セラミック3Dプリンターとは
3Dプリンターは、3次元CADなどの設計データをもとに、スライスされた2次元断面を1層ずつ積み重ねることで、立体モデルを製作する装置です。
セラミック3Dプリンターは3Dプリンターの一種で、材料として、陶器、磁器、ガラス、セメントなど無機化合物材料であるセラミックを使用するものを指します。
3Dプリンターには他にも金属3Dプリンター、プラスチック3Dプリンターなどがありますが、金属やプラスチックに比べさまざまな元素の組合せが可能なセラミックは、多様な特性を実現できることから広い応用分野を持ちます。そのため、近年セラミック3Dプリンターの需要が高くなっています。
セラミック3Dプリンターの使用用途
セラミック3Dプリンターは、従来の製造方法では製作できなかった複雑な形状の部品や中空構造の部品を製造することができ、また、試作品の製作にも適しているため、さまざまな分野で使用されています。
製造業界では、既存部品の代替品としてセラミック部品を使用する際の試作品・最終製品の造形やカスタムパーツなどの多品種小ロット生産に、医療分野では患者一人一人に合わせたオーダーメイドのインプラント人工骨の製造に、装飾業界では複雑で独創性の高いデザイン造形などに、セラミック3Dプリンターは使用されています。
セラミック3Dプリンターの原理
セラミック3Dプリンターでセラミックス製の部品や製品を造形する方法にはさまざまな方式がありますが、現在は以下の2つの方式が主流です。
- バインダージェット法:
インクジェットヘッドから紫外線硬化性樹脂の結合材を噴射し、粉末状のセラミック材料を一層ずつ積層していく方法です。
紫外線レーザーで選択的にセラミック材料を硬化させることができるので、複雑な造形が可能になります。また、紫外線硬化性樹脂の色を変えることで、セラミック材料に着色することができるため、デザイン関連の用途に向いています。
- 光造形法:
3Dプリンター方式の中で最も古い原理の方式で、液体状の紫外線硬化性樹脂の入ったプールに造形用のテーブルを浸し、プールから引き上げた後、紫外線を照射して、一層ずつ積層していく方法です。
光造形法はさらに、紫外線レーザービームを使うステレオリソグラフィー(SLA)方式と、プロジェクターを使って面に対して紫外線を当てるデジタルライトプロセッシング(DLP)方式に分かれます。
光造形法は、造形速度が速く造形精度も高いため、試作品や治工具、金型の製造に向いています。