フォトカプラとは
光信号を媒体に、回路と回路を結びつけるフォトカプラは耐久面や絶縁度と言った汎用性・信頼性の高さから、音響、医療、工業など、高精度が不可欠な分野で活躍している素子です。
とは言えフォトカプラは、いつどのような場面で使われるのか、どういった原理で動作するのか、あるいは実際にご自身の電子工作でフォトカプラを用いる際、どのように選んで使えばよいかイマイチわからないという方もいらっしゃると思います。
「フォト」が付いていることから、「フォトトランジスタ」「フォトダイオード」などと混同してしまう、といった声も耳にします。
フォトカプラーの使用用途
フォトカプラは主にスイッチング動作で用いられます。スイッチを入れることで回路が通電されることとなりますが、前述の特性、特に絶縁性や長寿命という観点から、高い信頼性が求められるシーンにうってつけです。例えば医療用電子機器やノイズが大敵の音響機器・通信機器などがあります。
また、モーターの駆動システムでも利用されています。なぜモーターかと言うと、駆動の際にインバータで回転速度を制御しているのですが、高出力なためノイズが発生します。このノイズはモーター自体の誤作動のみならず、大地を流れて周辺機器に影響を及ぼす場合があります。
とりわけ配線の長い機器類はこの高出力ノイズを拾いやすいため、工場などで発生すると大きな損失となったり、時には重大な事故を引き起こしたりしてしまいます。絶縁性の高いフォトカプラをスイッチングに使用することで他回路・機器への影響を最小限に抑えることが可能となります。
フォトカプラーの原理
フォトカプラは光を介して信号伝達を行うため、入力側と出力側の絶縁性を高めることが大きな特徴です。
絶縁性が高いということは、ノイズの影響を受けづらいことに加え、隣り合う回路間で予期せぬ電流が流れ込むことを防ぎ、安全面で非常に有効な作用を発揮します。また、構造自体がシンプルなため比較的リーズナブルでもあります。
長い歴史を持つため各メーカーからラインナップが豊富なこともフォトカプラの特性ならではのメリットとなります。物理的な接点がないので、パーツ同士の摩耗が少なく、比較的長寿命なところも嬉しいところです。
一方でLEDが経時や温度変化によって劣化してしまい、発光効率が変動しやすいという特性もあります。特に素子のプラスティックなどが曇ってしまうと、上手に発光することができません。
とは言えスイッチングで考えた場合、機械的接触を持つ有接点に比べれば長寿命と言えると思います。また、フォトトランジスタはフォトダイオードなどと比べると速度が遅いことも多く、高速通信などでは用いられません。
しかしながらこれも、出力側に増幅回路を設けて高速化を行った素子もあること、全ての電子回路に高速化が必要なわけではないことから、一概にデメリットとは言えません。