アンカーボルト

アンカーボルトとは

アンカーボルト

アンカーボルトとは、木材や金属製の構造部材や設備機器などを床や壁面に固定するねじです。

アンカーボルトの製造方法には転造と切削の2種類があります。転造は塑性変形を利用してねじ山を作る製造方法です。それに対して切削は作業者が手作業で削ったり、機械を用いて自動で削り出すことでねじ山を形成します。

切削ねじに比べて転造ねじの方が高強度とされており、条件に合わせて使用可能です。

アンカーボルトの使用用途

アンカーボルトは取り付けられた設備機器などが分離や移動、転倒しないために使用可能です。

例えば架台上に駆動部を持つユニットが設置されている場合には架台上をユニットが動くと振動が生じます。ユニットは架台に強く締結されているため、発生した振動は直接架台に伝わり、架台は振動に合わせて揺れ、揺れが大きくなると移動したり転倒する恐れがあります。

このような事態は架台の足と床をアンカーボルトで締結し、振動を床に逃がすことで防止可能です。

アンカーボルトの原理

アンカーボルトに生まれるせん断力や引張り力を計算します。コンクリートからの許容引抜き力に加えてアンカーボルトの許容せん断力や許容引張り力を計算して、アンカーボルトのせん断力や引張り力を超えないように埋め込み長さ・材質・太さを決定可能です。

引張りはコンクリートからの許容引抜き力とアンカーボルトの許容引抜き力の中で小さい方を用います。アンカーボルトの許容引張り力がコンクリートからの許容引抜き力より大きいとコンクリートの破壊が先行し、アンカーボルトの許容引張り力がコンクリートからの許容引抜き力より小さいと鋼材の降伏が先行します。

柱・梁・耐力壁などの耐震性が必要な場所では、アンカーボルトの許容引張り力がコンクリートからの許容引抜き力より小さくなる設計が必要です。

アンカーボルトの種類

アンカーボルトは種類によって特徴が異なります。主な種類は下記の通りです。

1. 内ねじアンカー

最も一般的なアンカーボルトです。床や壁面の表面に突起が出ない状態でボルトを打ち込めます。

2. 芯棒打ち込み式アンカー

締結対象の上から直接打ち込めるアンカーです。オールアンカー、ベストアンカー、ルーティアンカー、Cタイプアンカー、タイトアンカーなどの種類があります。

3. 接着系アンカー

接着剤で締結されるためケミカルアンカーとも呼ばれ、カプセル方式と注入方式があります。カプセル方式では先に孔を開けておき、接着剤が入ったカプセルを埋め込み、アンカーを打ち込むことでカプセル内の接着剤が漏れ出て固定されます。その一方で注入方式では開けた孔に接着剤を直接注入し、アンカーボルトを打ち込んで接着可能です。

4. 溶接アンカー

締結対象を溶接で固定します。ヘッド部分を直接溶接して固定でき、サイズが小さいです。

5. グリップアンカー

コンクリートに締結するために使用可能です。アンカー本体をコンクリートに打ち込みます。アンカー本体はねじ切りされており、ボルトを締めると対象物が締結されます。

6. ボードアンカー

中空構造壁や石膏ボードのような部品を取りつける際に用いられます。ある程度の重量に耐えられ、種類が豊富です。壁を傷つけずに設置可能なタイプや耐火性に優れたスチール製などがあります。ただし取り外し不可能な種類が多いです。

7. ALC用アンカー

軽量気泡コンクリート板を金具に取りつけるためのアンカーです。強度で使い分けられ、幅広い場面で利用可能です。耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、耐候性などに優れたALC用アンカーもあります。

8. 締めつけアンカー

ネジを締めつけるようにコンクリートに固定します。穴の深さが必要です。

9. 高機能アンカー

ボルトを回すのみで容易に施工可能です。電動工具で設置でき、作業時間を短縮できます。

10. 中空壁用アンカー

アメラハンガーやITハンガーに分類可能です。アメラハンガーはロールプレートが短く、中空壁への取りつけに適しています。ITハンガーは保持力を維持して貫通施行でき、取りつけ器物を設置した状態で作業するため周りを傷つけません。

参考文献
https://www.anchor-jcaa.or.jp/anchor/foundation.html#foundation02
https://www3.roymall.jp/shop/e/eanchor/

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