シアン化ナトリウム

シアン化ナトリウムとは

シアン化ナトリウム (英: Sodium cyanide) とは、特徴的な臭気を持つ白色の水溶性固体です。

シアン化ナトリウムの化学式はNaCN、分子量は49.0072、CAS登録番号は143-33-9です。別名、青酸ナトリウムもしくは青酸ソーダとも呼ばれます。

酸と反応することで、シアン化水素 (青酸ガス、分子式HCN) を発生させます。シアン化水素は猛毒であり、毒物および劇物取締法の毒物に指定されています。

シアン化ナトリウムの性質

シアン化ナトリウムの融点は564℃、沸点は1,496℃、密度は1.595g/cm3です。シアン化ナトリウムは水に溶け易く、水溶液は強アルカリを示します。さらに、アンモニアメタノールエタノールなどに溶解し、DMFや二酸化硫黄にもわずかに溶解します。

シアン化ナトリウムの使用用途

シアン化ナトリウムは、酸と反応させることでシアン化水素を発生させるため、金属などのメッキに使用されています。また、鋼の焼入れ、金・銀の冶金、有機合成の中間体の製造、シアン化物・シアノ錯塩の製造、農薬などに広く用いられています。

農薬として散布すると、有効成分は速やかに二酸化炭素とアンモニアに分解されます。また、シアン化ナトリウムは浸透移行性がないため、作物体への移行がありません。

アルカリ性浴のシアン化銅浴、ピロリン酸銅浴は均一電着性に優れ、その特性を利用して広く利用されています。シアン化銅浴は、複雑な形状の亜鉛、アルミニウムダイカストの下地としてメッキに利用されています。

シアン化ナトリウムは毒性が強いため、昆虫学者が使用する瓶への収集など、急速に殺したり気絶させたりするために使用されます。

シアン化ナトリウムのその他情報

1. シアン化ナトリウムの製法

シアン化ナトリウムは、シアン化水素を水酸化ナトリウムで処理することによって生成されます。水溶液中ではシアン化物イオンとナトリウムイオンに電離しています。

   HCN+NaOH→NaCN+H2O

以前は、ナトリウムアミドと炭素を高温で反応させるカストナー法によって調製されていました。

   NaNH2+C→NaCN+H2

2. シアン化ナトリウムの反応

シアン化物プロセスとしても知られる金シアン化反応は、金を抽出するための主要な技術であり、低品位の鉱石から金を得ることができます。この方法は、金とシアン化物との高い親和性を利用し、空気 (酸素) と水の存在下で金を酸化および溶解させ、ジシアノ金酸ナトリウムを生成します。

   4Au+8NaCN+O2+2H2O→4Na[Au(CN)2]+4NaOH

同様に、シアン化カリウム (KCN) を使用すると、ジシアノ金酸カリウム (KAu(CN)2) を生成します。

3. 法規情報

シアン化ナトリウムは、労働基準法で「疾病化学物質」、労働安全衛生法で「名称等を表示・通知すべき危険有害物」、「リスクアセスメントを実施すべき危険有害物」「特定化学物質第2類物質」などに該当します。化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) では「第1種指定化学物質」、毒物及び劇物取締法では「毒物」、消防法では非危険物質ではありますが「消防活動阻害物質」に指定されており、使用の際には注意が必要です。

4. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 保管容器は、換気の良い冷暗所で保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
  • 水溶液は塩基性で酸と激しく反応するため、接触を避ける。
  • 空気中の二酸化炭素や湿気、または酸、水、アルカリ性炭酸塩と接触すると有毒なシアン化水素ガスを発生するため、接触を避ける。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させ、医師に連絡する。
  • 皮膚に付着した場合は、多量の水と石鹸で洗い流し、医師の手当を受ける。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0028.html

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