ワイヤーカッターとは
ワイヤーカッターとは、ワイヤーロープやケーブル、電線などの細い線をまとめて束ねたような線形の資材を切断するための工具です。
ワイヤーカッターを使って切断することで、資材の切断面が乱れたり、バラバラになったりすることを防ぎ、ニッパーやペンチなどで切断したときよりもきれいな断面に仕上げることができます。また、2本以上の金属線を編んで作られた「より線」のような強力なワイヤーも強度を保ったまま切断することができます。
ただし、太い針金やピアノ線のような硬い素材を切断する場合には、刃が欠けたり切れ味が悪くなったりするため適していません。
ワイヤーカッターの使い方
ニッパーやペンチと同じようなハサミ型の場合は、切断したいワイヤーを刃部分に挟み、ハンドル部分を手で握って刃を閉じることで切断します。
油圧式手動タイプの場合は、切断したいワイヤーを刃部分にセットして固定したあとに、ハンドル部分を上下すると油圧の力によって切断します。
油圧式電動タイプの場合は、ハンドル部分を上下する必要がなく、ワイヤーカッター本体のトリガーを引くと自動で油圧がかかり、刃部分が動くことでワイヤーを切断します。
電動式の場合は、切断したいワイヤーを刃部分で挟み込み、ワイヤーカッター本体の電源を入れます。そのあと、本体のトリガーを引くと刃が自動的に動いてワイヤーを切断します。
ワイヤーカッターの選び方
ワイヤーカッターを選ぶときは、一度に切断できるワイヤーの最大径を示す最大切断能力と、切断可能な材質を必ず確認します。切断能力は、「直径20 mm」や「Φ20 mm」などと表記されることが一般的です。また、「IVΦ20 mm」のように切断可能な材質と併せて表記されているものもあります。この場合、直径20 mm までのIV線(ビニル絶縁電線)が切断可能であることを示します。
主にワイヤーカッターには、ペンチ式、ラチェット式、油圧式、電動式の4種類があり、切断したいワイヤーの太さや硬度により種別を選択します。以下にそれぞれの特徴をまとめます。
- ペンチ式
ペンチやニッパーと形状が似ているため初心者でも扱いやすく、ニッパーでは切断できない硬さ、太さのワイヤーを切断することができます。軽くて持ち運びやすいため、精密な作業をする場合にも適しています。 - ラチェット式
力を加える一方向にのみ回転を伝え、反対の回転は伝えない「ラチェット機構」を通して切断方向にのみ刃を動かすことで、太めのワイヤーでも少ない力で切断することができます。 - 油圧式
加圧した油を介して刃に動力を伝えることで、少ない力でより早くワイヤーを切断することができます。そのため、高所や足場の悪い所でも活用できます。また、長時間に及ぶ作業や頻繁に切断作業をする場合の負担も軽減することができます。 - 電動式
モーターによって刃を動作させることで、力を加えず高速で簡単にワイヤーを切断することができます。切断能力が非常に高く、エレベーターのワイヤーロープ交換や火花禁止区域でのワイヤーの切断にも適しています。電動式には、コンセントに繋いで使用するコンセント式と、充電式があります。コンセント式の場合は、電源の位置とコードの長さで作業できる範囲が限られています。対して、充電式の場合は、作業時間に制限があることを考慮する必要があります。
ワイヤーカッターは種類だけでなく、刃の形状や安全性能もさまざまなものがあるため、用途や目的に沿って適切に選びます。以下に主な安全性能や刃の形状についてまとめます。
- 刃の形状
両刃の場合は、切断力が片刃よりあるため少ない力で切断することができます。しかし、太めのワイヤーの切断には向いていません。片刃の場合は、両刃より力が必要になりますが、両刃で切断しにくい太さのワイヤーを固定して切断することができます。 - 安全性能
ワイヤーカッターを使用していないときや作業を中断しているときに刃が開いたり動いたりしてしまわないように、開閉ロックやストッパー機能がついていると安全です。また、ケーブルや電線を切断する場合に万が一通電していたときでも感電しないように、ハンドル部分が絶縁処理されているものを選ぶと安心です。