ガス切断

ガス切断とは

ガス切断

ガス切断 (英: flame cutting) とは、ガスと酸素を使って金属などを切断する加工方法の1種です。

母材の切断部分を燃焼ガスで高温に加熱し、ここに純度が高い酸素を吹き付けることで酸化と溶解を行い、金属を切断します。 ガス切断は鉄と酸素の化学反応を使うので、酸素切断とも呼ばれます。ガス切断に使われるガスは、主にアセチレンや天然ガス、プロパンガスなどです。

ガス溶接のメリットは、厚みのある金属もすばやく切断できる点です。 比較的必要な機材が少なく、電気を必要としない点も他の切断法より優れています。デメリットは、手作業のため切断面が粗くなる点です。 可燃性のガスを使うため、事故の危険性がある点も注意が必要です。 ガス切断を行う人は「ガス溶接技能講習」を受ける義務があります。

ガス切断の使用用途

1. 鋼鉄の切断

ガス切断は鋼鉄の切断効率が非常に高いため、数百mmの厚い鋼板まで切断可能です。 その反面、酸化しにくいアルミニウムやステンレスのような素材の切断には向いていません。アルミニウムやステンレスは高い融点の酸化物を生じるため、ガス切断は不向きです。その際は、プラズマ切断やレーザー切断が使われます。

2. 水中での切断

「水中切断機」と呼ばれる機材を使うことで、水中での金属切断に使われます。 現在、約70mまでの水深での作業が可能となっています。

ガス切断の原理

ガス切断は、酸化と燃焼の化学反応を利用する方法です。金属を単に高温にするだけでは、切断はできません。酸化は金属と酸素が化合することで、酸化する時に熱を発生します。燃焼とは激しく酸化し、光や熱を出す酸化還元反応です。ガス切断は酸化と燃焼の原理を人工的に作り出して、鉄材を切断します。

具体的には、まず切断部分を燃焼ガスで800~900℃に加熱して酸化させます。次に火を当てて高純度の酸素を吹き付けて燃焼を起こさせ、この部分のみ溶解させます。溶けた部分を酸素ガスが吹き飛ばし、次々と燃焼・溶解が続くため切断が可能です。

ガス切断の特徴

1. 厚物の切断ができる

ガス切断は、プラズマ切断やレーザー切断に比べ、厚い部材の切断に適しています。ガス切断は、数mmの薄板から数百mmの厚材切断が可能ですが、多くは50mm以上の厚鋼板の切断に使われます。

2. 電気不要、小設備

ガス切断は、プラズマ・レーザー・アークなどを使う切断法と比べ、電気が不要である大きな特徴があります。必要設備も小規模で、トーチ、ガスボンベ、圧力調整器、ホース程度によって、切断が可能です。導入費用が安い方式です。

3. 作業者の熟練が必要

ガス切断は、切断断面が粗く、作業者の熟練に頼る面が多い作業です。手作業では、火の強弱、酸素量、切断速度、腕の動きなどの調整は、熟練を要します。特に、切断は直線ばかりでなく、曲線、円弧など多様であり、精度を上げる実力が必要です。

4. 切断速度が遅く、熱変形しやすい

ガス切断は、プラズマ切断、レーザー切断、アーク切断などと比較して、切断速度が遅い短所があります。また、局部加熱による部材の変形が起きやすいのも短所です。部材全体を予熱する方法などを行います。

ガス切断の種類

ガス切断の種類は、使われるガスにより大きく分けると以下の3つがあります。

1. アセチレンガス切断

アセチレンガスは、最も古く100年以上前から使われており、今でも広く普及しているガスです。 比重が空気より軽いため外作業に適し、燃焼温度が高く作業がしやすい点が長所です。

2. プロパンガス切断

プロパンは、LPガスとも呼ばれ、アセチレンに次いで使われています。 比重が空気より重いため、狭い室内での作業には適していません。 燃焼温度が比較的低いため作業に時間がかかりますが、引火の恐れが少なく安全性が高い特徴があります。

3. メタンガス切断

メタンは、LNG、都市ガスとも呼ばれているガスです。 比重が空気より軽く、引火性も低いため比較的扱いやすい特徴があります。 燃焼温度が低く、作業効率はプロパンに劣ります。

ガス切断のその他情報

ガス切断に必要な国家資格

ガス切断を行う作業者に必要な資格は、「ガス溶接技能講習」です。この講習は18歳以上が受講可能で、学科と実技の講習があります。学科は、法令、酸素やガスの知識、施設・設備の構造や取り扱い方法の3科目です。

ガス溶接技能講習の資格取得後、実務経験を3年以上実施すると、ガス溶接作業主任者免許試験の受験資格が得られます。この資格は、ガス溶接作業者を指揮・管理するために必要です。

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