リンゴ酸

リンゴ酸とは

リンゴ酸の構造

図1. リンゴ酸の構造

リンゴ酸は、化学式C4H6O5で表される有機酸です。

ヒドロキシコハク酸とも呼ばれます。不斉炭素原子を一つ持っているため、光学異性体が存在します。天然に存在するリンゴ酸はL体であり、ぶどうやりんごなどの果実に多く含まれています。リンゴ酸は、L-酒石酸ヨウ化水素で還元する、あるいはフマル酸にフマラーゼを作用させることで製造されます。

リンゴ酸の使用用途

1. 食品添加物としての用途

リンゴ酸は爽やかな酸味を持っているため、酸味料として飲料水や食品に添加されます。本化合物は単体でも殺菌効果を持ちますが、各種有機酸と混合して用いる事で殺菌活性が増強する事が知られています。そのため、殺菌効果を期待した食品添加物としての研究開発が進んでいます。また、pH調整剤や乳化剤としての役割もあるため、食品工業においてとても重要な物質です。なお、このような食品分野の場合、その多くはラセミ体のリンゴ酸が用いられています。

2. コスメ分野での利用

リンゴ酸には歯垢や歯石の付着予防効果があるため、ホワイトニング効果を期待した歯磨き粉に配合されています。また、リンゴ酸は緩衝能を持つ事から、pH調整剤としてシャンプーに配合される事もあります。このようなリンゴ酸配合の低pHシャンプーには、抗炎症剤を配合する事で頭皮の荒れが回復する効果が報告されており、頭皮ケアという観点から近年注目されています。

3. 工業分野での利用

リンゴ酸にはキレート作用があり、金属原子と錯体を形成する能力を有しています。そのため、金属表面の洗浄剤として利用されています。

4. クエン酸回路中間体としての役割

クエン酸回路におけるリンゴ酸の反応

図2. クエン酸回路におけるリンゴ酸の反応

本化合物はクエン酸回路の中間体の一つであり、リンゴ酸デヒドロゲナーゼによってオキサロ酢酸に変換されます。そのため、本化合物は酸素呼吸を行う生物のエネルギー代謝において非常に重要な役割を果たしています。

L-リンゴ酸の性質

1. 名称
和名:L-リンゴ酸
英名:L-malic acid
IUPAC名: (2S)-2-hydroxybutanedioic acid

2. 分子式
C4H6O5

3. 分子量
134.09

4. 融点
100 ℃(L体)

5. 溶媒溶解性
水、アルコールに易溶

リンゴ酸素のその他情報

リンゴ酸が多く含まれる食品

リンゴ、ブドウ

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