GPS衛星はある特定時刻に、L1波とL2波と呼ばれる2種類の信号を発信します。それぞれの信号はある周波数を持ち、1575.42MHzと1227.60MHzと決められています。2種類用いている理由は途中の伝送経路での遅延を補正するためです。
このときGPS衛星の時刻や軌道を監視したり、信号の送受信を適切に制御したりするのが、制御部分 (地上管制) です。メインの制御局を除いて、基本的に無人運用がなされています。
2. GPS衛星の個数
GPSセンサーの位置の特定は、3個のGPS衛星からの距離が分かれば、計算可能です。しかし、GPS衛星の時計は原子時計を使用して、精度が非常に高いのに対し、受信機の時計の精度は落ちます。このため、通常4個のGPS衛星を使用し、測定する方位を増やして精度向上を図ります。
3. GPSの精度
一般的に、スマートフォンやカーナビなどで利用されているGPSセンサーによる位置情報の精度は、数m単位の誤差があると言われています。大気の状態や遮蔽物などの影響がその一因です。
スマートフォンで位置情報を利用する際には、WiFi基地局との距離や、電子コンパスなどを複合的に利用して精度を高める工夫が行われています。
GPSを含めた衛星を使用した測位システムは、GNSS (全球測位衛星システム) と呼ばれ、その中には、QZSS (準天頂衛星) である日本版GPSの通称「みちびき」があります。
4. RTK
GPSを使った位置情報サービスの精度を高める新しい測位方式として、RTK (Real Time Kinematic) があります。GPSからの位置情報を基準となる基地局と移動局の2つの受信機で受信し、差分をもとに位置のずれを補正する方法です。
位置情報の精度が数cm単位の誤差にまで高めることができます。RTKによる高精度な位置情報のスマートフォンやドローンでの利用に期待が高まりますが、コストなどの問題もあることから、当面は産業分野での活用が期待されています。
ICT (情報通信技術) を活用した自動運転技術などと組み合わせて、新交通サービスや、スマート農業、スマート建設、ドローン配送サービスなど、様々な新しいサービスの実現の可能性を広げていきます。
5. GPS発信機
GPS発信機は、GPSの信号から位置情報を算出し、特定の宛先に位置情報を発信する機器で、リアルタイム追跡型と手動検索型があります。リアルタイム追跡型は、位置情報がGPS発信機から、自動で定期的に発信または発信機に保存されるため、現在地だけでなく、経路も確認することができます。
手動検索型は、所在を確かめたいときだけ、位置を検索できるタイプです。用途としては、老人や子どもの行動の見守り、スマートフォンや車、自転車などの盗難対策、落とし物や忘れ物対策、登山などの安否確認などが挙げられます。
参考文献
https://www.furuno.com/jp/gnss/technical/tec_what_gps
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1994/116/10/116_10_672/_pdf
https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/column/20200911_2/
https://peraichi.com/landing_pages/view/gps/
https://heim.jp/magazine/5978145