ゲルマニウム

ゲルマニウムとは

ゲルマニウム (英: Germanium) とは、灰白色の硬くもろい固体です。

ゲルマニウムの元素記号はGeで、原子番号は32番、CAS登録番号は7440-56-4で、金属と非金属の中間的な物質「半金属元素」に分類されます。自然界の鉱石や土などから抽出される物質で、1885年、ドイツの科学者ウィンクラーによって発見されました。地球上に約0.00014%しか存在せず、採掘量が限定されるため、レアメタル (希少金属) に分類される、希少性の高い物質です。

ゲルマニウム化合物は、大別すると、有機ゲルマニウム化合物と無機ゲルマニウム化合物の2つがあります。

ゲルマニウムの使用用途

ゲルマニウムの使用用途は主に下記の2つです。

1. 無機ゲルマニウム

酸化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウムは、工業用原料としてダイオード、トランジスター、暗視カメラ用の赤外線レンズ、光ファイバーや、ペットボトル製造においての触媒として利用されている他、ブレスレットなどの健康アクセサリーやゲルマニウム温浴剤に利用されています。

特に、酸化ゲルマニウムは、高い屈折率と低い光学分散という特徴を持ち、広角カメラや顕微鏡、光ファイバーのコア部分のドーパントとして有用です。ゲルマニウムは、シリコンと合金化することができ、ゲルマニウムとシリコンのヘテロ接合の特性を活かした回路は高速なため、シリコン-ゲルマニウム合金は高速集積回路の重要な半導体材料になります。また、単結晶高純度ゲルマニウム製の半導体検出器は、空港のセキュリティで放射線源を発見するために活用されています。

2. 有機ゲルマニウム

無機ゲルマニウムが水に溶けにくく、体内に蓄積して害になるのに対し、有機ゲルマニウムは水溶性があり、朝鮮人参やアロエなど体によいと言われている植物にも含まれていることから、主に健康食品や化粧品に使われています。

ゲルマニウムの性質

ゲルマニウムは、融点が937℃、沸点が2,850℃であり、常温では固体として存在し、固体状態での密度は5.35g/cm3です。希酸およびアルカリに不溶ですが、高温の濃硫酸および硝酸にはゆっくりと溶解し、溶融アルカリとは激しく反応してゲルマン酸塩を生成します ([GeO4]4-)。ケイ素よりも狭いバンドギャップ (0.7eV) をもつため、半導体として有用な元素でもあります。

ゲルマニウムの構造

ゲルマニウムの結晶構造は、温度や圧力により3種類あります。常温・常圧では、α-ゲルマニウムと呼ばれるダイヤモンドと同様の立方晶構造をとり、高圧にするとβ-スズと同様の正方晶構造のβ-ゲルマニウムとなります。さらに、グラフェンと同様のプロセスで作成される、高真空と高温を使用して基板上にゲルマニウム原子の層を堆積させた、ゲルマネンという構造も存在し、グラフェンよりも豊富な物性を示す物質とされています。

ゲルマニウムのその他情報

1. ゲルマニウムの製法

ゲルマニウムは、主に閃亜鉛鉱から生産されていますが、銀、鉛、銅の鉱石にも含まれています。鉱石に含まれるゲルマニウムは、ほとんどが硫化物であり、それらは空気下で加熱することによって酸化物に変換されます (GeS2+3O2→GeO2+2SO2)。高純度の酸化ゲルマニウムは、水素で還元する (GeO2+2H2→Ge+2H2O) と赤外線光学や半導体製造に適したものが得られるのに対し、コークスで還元する (GeO2+C→Ge+CO2) と鉄鋼生産や工業製品向けのものが得られます。

2. 法規情報

ゲルマニウムは、毒物及び劇物取締法、消防法、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) など、主要な法規制のいずれにも該当していません。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 強酸化剤との接触は避ける。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/product/detail/W01W0107-0025.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です