受託検査

監修:株式会社TANIDA

受託検査とは

受託検査とは、ある組織や企業が専門的な知識と機器、設備を持った他の検査機関に検査業務を委託することです。

委託先で高度な技術や専門知識を持つ専門家が検査を行うことにより、委託する企業は自社内で検査を行う能力や設備を持たず対応しづらい領域においても、高品質な検査を受けることができます。 受託検査は、独立した第三者機関によって実施されるため、自社の製品やサービスが業界基準や法的要件を満たしていることを客観的に評価することが出来ます。

受託検査の使用用途

受託検査は、様々な業界で利用されています。使用されている主な分野と試験例は下記の通りです。

  • 製造業
    非破壊検査、材料試験、耐圧試験、清浄度検査などがあります。製品の品質評価を行う試験です。
  • 食品、医薬品業
    微生物検査、残留農薬・添加物の検査、有害物質の検出などがあります。食品や医薬品の安全性、品質、規制順守を確認するための試験です。
  • エネルギー、資源業
    水質検査、大気汚染物質の分析、廃棄物評価などがあります。環境への影響や汚染物質の検出、土壌汚染の評価などを行う試験です。
  • 建築業
    コンクリート試験、鋼材の検査、非破壊検査、地盤調査などがあります。建築物や構造物の安全性、耐久性、性能を評価するための試験です。

受託検査の原理

受託検査では様々な検査の種類がありますが、受託から検査、試料(対象製品)の返却までの一般的な手順は以下です。

  1. 受託検査を行う機関は、検査の前に依頼者の要求に沿った基準や規格で検査を行う事が出来るかを検討します。
  2. 検討後、検査内容や項目を決めて依頼者より試料 (対象製品) を受領します。
  3. 依頼者の要求や製品の特性に合わせて検査を行います。
  4. 専門知識を持つ専門家が検査結果を基に、試料 (対象製品) が規格や要件を満たしているかどうかを評価します。
  5. 検査結果をレポートとして作成します。
  6. 依頼者へ試料(対象製品)を返却し、レポート内容を提供します。

受託検査の種類

受託検査の種類

図1. 受託検査の種類

受託検査は業界によって様々な種類があります。

特性や耐久性などを検査する品質検査、製品や材料の安全性を評価するための安全性試験、環境への影響や排出物の評価を行う環境試験、機械部品などの構造の安全性や適合性を評価する構造試験、特定の規格や基準に対する合格性を評価する認定検査などがあります。その中でも産業分野においてよく利用される試験について説明します。

1. X線CT検査

X線CT検査は非破壊検査であり、X線CT (断層) 画像を撮影することで、材料や製品を破壊することなく内部構造の可視化が出来ます。CT画像により欠陥のサイズ、形状、位置などを正確にすることができます。X線検査は高度な技術を要し、訓練を受けた専門家が適切な手法と装置を使用して実施する必要がある為、よく外部委託される検査の1つです。

2. 浸透探傷検査

浸透探傷検査は非破壊検査であり、材料や製品の表面や表面近傍の欠陥や異常を検出するために使用されます。蛍光液が紫外線に反応し表面のキズや空隙が蛍光色に光る原理を利用しています。視覚的に欠陥が検出されるため、微細な欠陥も検出が可能な検査方法です。

3. 寸法検査

寸法検査は、製品や部品の寸法や形状が規定の仕様に合致しているかどうかを確認するための検査方法です。正確な測定と計測が求められ、専門知識や適切な計測装置が必要な為外部委託することで専門知識を持つ技術者や高精度な計測装置にて測定することができます。

4. 材料試験

材料試験は特定の材料の物理的・化学的特性を評価するための試験であり、材料の品質が規格や要件に適合しているかどうかを判断します。成分分析、硬さ試験、引張試験、組織観察試験などが含まれます。専門知識や適切な計測装置が必要な為、外部委託することで専門知識を持つ技術者や高精度な装置にて試験結果を得ることができます。

5. 耐圧/リーク試験

リーク試験は製品の漏れや密閉性を評価し、製品の欠陥や異常を検出するための試験です。代表的な種類として、液圧試験、ガスリーク試験、ヘリウムリーク試験、水没試験、圧力変化試験などがあります。外部委託することで評価が客観的に行われるため、試験結果は、製品の品質評価や安全性確保に貢献します。

6. 清浄度検査

清浄度検査は極めて小さな微粒子や、微細なコンタミネーションを検出することができます。目に見えない汚れの除去や、検出されたコンタミネーションを解析することで高品質
なサービスや製品の提供に繋がります。特定の業界や規制機関は、清浄度検査の実施を義務付けている場合があり、外部委託する会社が多くあります。

受託検査のその他情報

受託検査と航空機業界の関係

航空機の安全性には非常に高い基準が求められるため、製造や保守・修理プロセスの品質管理は非常に厳格です。航空機産業においては、サプライヤーや下請け企業が多数関与する為、全てのサプライヤーの品質を維持することを目的とする「Nadcap」というサプライヤー認定が存在します。

Nadcapでは、検査や溶接などの特殊工程に関して、人や工程の厳しい審査が行われます。認定を受けた機関は、航空宇宙および防衛産業において高い品質基準を満たしていることを証明しています。航空産業は高度な技術と専門知識が求められる分野であり、品質管理の重要性は極めて高くNadcap認定のある受託検査機関を利用することで、高い品質を確保することができます。

本記事は受託検査を行う株式会社TANIDA様に監修を頂きました。

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