CO2ロガー

CO2ロガーとは

CO2ロガーのイメージ

図1. CO2ロガーのイメージ

CO2ロガーとは、環境中のCO2濃度変化を経時的に測定、記録するための装置です。

装置本体に測定値を表示する機構が搭載されていますが、数値の経時変化は装置にデータとして記録されるため、分析のために出力することが可能です。通常、環境維持の観点から、CO2濃度と合わせて温度、湿度等が同時に測定されます。

CO2ロガーの使用用途

CO2ロガーは、主にオフィスや会議室などの閉鎖空間の換気の促進を目的としたCO2濃度管理の目的で用いられる装置です。学校、幼稚園、講堂、美術館など、多くの人が集まる施設でも、積極的に活用されている装置です。また、植物の生育の温室においても利用されており、植物生育促進や水耕栽培等の農業研究などの用途があります。

現在値を測定するCO2センサーCO2モニタが工事現場やマンホール等、酸欠事故防止のためにも使用されるのに対し、経時変化を測定するCO2ロガーは農業用の温室やスポーツジム、オフィス等における環境維持に特化して使用されています。

CO2ロガーの原理

一般的なCO2ロガーはCO2濃度測定に非分散型赤外線吸収 (NDIR) 方式を利用しています。

1. 非分散型赤外線吸収 (NDIR) 方式の概要

CO2ロガーに用いられるセルの模式図

図2. CO2ロガーに用いられるセルの模式図

NDIR方式とはガスが特定の波長の赤外線を吸収する性質を利用して、該当波長の赤外線をガス試料に照射したのちに透過光を計測する仕組みです。CO2は波長4.26μmの赤外線を選択的に吸収する性質があることが知られています。

CO2ロガーの測定機構では、ガスセル内に検出対象の気体を流し、セル内に設置した赤外線ランプより波長4.26μmの赤外線を照射します。透過した量はセンサーで測定され、CO2濃度が求められる仕組みです。

後述するランベルト・ベールの法則により、赤外線エネルギーの吸収量の変化は、CO2のガス濃度と測定セルの長さによって決まります。また、CO2濃度とエネルギー吸収は指数関数的な関係になっています。

2. ランベルト・ベールの法則

ランベルト・ベールの法則

図3. ランベルト・ベールの法則

ランベルトの法則により、光が均一な媒質 (この場合はCO2ガスを含む試料) を透過する際、透過光の強度の減少量は光の強度と媒質の厚さ (光路長) に比例します。また、ベールの法則により、媒質の厚さが等しければ、吸収される光の量は濃度に比例します。これらを合わせたものがランベルト・ベールの法則です。 

   A = log (I0/I) = ε・c・l

(A: 吸光度、I0: 入射光強度、I: 透過光強度、ε: 吸光係数、c: 濃度、l: 光路長)

3. 他の物質との干渉・校正

空気中の主要成分であるN2やO2等は赤外領域に吸収スペクトルを持たないため、CO2を選択的に検出することが可能です。しかし、CO及びH2Oに関しては一部吸収スペクトルが重なっており、測定結果に影響を及ぼします。

NDIR方式の濃度測定は誤差が発生するため定期的な校正が必要になりますが、CO2ロガーは連続作動して数値を記録する性質を活かし、一定期間で最も低いCO2の数値が基準値となるように自動で補正されます。

CO2ロガーの種類

CO2ロガーには、機能や仕様に様々な種類があります。例えば、測定上限値は5,000ppm前後のものが多いですが、中には200,000ppmを上限とする高濃度対応のものもあります。

測定間隔は、15分単位や1分単位で測定できるものから、1秒単位で測定できるものまで製品によって様々です。また、従来は装置本体の記録媒体やSDカードなどへデータを記録し、取り出す方法が主でしたが、最近ではBluetoothやWi-Fi等を用い、リモートで測定値を確認することが可能な機種も発売されています。用途に合わせたものを選択することが必要です。

参考文献
http://www.weather.co.jp/catalog_html/hobo/MX1102.htm
https://www.endokagaku.co.jp/product/testo160-iaq/
https://www.nicera.co.jp/products/gas-sensor/about-gas-sensor

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