ブチルゴム

ブチルゴムとは

ブチルゴム

ブチルゴムとはイソブチレンにイソプレンを共重合して調製された合成ゴムの1種であり、我々の身の回りの製品に使用されています。その構造は図1の通りであり、1937年にアメリカのスタンダード・オイル社で石油を原料として初めて開発され、その後日本でも生産が開始されました。添加剤の付与などによってブチルゴムにはさまざまな種類があり、使用する製品特性に合わせて最適なブチルゴムが生産されています。

ブチルゴムの構造

図1. ブチルゴムの構造

ブチルゴムの使用用途

ブチルゴムの使用用途は多岐に渡ります。メインは自動車分野で、タイヤチューブ、ホース、ベルトなどの原料として使用されています。その他の工業製品としては、電線の被覆材、窓枠のゴム、スポーツで使用されるサッカーボールやバスケットボールなどに使用されています。製品の傾向を見ると、引っ張られたり、衝撃が強く、摩耗が激しい箇所などに使用されており、特に一定以上の強度が必要である製品に応用されています。

ブチルゴムの特徴

ブチルゴムの合成方法はイソブチレンにイソプレンを添加し、共重合により作られます。このゴムに特に有用な性質の一つが耐空気透過性であり、その割合は天然ゴムやスチレンゴム、ブタジエンゴムと比較すると約10分の1程度となります。この空気を透過させない性質により、ゴム内部に空気を貯め、外部へ透過による流出を抑えておきたいタイヤやボールなどに最適な原料となります。他にも、ブチルゴムは、耐熱性、耐老化性、耐薬品性、耐酸・アルカリ性、電気絶縁性に非常に優れており、以下のように多用な用途で用いられています。

  1.  耐熱性を期待した用途
    コンデンサーのパッキン、スチームホースの素材
  2. 耐候性、耐老化性を期待した用途
    建築用の防水素材、廃棄物処理池用のシート、接着剤
  3. 耐薬品性、耐酸・アルカリ性を期待した用途
    医薬品用のゴム栓、ゴム手袋、ゴムホース、工業用品
  4. 電気絶縁性を期待した用途
    電線被覆、絶縁テープ
  5. 耐空気透過性を期待した用途
    タイヤ、スポーツ用のボール

ブチルゴムのその他情報

1. ブチルゴムの欠点と対策

ブチルゴムは、弾性や加工性、耐油性の点では天然ゴムに劣り、他の合成ゴムとの相溶性が悪いため混合して新たな機能を有するゴム素材を開発することも難しいです。 このようなデメリットを解消するため、合成時のイソプレン量をコントロールすることで不飽和度を変更したり、粘度調整や老化防止剤の添加によってさまざまな種類のブチルゴムが合成されています。

2. ハロゲン化ブチルゴムについて

ハロゲン化ブチルゴムの構造

図2. ハロゲン化ブチルゴムの構造

ブチルゴムは加硫速度が遅く、他の高度不飽和ゴムと共加硫がしにくく、また、他のゴムや金属との接着性が悪いという特徴があります。この欠点を克服するために、ブチルゴム分子に塩素原子、臭素原子を導入したハロゲン化ブチルゴムが開発されました(図2)。これらのハロゲン化ブチルゴムは、分子内に反応性の高いハロゲン分子および二重結合を含むことから、一般的なブチルゴムよりも加硫速度が速く、その加硫度も大きい事が報告されています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/28/10/28_10_616/_pdf/-char/ja
https://www.j-butyl.co.jp/product/product.html
https://www.sk-co-ltd.com/menu/silicone/silicone12_iir.html

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