サクションホースとは
サクションホースとは、水や空気など何かを吸い込むために使用するホースのことです。
サクション (Suction) は、日本語で「吸引」を意味します。液体がホースの内部を流れる場合は、ホースの内側には液体による圧力がかかります。この時、圧力が大きい場合には、通常のホースではその圧力に耐えられずホースが折れ曲がってしまい、経路がふさがって液体が通らなくなります。
そのため、サクションホースは、ホース自体に柔らかい樹脂を使用していても強度をもたせるために、さらに硬質な樹脂をらせん状に埋め込んだような構造を有しているのが特徴です。このらせん状の硬質樹脂の埋め込み構造により、サクションホースは高い耐圧性や可撓性を持ち合わせています。
サクションホースの使用用途
サクションホースは、液体や気体、泥水などを吸引輸送し、吐き出す際に使用されています。使用用途の分野は非常に幅広いです。
建設や土木現場、農業用途、食品加工工場向け、衛生車両などに使用される場合が多く、使用される場面よってサクションホースを使い分けています。例えば、貯水タンクからの放水に使用する場合、高い位置からの放水になるため、用いられるのは軽量タイプのサクションホースです。
また、土木現場で泥水を吸い出す際に使用する場合は、砂を含んだ重たい液体を吸い上げるため、より耐圧性の高い頑丈なサクションホースを選定する必要があります。
サクションホースの原理
サクションホースは、軽量で持ち運びにも優れながらも高い耐圧特性を確保するために、金属や硬質樹脂がらせん状に埋め込まれています。サクションホースの構造には、「サクション」と呼ばれる吸い込み側と「デリバリー」と呼ばれる吐き出し側をつなぐ側の2つがあります。
通常のホースは、塩化ビニル素材を筒状にしただけの「単層」ホースですが、サクションホースでは塩化ビニルの他に合成樹脂や金属を補強材として埋め込むのが特徴です。そのため、「複層」ホースとも呼ばれています。
基本的には耐圧性が高くなればなるほどホース自体も重くなります。サクションホースは人が動かす場面も多く、できるだけ軽量かつデリバリー側から受ける圧力にもしっかりと耐えられるホースを選定することがポイントです。
サクションホースのその他情報
1. サニーホースとサクションホースの違い
サニーホース (フラットホース)
サニーホース (フラットホース) とは、化学繊維と軟質塩化ビニルを材質とする構造であり、通常のビニールシートのように平たく折った状態で円状に巻いて格納するタイプのホースです。軽量でコンパクトに格納できますので持ち運びには非常に優れますが、耐圧が限られます。
サクションホース
サクションホースの場合は、高耐圧タイプだと1MPを許容する製品もありますが、サニーホースにはそのレベルの耐圧の製品は基本的にないです。しかしながら、サクションホースは緩やかにしか構造上曲げることができないのに対して、サニーホースは形状の自由度が高く、取り回しの利便性は非常に高いです。
そのため、両者のホースは取り扱う液体の耐圧に応じて使い分けることをおすすめします。
2. サクションホースの材質と構造事例
サクションホースの材質は、メーカーによって、樹脂や金属、ゴム製などさまざまな材質が使われていますが、PVC (塩化ビニル) や硬質樹脂が一般的です。また、使用用途に合わせて、多種多様なサクションホースが存在します。
例をあげると、あえて透明な材質を用い内部の流体の状況を確認可能にしたタイプや、熱風を扱う作業現場用に耐熱性を向上させた仕様のもの、食品工場向けの耐油耐熱仕様品、静電気対策の特殊樹脂を配合し帯電防止特性に優れたタイプなどがあります。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0500.html