ギアレンチ

ギアレンチとは

ギアレンチ

図1. ギアレンチ

ギアレンチとは、コンビネーションレンチ(片方がスパナ、もう片方がメガネレンチ)のメガネレンチにラチェット機構のギアがついたレンチです。

コンビネーションギアレンチ、ラチェットコンビネーションレンチ、ラチェットメガネレンチなど、メーカーによってさまざまな呼ばれ方をしています。

ギアレンチの使用用途

ギアレンチは、ボルトやナットを締めたり緩めたりする際に使用します。具体的には、車やバイクの整備、産業機械の組み立て、設備工事、配管工事など、使われるシーンは幅広いです。

特に奥まった狭いところにあるボルトやナットに対してよく使用されます。ラチェット機構があると作業スピードが向上するため、生産性が求められる現場でも重宝されます。

ギアレンチの原理

ギアレンチとメガネレンチの振り幅

図2. ギアレンチとメガネレンチの振り幅

ギアレンチは、メガネレンチについているラチェット機構が最大の特徴です。ラチェット機構とは、一方向にのみ力を伝え回転する仕組みです。

身近なラチェット機構の例として、自転車のペダルが挙げられます。ペダルを前に回せば自転車は前に進みますが、逆にペダルを回しても空回りするだけで後ろには進みません。

一般的なメガネレンチでボルトを締めていく場合、メガネレンチを何度もボルトから外して、はめ直す必要があります。しかし、ギアレンチならば締め方向にしか力が伝わらないため、連続的な締め作業が可能です。はめ直しが不要な分、作業効率が格段にアップします。

また、ラチェット機構があることで、小さい振り幅で締め作業ができます。一般的なメガネレンチは12角のため、30°  (360° ÷ 12) の振り幅が必要です。ギアレンチは、主流の72ギアで計算すると5° (360° ÷ 72) の振り幅で済みます。振り幅を小さくできると、狭いスペースでの作業が可能になります。

ギアレンチの選び方

ギアレンチを選ぶ際に見るべきポイントは、以下の4点です。

1. ボルトのサイズ

ギアレンチを選ぶ際に、もっとも重要なのがボルトのサイズです。サイズが合わないと使用できないため注意しましょう。1mm単位で市販されていますが、よく使われるサイズは8mm、10mm、12mm、14mm、17mm、19mmです。

セットで購入する場合は、ミリサイズのセットであることを確認する必要があります。インチサイズもありますが、一般的にはミリサイズのボルトが多く使われています。

2. レンチの長さ

ギアレンチの柄の長さは、通常タイプのほかに、ロングタイプとショートタイプがあります。基本的に通常タイプがあれば、多くのケースに対応可能です。

ロングタイプは、手の届かないところや大きな力が必要な場合に使用されます。ショートタイプは、スペースが狭くて通常タイプでは柄が回せない場合に必要です。

3. 首振り

首振りタイプのギアレンチ

図3. 首振りタイプ

ギアレンチには、メガネレンチが固定タイプのものと首振りタイプのものがあります。首振りタイプのギアレンチは、フレックスギアレンチとも呼ばれます。

首振りタイプは、角度をつけてボルトにアクセスできるため大変便利です。干渉物があると固定タイプでは対応できないため、どちらか1つを購入するなら首振りタイプがおすすめです。

ただし、首振りタイプは首を固定しながらボルトを回すため力を入れにくいです。作業の安定性においては固定タイプのほうが優れています。

4. ギア数

ギアレンチのラチェット機構は72ギア(送り角度5°)  が主流です。さらに、80ギア (送り角度4.5°) 、90ギア (送り角度4°) 、100ギア (送り角度3.6°) 、120ギア (送り角度3°) の製品もあります。ギア数が多いほど送り角度が小さくなり、狭いスペースでの作業がやりやすくなります。

72ギアに満たないギアレンチは、本締めができない製品もあるため注意しましょう。72ギア以上のギアレンチは、ほとんどが本締めまで可能です。

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