ステンレスベアリング

ステンレスベアリングとは

ステンレスベアリング

ステンレスベアリングとは、材料にステンレスを使用したベアリングです。ステンレス素材は耐腐食性に優れるため、食品加工工場や高温多湿な地域で使用します。

ステンレスベアリングの使用用途

ステンレスの耐腐食性を活かせる環境として、水中や多湿環境、食品加工工場、高温環境、酸・アルカリ環境などがあります。それぞれの使用用途を下記します。

1. 水中や多湿環境

耐腐食性によって、水中や多湿環境で使用されます。使用例としては、水中ポンプ洗浄装置などが挙げられます。

2. 食品加工工場

ステンレスの耐腐食性から異物が固着しにくいため、清潔感ある外観を維持可能です。食材や製品に接触する恐れがあるため、潤滑に食品用グリスを使用する場合もあります。使用例としては、食品搬送装置などが挙げられます。

3. 高温環境

高温下では、大気腐食に特化したステンレスベアリングが使用されます。使用例としては、金属焼成炉内などが挙げられます。

4. 酸・アルカリ環境

腐食に耐性があるため、酸性やアルカリ性の気液薬品移送に使用可能です。使用例としては、化学装置や鍍金装置などが挙げられます。

ステンレスベアリングの特徴

ステンレスベアリングの特徴は、ステンレスを用いていることです。ステンレスは国際規格で、『鉄を主成分として、クロム、炭素がそれぞれ10.5%以上、1.2%以下含まれている合金鋼』と定められています。耐食性に優れ、腐食環境でも使用する可能です。

製品によっては、使用用途に合わせてセラミックやフッ素樹脂加工などが施されます。用いる素材を変えたり加工を加えることで、使用用途や使用環境に適したベアリングとして販売されています。

ステンレスベアリングの種類

ステンレスベアリングは材料であるステンレスの種類によって性能が異なります。ステンレス鋼材はJIS(日本工業規格)にてSUSという記号が割り当てられており、「ステン」や「サス」とも呼ばれます。

材料として使用される代表的なステンレスを下記します。

1. SUS304

SUS304とは、鉄にクロムやニッケルを添加したオーステナイト系ステンレスで、高い耐食性や耐熱性を持ちます。クロムやニッケルを含むため比重や密度は大きく、磁性をもたないため磁石にはくっつきません。価格は相応ですが、流通量が多く入手しやすいステンレス材です。

2. SUS440C

SUS404Cとは、鉄にクロムと炭素を添加したマルテンサイト系ステンレスです。焼入れや焼戻しによってステンレス中でも最高硬度を持つため、強度が必要な場合で使用されます。耐食性は他のステンレスよりは低いです。

3. SUS630

SUS630とは、を添加することで強度を強化した析出硬化系ステンレスです。磁性を持っているため、磁気発生場所での使用は困難です。JIS規格ではH900、H1025、H1075、H1150に分類され、数字が低いほど硬くなります。

ステンレスベアリングのその他情報

ステンレスベアリングの錆について

ベアリングは日本語では「軸受」と呼ばれ、「物の回転を手助けする部品」です。回転体を支えつつ、摩擦を少なくして回転を滑らかにする役割を担っています。

そのため、錆びると本来の役割を果たせないだけでなく、固着や劣化によって機械の故障原因になります。したがって、ベアリングは使用環境に耐えるよう選定する必要があります。ステンレスベアリングは鉄製や樹脂製と比較して高価な反面、耐食性や耐熱性に優れています。

参考文献
https://smtbearing.com/wp/wp-content/uploads/2020/02/16-%E4%BD%BF%E7%94%A8%E4%BA%8B%E4%BE%8B%E6%94%B9%E5%96%84%E4%BA%8B%E4%BE%8B.pdf
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/3903.pdf
https://www.nsk.com/jp/products/spacea/corrosive/
https://koyo.jtekt.co.jp/2018/11/column01-01.html
https://www.susjis.info/austenitic/sus304.html
https://www.silicolloy.co.jp/material/sus440c/

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