砂型3Dプリンター

監修:株式会社TANIDA

砂型3Dプリンターとは

砂型3Dプリンターとは、PCで作成した3D設計データを基にして砂を層状に積み重ね、立体モデルを作り出すものです。

砂型積層造形装置とも呼ばれ、砂を層状に積み重ねて立体モデルを作り出す方法をバインダージェッティング方式と呼びます。紙のインクジェットプリンターの技術を応用して、バインダー (結合剤) を砂に吹き付けて固めていくことで立体モデルを造形します。

従来の鋳造では、模型や木型が必要ですが砂型3Dプリンタでは直接型を造形できるため手作業での工程が少なく、3D設計データを自動で造形する為、複雑な形状を一体成形できるため、柔軟性、製作期間の短縮、工数・コストの削減の観点から砂型3Dプリンターを用いた鋳造方法が注目されており、様々な業界で活用しています。

砂型3Dプリンターの使用用途

砂型の3Dプリンターは鋳造品の製造において様々な業界で使用されます。

  • 自動車産業
    エンジン部品や、トランスミッションの部品など、複雑な構造を持つパーツを製造する型や内部構造を造る中子型を作る際に使用されています。
  • 航空宇宙産業
    航空機や宇宙機器の部品には高い信頼性と耐久性が求められ、複雑な形状の部品を精密に製造する必要がある為、砂型3Dプリンターで作られた型が使用されています。
  • 製造業
    複雑な形状や、内部構造など手作業では難しく時間がかかるような、曲線や空洞が多い形状の型を自動で造形することが可能です。

砂型3Dプリンターの原理

砂型3Dプリンターの原理

図1. 砂型3Dプリンターの原理

PCで設計した3Dデータを基に、1層ずつの断面形状データを準備して砂を層状に敷き、インクジェットノズルから設計されたデータの断面形状データにあわせてバインダー (結合剤) を噴射し、砂を硬化させていきます。

1層の硬化が完了すると造形テーブルが1層分下がり、砂を敷き、バインダーを噴射し砂を硬化させる工程をすべての層が造形できるまで繰り返し行い、立体モデルを造形させます。

最後に未硬化砂を払い砂型が完成します。バインダージェッティング方式では積層のピッチが細かいので、表面仕上げが滑らかであり、微細で複雑な形状の再現が可能です。

砂型3Dプリンターのその他情報

1. 従来の製造方法との違い

これまでの砂型の作成プロセスは、まず砂型を作る為の木型の製作が必須でした。木型を作り、その中に模型を入れ、模型の周りに砂を詰め込みます。詰め込んだ後模型を外し、上下組み合わせることで砂型が完成します。さらに内部形状に空洞がある場合は中子型とよばれる砂型部品を中に組み込んで造形します。

砂型をばらした際には、組み込んだ中子型も一緒に破壊することで空洞の部分が発生し、内部形状が複雑な形状になればなるほど、複数パーツの中子型を組立てる必要がありました。

しかし、複数の中子型で造形していた中子を砂型3Dプリンターで造形することで、繋ぎ目のない中子をが出来上がる為、組立時間の短縮や木型保管等のコスト削減を可能になりました。さらに、3D設計データを忠実に再現することができる為、従来の砂型では造形が難しい複雑な形状でも造形することが可能です。

2. 継ぎ目のない中子型の作成

3Dプリンターで造形された中子型

図2. 3Dプリンターで造形された中子型

従来、複雑な形状の中子型を造形する際は、複数パーツの中子を中子型で成形し組立てる必要があり、複雑な形状であればあるほどパーツ数は多くなり、時間や人件費がかかっていました。砂型3Dプリンターで中子型を造形することで繋ぎ目のない一体造形が出来上がり、継ぎ目部分からの漏れの防止や、耐久性が向上し、断裂や破損のリスクが低くなります。

中子を一体で3Dプリンターで造形することにより人員を夜間や休日に配置する必要がなく、組立工程が短縮され、省力化・コストの削減も可能となります。3Dプリンターの場合、抜型、型の組立などを考えた3D設計が必要で無いため中子型製作の自由度が大幅に向上します。方案含む主型・中子一体の型造形や今まで対応出来なかった複雑な中子形状まで造形可能になり、生産性だけでなく市場競争力の高い中子を自動化で生産可能です。

3. 造形寸法精度の高さ

3D設計データを忠実に再現でき、造形寸法精度が高く、製品が設計通りの寸法や形状で作られるため、製品の品質が向上します。全自動で造形されることで手作業によるばらつきがなくなり、作業者の技量に関係なく何度でも同じものを製作することが可能です。

4. 製作期間の短縮

砂型3Dプリンターの製作期間

図3. 砂型3Dプリンターの製作期間

複雑な形状の中子型を一体形成できるため、複数の中子型の組立作業にかかる時間を削減できます。さらに、型修正や更新時には木型を一から作り直す必要がなく、3D設計データを編集するだけで容易に対応できるため、型の更新期間やコストを削減できます。量産品においても、3Dプリンティング技術によって複数の中子を一度に作成でき、製造効率も向上します。一部の砂型3Dプリンターは造形と取り出しを同時に行うことができます。このように、砂型3Dプリンターは従来の手作業に比べて製作期間を大幅に短縮することが可能です。

本記事は砂型3Dプリンターを製造・販売する株式会社TANIDA様に監修を頂きました。

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