インパルスノイズ試験

インパルスノイズ試験とは

インパルスノイズ試験とは、スイッチングデバイス等の接点間のアーク放電による立ち上がりの早い高周波ノイズを模擬的に発生させて加えることで、電子機器の耐性を評価する試験です。

インパルスノイズ試験は、GHz帯のような高い周波数成分を含んだノイズを発生させる試験であるため、電源線や信号線に伝導してくるノイズ以外にも、静電気放電で発生するような高い周波数領域でのノイズ影響も評価することができます。

インパルスノイズ試験を行うにあたっては、出力電圧のばらつきを抑えたり、試験パルスの繰り返し周期を高速化したりすることが、適正な試験結果を得るために非常に重要です。

インパルスノイズ試験の使用用途

インパルスノイズ試験は、市場における電子機器のノイズ耐性を事前に予測する際に使用されています。市場不良を未然に防ぐために行う、信頼性試験の一つです。

特に、制御ラインや電源ラインへのスイッチング速度の速い妨害波の影響で、電子機器が誤動作しないか調査します。信頼度面で破壊や劣化含め問題が発生しないかどうかを模擬する目的に、インパルスノイズ試験は活用されています。

実際には、リレースイッチの接点などのON・OFF動作時の高調波成分を含むパルスノイズを想定した試験です。

インパルスノイズ試験の原理

インパルスノイズ試験は、立ち上がりの速い方形波を試験に用いるため、通常は水銀リレー方式ないしは半導体リレー方式と呼ばれる方式を採用したインパルスノイズ試験機を用います。電子機器へ現実に起こりうるノイズ印加を模擬するのが目的です。

試験モードの種類には、そのポートと種類に応じて、電源ライン用ノーマル・コモン両モード、信号制御線向け、放射ノイズの試験モードなどがあります。

1. 電源ラインへの試験モード

ノーマルモードとコモンモードがある試験であり、電源ラインポートへの試験手法です。モードの違いはノイズ発生端子のGND (グランド:接地) の扱いにあります。具体的には、ノーマルモードでは、このGNDを試験装置の接地基準面に接続しない手法であり、コモンモードは反対に接地基準面に接続する方法です。

2. 信号制御線への試験モード

信号制御線ポートへの試験手法ですが、そのポートへのノイズの与え方には、容量性ないしは誘導性のカップリングクランプを用います。容量性カップリングクランプの終端は50オームを接続し、電子機器とクランプ間の距離は0.5±0.05m確保します。

3. 放射ノイズの試験モード

50オームの終端後のパルス出力端子に放射プローブを接続し、様々な条件のノイズ波形を与えて、被評価機器のノイズ耐性を相対的に評価する方法です。本評価の場合は、相対評価が主であり、絶対値評価ではないことに注意が必要です。

インパルスノイズ試験のその他情報

1. 絶縁支持台の役割

インパルスノイズ試験は、基準接地面がベースとなった方形波パルスノイズを与える試験です。よって、基準となる接地面は、装置やケーブル類から絶縁されている必要があります。

しかしながら、十分絶縁するために距離を確保しようとすると、線路の特性インピーダンスが高調波成分により異なります。反射係数をある程度再現性良く確保るためには、絶縁支持台によってケーブルと基準接地面の距離を大きく確保する必要があります。

2. 水銀リレー方式と半導体リレー方式

インパルスノイズ試験機のパルスノイズ発生源は、従来は水銀リレー方式と呼ばれる方式が用いられていました。しかし、この方法は発生パルスの電圧値や周期がばらつくという課題があり、水銀リレーの劣化に伴いパルス波形そのものの品位も劣化していく傾向がありました。

近年は、インパルスノイズ試験機のパルスノイズ発生源に半導体リレー方式が用いられるようになり、そのばらつき抑制と信頼性向上が確保されています。そのため、測定定量性や再現性が確保しやすいです。

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