ジイソプロピルアミン

ジイソプロピルアミンとは

ジイソプロピルアミン (英: Diisopropylamine) とは、二級アミンに分類される有機化合物です。

示性式は(CH3)2HC-NH-CH(CH3)2と表記されます。常温ではアミン臭又はアンモニア類似臭を呈す、無色透明の液体です。CAS登録番号は108-18-9です。

引火性があるため、消防法により、「危険物第4類」「第一石油類」として定められています。

ジイソプロピルアミンの使用用途

ジイソプロピルアミンは、医薬品や染料中間体、ゴム薬品、除草剤、界面活性剤などの有機合成原料として幅広く利用されている物質です。ゴム薬品としては、ゴムの成形加工において老化防止剤として添加されています。これにより、熱、光、オゾンにより引き起こされる化学反応に伴うゴムの劣化を防止しています。

また、除草剤としては、オーキシン様作用を有するホルモン型の選択性除草剤として利用されている物質です。ただし、あくまでも農地以外での除草目的で使用します。

ジイソプロピルアミンの性質

ジイソプロピルアミンの基本情報

図1. ジイソプロピルアミンの基本情報

化学式C6H15N、融点-61℃、沸点84℃であり、常温では無色透明の液体です。アミン臭又はアンモニア類似臭を呈します。分子量は101.193、密度は0.722g/mL、塩基解離定数pKbは3.43、共役酸の酸解離定数pKaは11.07 (水中) です。

エタノール、アセトンをはじめとする有機溶媒に溶解し、具体的にはメタノール、エーテル、酢酸エチル、芳香族及び脂肪族炭化水素、脂肪酸、鉱油、固形油などと混和します。水にも可溶です。

ジイソプロピルアミンの種類

ジイソプロピルアミンは、通常、研究開発用試薬製品として一般に販売されています。容量の種類には、25mL、100mL、500mL、2.5Lなどがあり、メーカーによって異なる容量規格の提供です。

通常、室温で取り扱い可能な試薬製品として扱われます。試薬製品は、研究開発用途以外での使用を行うことはできません。また、消防法をはじめとした各種法令を遵守して扱うことが必要です。

ジイソプロピルアミンのその他情報

1. ジイソプロピルアミンの反応性

ジイソプロピルアミンは通常の取り扱い条件においては安定な物質ですが、酸化剤とは激しく反応して火災や爆発をもたらす危険性があります。有機塩化物、ニトリル、酸化物など多くの化合物と反応する物質です。

また、亜鉛、ならびにこれらの合金、亜鉛メッキ鋼、アルミ二ウムに対しては腐食性を示し、水素ガスを発生します。加熱や燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物など、有毒で腐食性のヒュームやガスを発生します。

2. ジイソプロピルアミンの合成

ジイソプロピルアミンの合成

図2. ジイソプロピルアミンの合成

ジイソプロピルアミンは、アセトンの還元的アミノ化反応により合成することが可能です。原料のアセトンに対して、水素ガス雰囲気下でアンモニアを反応剤とし、亜クロム酸銅などの触媒が用いられます。

水酸化カリウム存在下で蒸留精製し、ナトリウム存在下、不活性ガス雰囲気化で保管可能です。

3. リチウムジイソプロピルアミド (LDA) の調製

LDAの調製

図3. LDAの調製

ジイソプロピルアミンの有機合成的に重要な用途の1つに、リチウムジイソプロピルアミド (LDA) の調製があります。リチウムジイソプロピルアミド (LDA) は、強力な塩基として有機合成にしばしば用いられる物質です。

THF中での酸解離定数pKaは約34であり、アルコールやカルボニル化合物など、ほとんどの酸性プロトンの引き抜きを行うことができます。

LDAを反応に用いる一般的な方法は次の通りです。

  • ドライアイス/アセトン浴 (あるいはドライアイス/メタノール浴、−78℃) において、テトラヒドロフラン (THF) 溶液中、ジイソプロピルアミンに対して1モル当量の n-ブチルリチウム (ヘキサン溶液など) を加える
  • 反応混合物を15分かけて 0℃まで温め、 in situ でLDA溶液を調製する
  • 続く反応で用いる

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0757.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です