メッキ加工

メッキ加工とは

メッキ加工

メッキ加工とは、工作物 (ワーク) を指定の溶液槽に浸漬しワーク表面上に金属の薄い被膜を作る加工方法です。

「メッキ」という言葉とは、古代の仏像の金メッキに使用した、金と水銀の合金 (アマルガム) を「滅金」と呼んだことに由来します。日本での近代的な電解メッキ工場は1887年 (明治20年) に誕生した宮川電鍍工場 (大阪) から始まり、日本全国へ広がっていきました。

また、メッキ金属の種類はニッケルめっきから始まり、現在では多くの金属 (亜鉛、金、銀、等) メッキが存在します。メッキ工業が大きな発展を遂げたのは、第2次大戦後アメリカで無電解ニッケルメッキが発明されたのがきっかけです。

その後、プラスチック材料として有名なABS樹脂にメッキが可能となった結果、家電製品、自動車部品など、現在ではさまざまな分野で使用されています。

メッキの種類

1. ニッケルメッキ

ニッケルメッキは他の金属との密着性が高いため、ステンレスメッキや金などの下地メッキとして使用されます。耐食性や、耐熱性を高めることが可能です。一般的には、電解メッキや無電解メッキによってメッキ加工されます。

ニッケルメッキについて詳しくみる

2. クロムメッキ

クロムメッキはメッキの厚みにより、装飾クロムメッキと硬質クロムメッキに分けられます。硬質クロムメッキの方が厚いです。硬質クロムメッキは、被膜の厚さからワーク表面の耐摩耗性が高い製品 (部品) に使用されます。また、装飾クロムメッキはワーク表面に光沢と耐腐食性が得られるため、高級感が求められる自動車部品や家電製品に多く使用されています。

クロムメッキについて詳しくみる

3. ロジウムメッキ

ロジウムめっきは化学的に極めて安定で、硬度が非常に高く傷がつきにくく、耐摩耗性も良好で500℃以下では酸化しないなど良好な特性をしめすため、光学機器や電子機器などさまざまな工業分野で使用されています。

ロジウムメッキについて詳しくみる

4. 金メッキ

金メッキは、高い電気伝導性と耐腐食性が大きなメリットとなり種々の部品に採用されています。具体的には高い電気伝導性から電子基板やコネクターの接続端子に、耐腐食性からアクセサリーなどに利用されています。電解メッキによるメッキ加工が一般的です。

金メッキについて詳しくみる

5. 亜鉛メッキ

亜鉛メッキは鉄製品の錆を防ぐため多く用いられます。鉄製品の表面に傷がついた場合はキズ部分に亜鉛が溶出して不動態と呼ばれる膜を作り、高い防錆効果を発揮します。装飾として用いる場合は電解メッキ、耐腐食として用いる場合は無電解メッキによりメッキ加工されます。

メッキ加工の原理

メッキ加工は、使用する溶液に電気を通すか否かで加工方法が分かれます。

1. 無電解メッキ

無電解メッキは外部から電源供給を行わずにメッキ液にワークを浸して化学反応を行い、金属薄膜を析出する方法です。電気が流れないセラミックやプラスチックに対してもメッキが可能で、均一な金属薄膜を形成することができます。さらに、複雑な形状のワークに対しても均一にメッキができるメリットがあります。

2. 電解メッキ

電解メッキは電気化学反応によりワーク表面に金属を析出する方法です。金属イオンを含んだ水溶液 (電解液) にワークに入れ、電解液を陽極、浸漬したワークを陰極として直流電流を流します。すると電解液中の金属イオンが陽極から陰極に移動し、ワーク表面にメッキができます。

電解メッキはメッキを早く施すことが可能で、コストも低く抑えられる一方で、均一な金属皮膜ができないことがデメリットです。さらに、セラミックやプラスチックなど、電気の通せないものには使えないため、利用できる製品に限りがあります。

3. 置換メッキ

置換メッキとは金属のイオン化傾向を利用したメッキ加工です。メッキ加工の方法としてはまず、金属イオンを含んだ水溶液中にワークを入れます。すると金属間のイオン化傾向の差から、溶液中金属とワーク金属が置換されて、ワーク表面に溶液金属が析出します。

電気エネルギーや還元剤などを利用せず、メッキ加工が可能です。ただ、し置換メッキは金属のイオン化傾向を利用することから、イオン化傾向の小さい製品や金属以外の製品には利用できません。

メッキ加工の方式

無電解メッキ、電解メッキ、置換メッキはいずれも、電解質水溶液に漬けながらメッキを施す湿式法といわれる方法でメッキ加工を施します。湿式法は、さらに上記で解説した無電解メッキと電解メッキに分類されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です