ビニルキャブタイヤケーブルとは
ビニルキャブタイヤケーブルとは、キャブタイヤケーブルの一種で、絶縁体とシースの素材がビニールで構成された電線です。
英語で表記すると「Vinyl Cabtire Cable:であり、頭文字を取ってVCTと呼ばれます。高い柔軟性や耐水性を持っているため、移動用電線として最適です。
ビニルキャブタイヤケーブルの使用用途
ビニルキャブタイヤケーブルは身近な家電製品から産業用機械まで、幅広い用途で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。
柔軟性に優れているため、移動が必要で且つ大きな動力が必要な配線に広く用いられます。また、柔軟性の高さから屈曲や張力に強いのが特徴です。そのため、工事現場などで持ち運び使用する機器にも使用されます。
ビニルキャブタイヤケーブルの原理
ビニルキャブタイヤケーブルは、芯線、絶縁体、シースで構成されます。
1. 芯線
芯線は、電気の通り道となる金属材料部分です。芯線の材料はほとんどの場合は銅が使用されます。他の金属と比較して導電率が高い上に安価なためです。芯線は複数本の細い銅線を撚り合わせた「より線構造」となっており、ケーブルが柔らかくなるため取り回しが簡単です。
2. 絶縁体
絶縁体は、芯線を保護する絶縁材料です。ビニルキャブタイヤケーブルでは、ポリ塩化ビニルなどのビニル材料が使用されます。識別を容易にするために色が付けられた絶縁体が一般的です。
3. シース
シースは、絶縁体付き芯線を外部環境から保護する絶縁材料です。電磁ノイズ防止などの観点から、絶縁体付き芯線はシース内部で撚り合わせられています。ビニルキャブタイヤケーブルのシースはポリ塩化ビニルなどのビニル材料です。一般的には灰色ですが、指定するとシースが色付きのケーブルも購入可能です。
ビニルキャブタイヤケーブルの特徴
ビニルキャブタイヤケーブルは、ゴムキャブタイヤケーブルと比較して軽く、柔軟性が高い点が特徴です。また、取り回しが容易で、価格も安価な点も特徴と言えます。
ただし、ゴムキャブタイヤケーブルの方が頑丈で対候性にも優れているため、鉱山などの過酷な条件下で使用されます。
ビニルキャブタイヤケーブルの種類
ビニルキャブタイヤケーブルには多くの種類が存在します。代表的な種類は、以下の通りです。
1. VCT
一般的なビニルキャブタイヤケーブルです。安価なため、最も汎用的に使用されています。耐電圧は600V以下である場合が一般的です。
2. VCTF
絶縁体とシースは同様にビニル材料ですが、VCTより安価なビニルキャブタイヤケーブルです。主に小型の電器機器に使用されます。VCTが600V以下で使用可能なのに対し、VCTFは300V以下でなければ使用できません。
ただし、VCTよりも被膜が薄い分、さらに高い柔軟性があります。耐水性にも優れているため、厳しい環境下においても耐えることのできる耐久性を持っているのが特徴です。
3. H-VCTF
耐熱性を有するビニルキャブタイヤケーブルです。一般的なVCTFよりも耐熱温度が高く、工業炉周りなどの熱が加わる条件で使用します。
4. S-VCTF
被覆に高重合体を使用したVCTFです。寒冷地で使用することが可能で、-45℃程度の耐寒性を有しています。
ビニルキャブタイヤケーブルのその他情報
キャブタイヤケーブルの由来
キャブタイヤケーブルは馬車のタイヤに由来した和製英語です。馬車のタイヤを製作していた会社がケーブルにタイヤ被覆を使用したことから、Cab (馬車) のTire (タイヤ) のように頑丈なケーブルとしてキャブタイヤケーブルと名付けられました。
タイヤはゴムで作られるのが一般的ですが、ビニル系被覆のタイヤもキャブタイヤケーブルと呼ばれています。