イネーブルスイッチ

イネーブルスイッチとは

イネーブルスイッチ

イネーブルスイッチ (英: Enable Switch) とは、産業用ロボットなどの教示用ティーチングペンダントなどに組み込まれ、安全装置の役割を果たすスイッチです。

イネーブルグリップスイッチ (英: Enabling Grip Switch) 、イネーブルスイッチ3ポジション (英: Enabling Switch, 3 Position) 、3ポジションイネーブルスイッチ (英: 3-Position Enabling Switch) とも呼ばれます。

イネーブルスイッチがONの場合は作業者が明確な意思を持ってティーチングペンダントを操作している状況です。作業者の明確な意思でロボットの操作をしていると判断できる場合に限り、産業用ロボットの手動運転の許可を制御します。意図しないロボット動作の実行を防ぎ、作業者の安全を守っています。

イネーブルスイッチの使用用途

イネーブルスイッチは産業用ロボットなどの機器を操作するための機器 (ティーチングペンダント) に搭載される安全スイッチです。

通常、産業用ロボットなどを含む生産装置は周囲を安全策などで囲われているため作業者が入り込む余地はなく、機械の動作に巻き込まれることはありません。しかし装置立ち上げ時やトラブル発生時など、安全策の中に作業者が入ってティーチングペンダントを操作するような場面では機械の動作から作業者を守る仕組みが必要です。

ティーチングペンダントに搭載されたイネーブルスイッチはONにならないとどんな操作をしても機械は動きません。作業者が明確な意思を持って操作していると判断できる状態 (イネーブルスイッチON) にのみ動作が実行され、意図しない危険な動作から作業者を守れます。

イネーブルスイッチの構造

代表的なイネーブルスイッチは3ポジション式で動作します。通常スイッチは「ON / OFF」の2ポジションの場合がほとんどですが、イネーブルスイッチはボタン操作が「OFF / ON / OFF」の3ポジションです。

ポジション1はボタンに触れていないフリーの状態で接点はOFFです。どのような操作を実行してもロボットが動作しません。ポジション1からボタンを軽く押しこむと状態はポジション2に遷移します。ポジション2で接点はONになり、ロボットは実行された命令に従い動作します。ボタンから手を離すと状態は再びポジション1に遷移し、動作中のロボットを即停止可能です。

ポジション2の状態からさらに強くボタンを押し込むとポジション3へ遷移します。ポジション3は接点OFF状態です。ロボットが動作停止命令を受けて即停止します。

イネーブルスイッチの原理

人は危険が及ぶと物を手放すか逆に握るか、どちらかの行動を取ります。つまりロボットのティーチング作業時などで作業者の安全を守るために、ボタンを離した状態 (ポジション1) とボタンを強く押し込んだ状態 (ポジション3) の両方でロボットの動作を即停止可能です。

手動運転では作業者が意図してポジション2でボタンを保持している間は手動運転が許可されます。作業中の操作ミスやノイズによってロボットが予想外の動作をすると作業者が危険に巻き込まれ、予想外の動作に驚いた作業者は反射的にティーチングペンダントを放り出すか、持つ手を強く握ります。

驚いたときの反射反応のため、手を放すか手を握り込むか、どちらの反射動作を作業者が行うかは事前に決められません。したがって手を放した場合と強く握り込んだ場合の両方で機械を停止するため、ポジション1とポジション3が設置されています。

イネーブルスイッチの選び方

危険区域内で安全を確保するためにイネーブルスイッチやシステムには高い安全性が必要です。

イネーブルスイッチの多くは接点が2重化されており、片方が故障してももう片方のみでも機械を停止して安全を確保可能なコントローラと組み合わせたシステムが構築されています。2つの接点の信号が一致した場合だけ正常と判断され、2つの信号が一致しないと故障だと検出されます。

参考文献
https://jp.idec.com/RD/safety/guide/safety05

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です