アルミニウムとは
アルミニウムとは、元素記号Alで表される原子番号13の元素です。
アルミニウムは非常に軽量 (比重が2.7) です。そのため、自動車や航空機、自転車などの車両部品や、スポーツ用品や包装材料、建築材料などに広く使用されています。また、アルミニウムは熱伝導性や導電性にも優れた材料であり、熱交換器にも利用されます。
アルミニウムは軟らかく加工しやすい性質があるため、鋳造や押し出しや圧延などによる成形が容易です。アルミニウムの表面には空気中の酸素と反応して防錆皮膜が形成されるので、腐食や錆びに強い性質があります。
アルミニウムの使用用途
以下はアルミニウムの使用用途の一部です。
- 輸送機器
自動車のエンジンブロック、飛行機の主翼や胴体、列車の車体や座席、窓枠など - 包装材料
アルミニウム箔やアルミニウム缶、ブリスターパック、フィルムなど - 建築材料
サッシや屋根材、手摺り、駐車場の屋根など - 電気製品
電力ケーブルやスマートフォンの筐体、ヒートシンク、コンデンサーなど - 食器や調理器具
鍋やフライパン、マグカップ、プレート、ボウルなど - 医療機器
人工関節や歯科インプラント、外科用具など
アルミニウムの性質
1. 軽量性
アルミニウムは、原子間の間隔が比較的大きく原子同士の引力が弱いため、密度が低くなります。アルミニウムの比重はであり、鉄の約34%、銅の約30%です。
- アルミニウム: 約2.71 (g/cm3)
- 鉄: 約7.87 (g/cm3)
- 銅: 約8.96 (g/cm3)
2. 耐腐食性
アルミニウムは自然界で酸化されて酸化被膜を形成するため、耐腐食性があります。酸化被膜は非常に薄くて頑丈であり、アルミニウムを腐食から保護します。ただし、一部の環境下では腐食の可能性があるため、適切な表面処理が必要です。
3. 電気伝導性
アルミニウムは優れた電気伝導性を持ちます。理由として、まずアルミニウムの原子は電子を他の原子と共有するのが容易であることが挙げられます。
また、アルミニウムは金属結合を持っているので、電子が原子間を自由に移動可能です。さらに、面心立方格子構造を持ち、原子が密に配置されているため、電子が原子間を容易に移動できる経路が形成されます。
4. 熱伝導性
アルミニウムは高い熱伝導性を持つ金属であり、熱を素早く伝達できます。その理由は、アルミニウムの結晶構造は面心立方格子構造であるため、原子が密に詰まっており、熱エネルギーが原子間を迅速に伝わるからです。
また、アルミニウムは優れた電気伝導性を持つ素材です。電気伝導性と熱伝導性は密接に関連しており、電気伝導性が高い金属は通常、熱伝導性も高くなります。アルミニウムの電子は自由に移動できるため、熱エネルギーも電気エネルギーと同様に効率的に伝達できることが特徴です。
5. 加工性
アルミニウムは優れた加工性を持ち、容易に成形や加工ができる素材です。軟らかい性質を持ちながらも耐久性や強度を保持します。
6. 可塑性
アルミニウムは非常に可塑性が高くて変形や加工に非常に適しているため、熱間加工や冷間加工により様々な形状や構造に成形することが容易です。
7. 非磁性
非磁性とは、磁気を帯びないまたは磁場に影響を与えない特性のことです。アルミニウムは非常に弱い磁性を持っていますが、実質的に非磁性とみなされています。
アルミニウムは電子の配列によって磁気的に均衡しているため、外部の磁場に対して磁気反応を示しません。この性質は、磁気材料を扱う場合や磁気ノイズが問題となる場合に非常に有用です。例えば、電子機器のケースにアルミニウムを用いることで、周囲の磁場による干渉を防げます。
アルミニウムの種類
アルミニウムには合金を含め,様々な種類があります。以下はその一部です。
1. 純アルミニウム
純アルミニウムは、純度が99%以上のアルミニウムのことです。他の元素との合金化がなく、純粋なアルミニウムの性質を持っています。純アルミニウムは柔軟性があり、加工や成形が容易で、導電性や耐腐食性にも優れている素材です。ただし、強度や硬度が低いため、特定の用途には制約があります。
2. アルミニウム合金
アルミニウム合金は、アルミニウムと他の金属との合金です。アルミニウムに他の元素を添加することで、合金の特性を調整できます。例えば、銅やマグネシウムを添加することで強度を向上させたり、シリコンを添加することで耐食性を高めたりできます。
3. アルミニウム鋳造合金
アルミニウム鋳造合金は、アルミニウム合金の中でも鋳造に適した合金です。鋳造過程での耐熱性や耐腐食性に優れており、複雑な形状を成型できます。
アルミニウムのその他情報
1. 生体適合性
アルミニウムは一般的に生体適合性があり、人体との相性が良い金属です。表面に生成される酸化皮膜が非常に薄く、強固な保護層としてアルミニウムを腐食などから守ります。この酸化皮膜には、組織や細胞が酸化被膜に付着しやすいことが特徴です。
また、アルミニウムは、酸やアルカリ、塩水などの一般的な化学物質に対しても反応が起こりにくく、変質や腐食が起こりにくいため、人体組織と接触した場合にもアレルギー反応や炎症を引き起こすリスクが低い材料です。
さらに、人体の組織や生物と接触してもほとんどの場合で反応が起こらず、体内での影響や副作用が極めて少なくなります。
2. 反射性
アルミニウムは優れた反射性を持ち、可視光線や熱を反射する能力があります。その反射性は、結晶構造や電子の配列が要因です。アルミニウムの結晶は電子を自由に移動できるため、光や熱のエネルギーを素早く受け取って反射できます。
3. リサイクル
アルミニウムは、再生可能な材料です。使用済みのアルミニウム製品や廃棄物はリサイクルによって回収され、再利用されることが一般的です。
4. 電解質反応
アルミニウムは、電解質反応を起こしやすい特徴を持っています。これはアルミニウムが金属としての性質を持つため、電気的に陽極 (酸化) 反応を起こし、陰極 (還元) 反応を促進することが原因です。
しかし、電解質反応を起こしやすいため、腐食しやすいことが欠点です。アルミニウムを使用する場合には、表面に酸化皮膜を形成して腐食を防止する必要があります。また、適切な塗装や防食処理を行うことで、アルミニウム製品の寿命を延ばせます。