ラチェットハンドル

ラチェットハンドルとは

ラチェットハンドルとは、ソケットレンチの1種で、ラチェット機構を持ったハンドルのことです。

ラチェット機構は、力がかかる回転方向を一方向に制限する歯車を指します。身近な使用例は、自転車のペダル部分です。ペダルを漕ぐ時は力がかかりますが、漕いでいない時は歯車が空回りしています。

これと同じように、ネジを締めたいときにハンドルを時計方向に回した時は力が伝わり、緩め方向の反時計回りにハンドルを回した時は空回りすることが可能になります。これにより、ネジの締め/緩め作業時にネジの回転に伴って工具を持ち換え直す必要が無くなるため、作業が格段に早くなるのが利点です。

なお、力がかかる回転方向はレバーにより簡単に切り替えることができるため、ネジの締め/緩め作業の切り替えも容易です。

ラチェットハンドルの使用用途

ラチェットハンドルは、ネジの締め/緩め作業に使用します。ネジの回転に伴ってソケットを掛け直すことなく締める、あるいは緩める動作を連続で繰り返すことが可能です。

通常は、ネジを回転させるたびに都度工具をネジから外し、再度別の角度から工具を挿入して締める/緩める作業を何度も繰り返して行う必要があります。ボルトのピッチにもよりますが、ボルトが1回転することで1.5mm (もしくは1.25mm) ずつしか進まないため、仮に長さが10mmのボルトだと6〜7回転させないと外せません。

このやり方ではボルトの長さに比例して、作業時間も多くかかってしまいます。しかし、ラチェットハンドルを用いることで、都度工具を外すこと無く高速でボルトを回転できるようになるため、大幅な作業時間の短縮が可能です。

ラチェット機構の力を掛ける回転方向は、レバーによって締め方向、緩め方向を簡単に切り替えることができます。作業スペースの狭い場所でソケットレンチを使う場合は、ハンドルの回転角度いっぱいまできたらソケットを一度抜いて、掛け直す必要があります。それに対して、ラチェットハンドルを使えば、逆方向にハンドルを回転させるだけで再び、締め、緩めを繰り返すことができます。

ラチェットハンドルの原理

ラチェット機構の内部には爪と歯車があり、この爪と歯車が噛み合うことで回転を止めています。爪はバネの力を使って歯車へ押し当てられています。

爪と歯車の関係はある一定方向にのみ作用し、反対方向に歯車が回転することで爪を押し上げて歯車が回転するように設定されています。ラチェット機構を使って力が掛からない方向へ回した際に「カチカチ」音が鳴るのは、爪が押し上げられて次の歯車の間に落ちるためです。

回転方向を切り替えるレバーを操作することで、爪の噛み合わせ方向が異なる別の爪が歯車と再度噛み合い、逆回転にも対応しています。

ラチェットハンドルの選び方

1. サイズ

サイズは、ソケットの差し込みサイズとラチェットハンドル自体のサイズで意味が異なります。ソケットの差し込みサイズは、一般的に1/4 (6.35mm) 、3/8 (9.5mm) 、1/2 (12.7mm) の3種類が広く普及しています。

対応しているソケット側にサイズバリエーションの有無等大きな違いはないため、必要に応じて選定します。3/8 (9.5mm) が大きすぎず小さすぎず使い勝手が良いため、最初はこのサイズがおすすめです。

ラチェットハンドル自体のサイズは、ソケットの差し込みサイズが大きくなるのに比例して、ハンドルも大きくなっていきます。ラチェットハンドルが大型化することで強度が増すため、高いトルクをかけることが可能になります。ソケットのサイズによっては、爪切りのような小さいタイプもあり、狭い場所でも難なく使えるようになります。

2. ロック機構の有無

ロック機構があれば、基本的にはロック解除をしなければソケットが抜けないため、安全に作業することができます。しかし、脱着の際はロック解除ボタンを押しながら、ソケットを脱着する必要があり、頻繁にソケットを脱着する必要がある場合は手間が増えてしまいます。

ロックを解除しないで無理やりソケットを外そうとするとラチェットハンドルの破損に繋がってしまうため、必ずロックを解除してからソケットを脱着する必要があります。ロック機構が無い場合でも、ボールプランジャーと呼ばれる簡易的な抜け防止機構が付いているので、必ずしもロック機構が必要となるわけではありません。

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