溶着

溶着とは

溶着

溶着 (英: welding) とは、樹脂や非鉄金属を接合する方法の1つです。

融着や熱接着とも呼ばれ、加工物の接合部分を加熱・溶解し、加圧・冷却後接合します。加工材そのものの性質によって融点が異なるため、溶着が可能な温度が異なります。

また、加工材の中に複数の素材が混合されている場合は、温度の設定がさらに難しくなります。 しかし、1度素材自体を溶かして接合させるため、強度が強くなるのがメリットです。

溶着の使用用途

溶着は、樹脂や非鉄金属の接合ができます。樹脂では、熱可塑性のフィルムやシートの接合に使われ、塩ビ、アクリル、ポリカーボネートなども溶着が可能です。

食料品、医薬品、電子部品などの製品の保護のため、密封性の高い包装や容器が使われます。熱可塑性樹脂を溶着加工して、これらを作ります。その他、洗剤などの詰め替え容器の加工に使用され、不織布の加工を溶着により、おむつやマスクを製造可能です。

溶着の原理

溶着には、大きく分けると、外部から加熱する熱溶着、内部で発熱する高周波溶着と超音波溶着、レーザー光で発熱するレーザー溶着の4つの方法があります。

1. 熱溶着

熱溶着とは、加熱された鏝、熱板、熱風などの熱によって加工材を接合する溶着方法です。 加工材の種類を問わず接合しやすいことが特徴であり、一気に広範囲に熱をかけられるため、1面を接合したい場合に向いています。

鏝式溶着
他の熱溶着に比べ、美しい風合いが得られ、多くの熱可塑性フィルム・シートの溶着が可能です。

熱板式溶着
自動車の樹脂タンク、防炎・テント用などの加工に使用されます。

熱風式溶着
フレキシブルコンテナバッグ、テントシート、養生シートなどの接合に利用されます。また、熱風での溶着は、曲線を描けるのはメリットです。

2. 高周波溶着

高周波溶着は、電極である金属の間に溶着する加工物を挟み込み、高周波の電波を照射することで発熱させ、挟み込んだ部分を接合する溶着方法です。 電波によって素材自体を自己発熱させて接合するため、電極に加工材が張り付くなどの懸念がなく、見た目もきれいに加工できることが特徴です。

3. 超音波溶着

超音波溶着は、ホーンと呼ばれる金属の先端から超音波を発することで、加工物を振動させ、振動によって起きた熱によって、ホーンの触れた部分を接合する溶着方法です。 超音波は、発する周波数や超音波を照射する時間、加える圧力を変化させることで、接合の強度を調節できるのが特徴です。

ただし、調節がうまくいっていない場合は接合できず、接合部分が溶け切って穴が開くことがあるので注意する必要があります。

4. レーザー溶着

レーザー溶着は、レーザー光を照射し、接合する樹脂の合わせ面、即ち境界面を発熱・溶融させ、接合する方法です。レーザー光を吸収する樹脂の上に、レーザー光が透過する樹脂を重ねて、レーザー光を照射すると、吸収側の樹脂がレーザー光を吸収・発熱し、樹脂が溶融します。

そして、吸収側の樹脂の熱が透過側の樹脂に伝達され、界面が互いに溶融することで、2つの樹脂が溶着します。レーザー溶着は、製品への悪影響が少なく、製品毎の型が不要であり、電子部品小型化・薄型化に役立っています。

溶着の特徴

溶着は熱で溶解し、加圧と冷却により加工物を接合する方法です。したがって、加熱能力と時間、冷却能力と時間、及び加圧力により、溶着強度や風合いなどが影響を受けます。

身近な例では、洗剤やシャンプーの詰め替え容器、食品の包装などの加工に使われます。溶着のメリットは、形状の自由度が広がることです。プラスチックの直接成形ではなく、成形品同士を溶着して別の形状にすることができます。射出成形やブロー成形では、不可能な形状でも対応可能です。

一方、溶着のデメリットは、濡れ性が悪いプラスチックの接合が難しいことです。ポリエチレンやポリプロピレンなどの濡れ性が良くないものは、表面処理により濡れ性を改善してから、接合する必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です