クロロプレンゴム

クロロプレンゴムとは

クロロプレンゴム

クロロプレンゴムは耐オゾン性、耐油性、耐熱性など様々な物性がバランスよく優れた合成ゴムで、自動車のベルトやホース、Oリング、接着剤など幅広い用途で用いられています。

クロロプレンゴムは主鎖構造の中に炭素原子同士の二重結合を有すること、二重結合を有する炭素原子に塩素原子が結合していることが特徴で、主鎖に塩素を含んでいるため耐油性、耐薬品性などが他の汎用ゴムに比べて優れています。

市販のクロロプレンゴムは主鎖の一部がクロロプレンモノマーとは異なる構造を有しています。一般的にはメルカプタン変性タイプのクロロプレンゴムが用いられていますが、機械的物性に優れたキサントゲン変性タイプ、混練時に大きな粘度低下を起こすことができる硫黄変性タイプといったクロロプレンゴムも用途に応じて使い分けられています。

クロロプレンゴムの使用用途

クロロプレンゴムは合成ゴムの一種で耐オゾン性、耐油性、耐熱性などに優れたゴムです。物性も含めた様々な観点でバランスの取れたゴムとも言え、数多くの業界で用いられています。

クロロプレンゴムの用途としては例えば自動車のベルトやホース、ワイヤーやケーブル、Oリングなどが挙げられます。また有機溶剤に溶解させて接着剤として用いることもあります。クロロプレンゴムを用いた接着剤はゴムや金属、硬質プラスチックなど幅広い材料に用いることが可能です。

クロロプレンゴムの構造

クロロプレンゴムの構造

図1. クロロプレンゴムの構造

クロロプレンゴムは主鎖に二重結合を有すること、二重結合を有する炭素に直接塩素が結合している構造であることが特徴の一つです。主鎖に塩素が含まれているため、他の汎用ゴムよりも耐油、耐薬品、耐熱性に優れています。

クロロプレンゴムの原料としてはアセチレンもしくはブタジエンが用いられます。アセチレンを二量化した後に塩酸を付加する、またはブタジエンを塩素と反応させた後に水酸化ナトリウムによって脱塩酸反応を起こすことでクロロプレンモノマーを得ることができます。ちなみにこれら2つの方法のうちアセチレン法は副反応によって爆発性の高い化合物も生成するため、一般的にはブタジエン法が採用されています。

このクロロプレンモノマーを重合させることでクロロプレンゴムを製造します。なお一般的に重合法としてラジカル乳化重合が採用されています。

クロロプレンゴムの物性

クロロプレンゴムには主鎖中の一部の化学構造を変性させることで物性を変化させたものも販売されています。一般的に用いられるのはメルカプタン変性タイプで様々な物性がバランスよく優れたゴムです。その他、分子鎖の末端で反応が起きやすいキサントゲン変性タイプでは分子鎖同士が反応することで高分子量化、網目構造化した機械的物性、防振特性に優れたゴムが得られます。また主鎖の中に比較的弱い結合である硫黄結合を含み、混練時に切断、低粘度化させることができる硫黄変性タイプというクロロプレンゴムも販売されています。

なおクロロプレンゴムは製造プロセス、反応性の観点から他のモノマーとの共重合品を得るのは容易ではありません。そのため、他の合成ゴムと比較すると新たな特性を有するクロロプレンゴム共重合品の種類、数は限られています。しかし、その中でも例えばメタクリル酸と共重合させたゴム、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンと共重合させたゴムが存在し、前者は加硫特性や接着性などに、後者は低温特性に特徴を有するものとして用いられています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/78/2/78_2_81/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/58/3/58_3_167/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/89/11/89_330/_pdf/-char/ja

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