酸化チタン

酸化チタンとは

酸化チタンとは、酸化鉱物の一種であるチタン鉄鉱を細かく粉砕して得られる不溶性のチタン酸化物です。

化学的に極めて安定性が高く、優れた白色度や着色力を有するため、白色顔料として使用されることが多くあります。酸化チタンには酸化数によって、3種類の酸化物が存在します。

その中で二酸化チタン (英: titanium dioxide) が最も安定しており、多方面で幅広く利用可能です。二酸化チタンは酸化チタン (英: titanium oxide) やチタニア (英: titania)とも呼ばれます。

酸化チタンの使用用途

酸化チタンは、優れた白色度や隠蔽力、着色力、化学的に極めて高い安定性などの特色を活かし、白色顔料として、塗料や絵具、釉薬、印刷インキ、化合繊等の用途で幅広く使用されています。その他、酸化チタンの光触媒作用を利用して、工業的に難分解性の物質を分解しています。

酸化チタンは、安全な着色料としての用途や、紫外線防御作用の目的から、日焼け止め製品や化粧品、洗顔料・洗顔石鹸、ネイル製品等にも使用されています。 

酸化チタンの性質

酸化チタンは、熱濃硫酸、フッ化水素酸、溶融アルカリ塩などに溶解しますが、硝酸などの酸には不溶です。アルカリ、水、有機溶剤にも溶けません。

酸化チタンの屈折率は、ダイヤモンドよりも高いです。光触媒作用を有しており、光を受けると表面で強力な酸化力が生じます。

酸化チタンの構造

酸化チタン (IV) には、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の結晶構造が存在します。アナターゼ型とルチル型は正方晶で、ブルッカイト型は斜方晶です。

アナターゼ型を900℃以上に、ブルッカイト型を650℃以上に熱すると、ルチル型に転移します。最安定構造はルチル型です。そのため、ルチル型に一度転移すると、低温に戻しても構造を維持します。

工業用に用いられている結晶構造は、ルチル型とアナターゼ型です。屈折率などの性質や用途が異なります。天然で酸化チタン (IV) は、金紅石、鋭錐石、板チタン石の主成分として産出します。金紅石と鋭錐石は正方晶系で、板チタン石は斜方晶系の結晶構造です。

酸化チタンのその他情報

1. 酸化チタンの製造

原料としてルチル鉱石やイルメナイト鉱石 (FeTiO3) が使われます。工業的生産のための主な方法は、塩素法 (英: chlorine method) と硫酸法 (英: sulfuric acid method) です。

塩素法は気相法 (英: gas phase method) とも呼ばれています。まず、ルチル鉱石をコークスや塩素と反応させて、ガス状の四塩化チタンにします。その後冷却して液状にし、高温で酸素と反応させて、塩素ガスを分離することで酸化チタンを生成可能です。

硫酸法は液相法 (英: liquid‐phase method) とも呼ばれます。イルメナイト鉱石を濃硫酸に溶かして、不純物を硫酸鉄として分離し、オキシ硫酸チタンにします。加水分解によってオキシ水酸化チタンが沈殿し、洗浄、乾燥、焼成により酸化チタンを得ることが可能です。

2. 酸化チタンの水素による還元

600℃以上で酸化チタン (IV) は、水素ガスによって部分的に還元されて、青色のチタン (III) が混じった酸化物を生成します。ただし、酸素に触れると、速やかに酸化チタン (IV) に戻ります。

酸化チタン (IV) に担持された貴金属触媒を高温で還元すると、SMSI (英: Strong Metal Support Interaction) が発生しやすいです。SMSIとは、酸化物担体に担持した金属ナノ粒子が反応ガスに触れた際に、触媒の活性が大きく変化する現象のことです。

900℃以上で水素還元した場合には、濃青色で不定比組成のTiOx (x=1.85〜1.94) を生成します。この組成は常温常圧で酸素に触れた際にも安定しています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/13463-67-7b.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/13463-67-7.html

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