高圧洗浄機とは
高圧洗浄機とは、電気やガソリンエンジンによって高圧の水を吹き出し、対象物を洗浄する機械です。
水圧で対象物を洗浄できるため、洗剤の必要がなく手軽に使用することが可能です。高圧洗浄機は1950年に、ドイツにあるケルヒャー社と呼ばれる会社が、ヨーロッパで最初の温水高圧洗浄機を開発しました。
販売初期こそ売り上げは芳しくなかったようですが、手軽に洗浄できることが認知され、今では各工具メーカーなどから高圧洗浄機が開発されており、一般家庭や作業現場問わず使用されています。
高圧洗浄機の使用用途
高圧洗浄機の使用用途は多岐に渡ります。一般家庭ならば、家の外壁、庭に設置されているオブジェクトや自動車、網戸などを洗浄することが可能です。
工場や屋外の現場でも使用され、例えば作業終了後の後片付け時に汚した箇所を掃除するために使用する場合があります。ただし、高圧洗浄による外壁塗装に傷がつく可能性がある点に注意が必要です。
使用する前に高圧洗浄に適した素材なのかを調べ、水圧や噴射距離を調整することが大切です。
高圧洗浄機の原理
高圧洗浄機はパスカルの原理を応用し、高圧の水を放出しています。パスカルの原理の応用として、小さなシリンダーと大きなシリンダーが横でつながり水で満たされている場合、小さなシリンダー側に力を加えると、その圧力は大きなシリンダーの方へ伝達されます。
大きなシリンダーの面積が、小さなシリンダーの2倍であれば圧力が2倍になる仕組みです。この仕組みを高圧洗浄機の内部に応用することで、高圧の水を噴射することが可能となります。
高圧洗浄機の選び方
高圧洗浄機は製品により仕様が異なります。それぞれの特徴を把握し、使用目的に合ったものを購入することが大事です。
1. 常用吐出圧力
水圧は、高圧洗浄機を選ぶうえで重要な要素です。水圧の強さはMpa (メガパスカル) という単位で表し、数字が大きくなるほど洗浄能力が高くなります。
製品情報には「常用吐出圧力」や「最大吐出圧力」と表記されていることがあります。最大吐出圧力は理論上の最大の数値で、実際にその圧力で作業をすることはありません。
そのため、水圧を確認する時は通常使用する際の圧力を示す常用吐出圧力を確認します。
2. モーター (静音性)
高圧洗浄機に搭載されているモーターは、主に「インダクションモーター」と「ユニバーサルモーター」の2つに分類されます。
インダクションモーターは、電磁気の誘導作用によって回転力を発生するモーターで、比較的動作音が静かです。ユニバーサルモーターは、AC電源 (交流) またはDC電源 (直流) 電源で動作する電気モーターで、比較的小型でありながら、高い出力と回転速度を発揮することができます。
インダクションモーターは、製品により50Hz用 (東日本) と60Hz用 (西日本) に分かれており、使用できる地域が限定されるデメリットがありますが、騒音が気になる方におすすめです。
3. 給水方式
高圧洗浄機の給水方法は、大きくわけると以下の3種類に分類されます。
水道接続式
水道から直接給水するタイプで、水切れの心配がないため、長時間の使用に適しています。ただ、水道が近くにないと使用できないため、使用場所が限定されるデメリットがあります。
タンク式
水道水を、洗浄機本体に内蔵されたタンクに注入し使用します。水の確保ができない場所や移動しながらの作業に最適です。
自吸式
水道水や雨水をタンクに貯め、そこから給水を行います。専用のフィルターを装着すれば、川の水などを使用することもできます。自吸式の高圧洗浄機は、水源が制限されている場所での使用に適しています。
4. ノズルの種類
ノズルは各メーカーから多くの製品が販売されています。一般的に噴射角度を変えて水圧が調節できるタイプと、水を回転させ高圧で噴射するタイプの2種類に分類されます。製品により特徴が異なるため、作業目的を考慮し適切なノズルを選ぶことが重要です。
5. 電源の種類
コード式
コンセントなどの電源に接続し使用する一般的なタイプです。十分な電力を得られるため、頑固な汚れや固着した表面に対して効果的な洗浄を行うことができます。
コードレス (充電式)
充電式のタイプで、電源の確保できない場所での使用に便利です。コード式よりも吐出圧力が低く、1度の充電で使用できる時間が10〜15分程度と短いですが、どこでも使用できるためアウトドアや狭いエリアなどでの使用に適しています。
エンジン式
主に電気を引っ張ってくるのが難しい屋外現場などで使用します。水圧のコントロール幅が電気式よりも広くなるメリットがある半面、エンジン式は内部構造は複雑なため大型のものが多く、持ち運びが大変になるデメリットがあります。