コンベックスとは
コンベックスとは、長さや距離を測定する巻き尺の1つで、目盛のテープが薄い金属でできたものです。
コンベックス (英: Convex) は、凸であることを意味する英語が由来で、正式には「コンベックスルール」と言います。英語圏では「Steel Tape (金属テープ) 」や「Tape Rule (テープ状ものさし) 」と呼ばれています。
プロから家庭でのDIYと使用頻度が高く、作業にはかかせないアイテムです。
コンベックスの使用用途
コンベックスは主に建築現場において木工や左官工事をするために用いられる他、工場での工作やオフィスでも使用されます。特に建築現場では重宝されるため、目盛がメートル単位のみならず、尺貫法 (寸) で書かれているコンベックスも存在します。
メジャーと混在されがちですが、メジャーは布やビニール製で柔らかく、主に身体測定や被服の寸法取りに使われているため、使用用途が異なります。
コンベックスの特徴
コンベックスは、測定しやすいようにさまざまな工夫が施されています。「ゼロ基点補正」という機能は、テープ先端の爪が移動する仕組みです。引っかけたり押し当てたりして爪の厚みを補正し、正確な長さを測定することができます。
また、内部に組まれているぜんまいばねの機構で伸ばした状態のテープを素早く巻き取ることが可能で、作業効率の向上につながります。
コンベックスの選び方
コンベックスは各メーカーから、色々な商品が販売されています。デザインはもちろん、長さや材質に違いがあるため、作業目的にあった商品を選ぶことが重要です。
1. 長さ
コンベックスの長さは、1mと短いモデルから10mと長いモデルまであります。家庭などで一般的な用途で用いる場合には、3.5m〜5m程度のモデル、建築現場などで使用するのであれば、テープの長さが5〜10m程度のモデルがおすすめです。
測れるテープが長いほど、サイズが大きくなり価格も高い傾向にあります。購入する際は、どの程度テープの長さが必要なのか、事前に確認しておくことが大切です。
2. テープの幅
テープの幅は6mm〜27mm程度まであり、様々なタイプから選ぶことができます。幅が広いものほどテープの湾曲が大きくなり折れにくく、幅が狭いものは折れやすくなります。
テープの幅が広ければ作業性は高くなりますが、その分サイズが大きくなり重くなるため、用途にあったタイプを選ぶようにします。
3. 目盛
コンベックスの目盛表記には「メートル目盛り」の他に、建築現場で使われる「尺相当目盛」が付いたものがあります。また、裏面にも目盛があるタイプは天井や壁面、柱などのマーキングに便利です。
通常、家庭での作業などでは「尺相当目盛」を使用することはあまりないため、「メートル目盛り」のみのタイプを選べば問題ありません。
4. テープの材質
ステンレス製
耐久性に優れ錆びにくいのが大きな特徴です。雨の日や、水回りなどで使用することが多い場合は、ステンレス製がおすすめです。
スチール製
一般的に使用されている材質で、多くのタイプに採用されています。強度が強く安価ですが、ステンレス製と比べ錆びやすい欠点があります。
5. コーティング剤の種類
アクリル樹脂コート・エポキシ樹脂コート
アクリル樹脂やエポキシ樹脂を施した、一般的なコーティングです。耐摩耗性に優れすり切れなどを防止します。
ポリエステルコート
ポリエステル樹脂を使って塗装を施したものです。耐摩耗性に加え、耐薬品性・耐水性にも優れているため、さまざまな環境で使用することができます。
ナイロンコート
薄いナイロンの被膜を表面に作り、目盛の耐久性を高めたコーティングです。砂やほこりの発生する、過酷な環境でも、問題なく使用することができます。
デュラコート
特殊樹脂コートを施した、サビや折れに強いコーティングです。ナイロンコートよりも耐摩耗性に優れ、テープを引き出して採寸することが多い場合に適しています。
シリカコート
シリカを配合したコーティング剤を施したものです。反射防止効果があり、目盛りの視認性を高めてくれます
6. ロック機能
ロック機能とは、テープの出し入れと固定をボタンやレバーでコントロールできる機能です。長い距離を1人で測定する際に役立ちます。
ボタンなどを押すことでロックするタイプや、テープを引き出せば自動でロックになるオートロックタイプ、強力なロックが可能なWロックタイプがあります。
コンベックスのその他情報
コンベックスの規格
コンベックスにはJIS規格 (JIS B 7512) が定められています。JIS1級を取得した製品の目盛の精度は、許容差が± (0.2+0.1 mmと定められています。
例えば、2メートルであれば、0.2 + 0.2 = ±0.4mm (爪を含む場合は更に±0.2mm加算) となります。精度を求められる作業で使用する場合は、JIS1規格取得品が望ましいです。