ナイロン3Dプリンターとは
ナイロン3Dプリンターとは、ナイロンをフィラメント材(3Dプリンターの使用材料)に使用し、3次元CADデータ(STLデータ)から立体的な造形品(パーツ)を製作する装置です。
ワークを製作する方法は大きく2種類あります。一つはFDM(Fused Deposition Modeling/溶解積層法)と呼ばれる方法です。
これはフィラメント材を高熱で溶解・溶出しながら2次元の薄い材料の層を積み重ねて設計データ通りに形状を作り出します。
もう一つは、SLS(粉末焼結積層造形)と呼ばれる方法です。
これは粉末状のフィラメント材にレーザー光を照射して加熱焼結して目的の形状を作り出す方法です。
特にナイロン材料は、機械的強度が高いため精密機械や自動車部品を製作する場合に用いられます。
ナイロン3Dプリンターの使用用途
ナイロン3Dプリンターの使用用途には次のようなものがあります。
- 試作品(プロトタイプ)
・ナイロンの用途として、機能的な性能を追求する試作品に使用されます。
例えば、形状サンプルだけでなく製品の機械的強度、薬品耐久性、及び衝撃耐久などの性能テストに使用されます。 - 治工具関連
・ナイロンの耐摩耗性や高い機械強度から生産工程に使用する治工具の製作に使用されます。 - 最終製品(主に部品)
・自動車分野や航空宇宙分野で使用される部品に使われます。
ナイロン3Dプリンターの特徴
ナイロン3Dプリンターで作られた造形品の特徴は次のようになります。
【メリット】
- 耐熱性
・ナイロン材料で製作されたパーツは高い耐熱性を有しています。具体的には材料の種類により最高80℃の高温にも耐えることができます。 - 耐衝撃性
・ナイロン材料は一般的に耐衝撃性が高いです。特に熱可塑性樹脂の中でも高い耐衝撃性を有しています。 - 引張強度(靭性)
・この材料は高い靭性があるためパーツに力を加えると初めは弾性変形しますが、その形状を保ち簡単には割れません。
【デメリット】
- ナイロン自体は吸湿性が高く、そのためパーツが不良品となる
・パーツ不良発生防止のためナイロンを乾燥状態で保存します。
そのため、材料保管は乾燥容器を使用し、プリンター自体も乾燥した室内で使用します。 - パーツ反り
・材料自体が吸湿すると造形中に変形する恐れがあります。 - 層間密着不良
・FDM式では、吸湿した材料を使用すると出来上がったパーツ内の層間接着強度が低下します。 - 機械的強度が低下
・乾燥した材料によるパーツの耐衝撃性、耐摩耗性は高いのですが、吸湿材料を使用するとその特性は失われます。