超音波切断

超音波切断とは

超音波切断

超音波切断 (英: ultrasonic cutting) とは、刃物などの加工工具に超音波振動を与えて、工作物を切断する方法です。

バリ、カケ、クラックなどの発生が大幅に減少し、変質層の発生や加工ひずみなどが低減され、加工精度が向上します。また、加工時間を短縮可能で、加工抵抗が減るため、工具の長寿命化にもつながります。

通常のカッターでは切断しにくい樹脂製品、ゴム製品、不織布、これらを重ね合わせた複合材料、及びケーキなどの食品の切断が、超音波を使用することで容易になります。

超音波切断の使用用途

超音波切断は、硬い金属やセラミックの切断だけでなく、型崩れしやすいケーキのカットが可能です。切りにくいカーボン繊維を切断して、金型を滑らかに磨き、プリント基板の極細パターンもカットします。

超音波の高周波振動を用いて、丁寧かつ高い精度で切断できます。したがって、セラミックスやガラス、宝石などの、硬くて脆い材料の切断に最適です。熱が発生せず、きれいな断面が得られるため、樹脂の切断加工に利用可能です。

また、超音波切断は、基板、電池、パワーデバイスのような、微細な電気的接点部の切断に使用できます。さらに、超音波切断は、リチウムイオン電池への活用が期待されています。

食品関係では、型崩れが心配なケーキ等の菓子類のカットに、超音波フードカッターとして使用可能です。超音波振動による微細な刃の動きにより、きれいな切断面が得られます。

超音波切断の原理

超音波切断の用途は、主に包装材、不織布、シート材のカットなどです。高速で振動する超音波カッターは、食品やゴム、シート材などの付着を防止し、加工の高速化、製品材料の低減、エネルギー消費量の低減に貢献します。

超音波切断を行う装置は超音波加工機と呼ばれ、発振器と振動子で構成されます。発振器は、15,000~40,000Hzの超音波信号を出し、振動子は超音波振動を加工物に与えます。発振器は常に一定の切れ味となるよう、振幅を一定にする機能が搭載されているのが一般的です。

セラミックスで作られた圧電素子に、発振器からの超音波信号を与えると、圧電素子が伸びたり縮んだりして、超音波振動が発生します。振動子には刃物工具が固定されており、刃物の超音波の振動により、加工物を切断します。先端のホーンと呼ばれる刃は、振動を効率的に増幅する機能があります。両振幅で100μ程度の連続した振動が可能です。

物体は固有周波数があり、その周波数に同期した外力を加えると、小さな外力でも大きく振動します。これが共振です。超音波カッターは、共振を利用して刃先を大きく振動させています。

超音波切断のその他情報

1. 超音波切断機の選び方

多種多様な超音波加工機があるため、用途に合わせて選択する必要があります。例えばフードカッターは、柔らかいパンやケーキを型崩れなくカットでき、丸刃によって連続で切断可能です。そのほか、常に同じ切れ味にするために有用な機能があるのは、振幅を一定にするタイプの発振器です。

食品を切る方法は、刃物を引きずりながら切る揺動力を使う方法と、振り下ろして叩くように衝撃力を使う方法があります。刃物がナイフ形の場合は揺動方式、ギロチン形では衝撃方式が使われます。

小型のハンディタイプの超音波カッターの選定は、次の4つの観点から検討します。1つ目は安価で手軽なホビー用か、高価で高性能な工業用かです。2つ目は、スイッチの位置が、発振器本体か、振動子か、フットペダルかです。3つ目は、TAF回路 (自動調整機能) 搭載かどうかです。4つ目は、替え刃付きか、交換用替え刃が手に入りやすいかです。

2. 超音波切断のメリット

加工精度の向上
シート材など柔軟な工作物でも、変形歪が小さく高精度の加工が可能です。

カケ、バリ、クラックの低減
微小な振動で切断するので、欠けやバリが少ないメリットがあります。

加工抵抗の低減
加工抵抗が低減するので、加工による変質、加工ひずみが減少し、工具寿命が延びます。

加工時間の短縮
超音波は周波数が高く、加工速度は速くなります。

カット面が非常に綺麗
微小な振幅で加工するので、滑らかなカット面で切断できます。

不良率の低減
小さい加工量の繰り返しで、安定な切断加工が可能です。

食品切断に最適
回転刃等で問題になる食品残り、削りカスが出ず衛生的です。

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