セラミック3Dプリンター

セラミック3Dプリンターとは

セラミック3Dプリンター

セラミック3Dプリンターとは、3Dプリンターの一種で、材料に磁器、陶器、ガラス、セメントなど無機化合物素材であるセラミックを用いた造形方法です。

3Dプリンターには他にもプラスチック3Dプリンターや金属3Dプリンターなどがありますが、セラミックはプラスチックや金属に比べてさまざまな元素の組合せを再現できます。多様な特性を実現できることもあって広い応用分野を持つセラミック3Dプリンターは、近年大きな注目を集めています。

セラミック3Dプリンターの使用用途

セラミックは、高強度で耐食性や耐熱性、電気絶縁性などに優れており、金属より軽いなど多くの特徴を持っているため、金属の代替品としても期待されています。セラミック3Dプリンターはそんなセラミック素材を使って造形するため、切削加工など従来の製造方法では製作できなかった複雑な形状の部品や、中空構造の部品まで製造することができます。

またセラミック3Dプリンターは加工の精度や速度、コストパフォーマンスにも優れ、試作品の製作にも向いているので、以下のようにさまざまな分野で使用されています。

1. 製造業界

IoTの普及などに伴って部品の小型化、高速化が求められるようになり、セラミック部品の需要が高まっています。複雑な形状に造形可能なセラミック3Dプリンターを使うことで、高性能な部品が製造でき、自動車産業、航空宇宙産業といった分野でも重宝されています。

また既存部品の代替品として、セラミック部品を使用する際の試作品や、最終製品の造形やカスタムパーツなどの多品種小ロット生産にも使用可能です。

2. 医療業界

セラミックは、軽い、薬品に強い、金属アレルギーの心配がないなどの特徴から、生体適合性が高い素材といえます。こうした特徴が発揮されているセラミック3Dプリンター部品は、それぞれの患者に合わせてオーダーメイドされたインプラント人工骨、歯科用インプラントの製造に用いられます。他にも再生医療用部品として脊椎固定用ゲージ、人工心肺用ポンプなどにも使用されています。

3. 装飾業界

セラミック3Dプリンターは高度な独創性や創造性が求められる装飾業界でも使用されています。複雑でこれまで再現できなかった形状や、独創的でデザイン性が高い造形などにも対応できます。

セラミック3Dプリンターの原理

セラミック3Dプリンターの造形原理について紹介します。主に使用されるセラミック材としては、アルミナ (アルミナセラミックス) 、窒化アルミ、ジルコニア、窒化ケイ素などがあります。

粉末状になったセラミック材を、光硬化性樹脂と分散剤を混合し、スラリー状 (ペースト状) にします。3DCADデータをスライスデータに変換して装置に入力し、スラリー状にした材料を塗布した後にレーザーを照射して、1層ごとに硬化および積層することで造形します。

造形後は取り出して洗浄し、脱脂 (樹脂成分の取り除き) と焼結を経て部品が完成します。部品の内部まで焼結することによって緻密な結晶組織となり、高強度で耐食性や耐熱性に優れた特性が付与されます。

セラミック3Dプリンターの種類

セラミック3Dプリンターの造形方法にはさまざまな種類がありますが、主に現在使用されているのは以下の2つの方式です。

1. バインダージェット法

インクジェットヘッドを用いて、紫外線で硬化する樹脂バインダーを噴射し、セラミック粉末を一層ずつ積み重ねて造形する方法です。紫外線レーザーを用いてセラミック材を選択的に硬化させることが可能なので、複雑な形状を作ることができます。

また、紫外線硬化性樹脂の色を変更することで、セラミック素材に着色することができ、デザイン関連の用途に適しています。

2. 光造形法

3Dプリンター技術の中で最も古典的な原理に基づく方法です。液状の紫外線硬化性樹脂が入ったプールに造形用テーブルを浸し、その後紫外線を照射して一層ずつ積み重ねていきます。

光造形法は、紫外線レーザーを使用するステレオリソグラフィー (SLA) 方式と、プロジェクターで面全体に対して紫外線を照射するデジタルライトプロセッシング (DLP) 方式の2つに分かれます。この方法は造形速度が速く、高精度な仕上がりを実現するため、試作品や治工具、金型製作に適しています。

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