巻線抵抗器とは
巻線抵抗器 (英:wire wound resistor) とは、絶縁材に金属の抵抗線を巻き付けたものです。
抵抗器には様々な種類や特徴があり、用途や目的に応じて使い分けを行います。抵抗線は、マンガン線やニクロム線などが使用されます。
巻線抵抗器は、良好な温度特性をもち、抵抗値を低くして比較的大きい電力に使用できるのが特徴です。数Wから数100Wの用途に多く使われます。主に電流検出、電流や電圧の調整、試験用の負荷などの用途です。
巻線抵抗器の使用用途
巻線抵抗器は、特に耐パルス性、耐熱性に優れ、また、抵抗温度係数が小さく、電流雑音が小さい特性があります。主要な用途は、電源回路のラッシュ電流制限抵抗器、電流検出用の抵抗器などです。
また、各種試験に使用する標準負荷ユニットにも使用されます。発電制御用負荷試験、燃料電池負荷試験、バッテリー放電試験、リチウム電池放電試験、風力発電試験、太陽光発電試験、電源ダミーロード試験などの負荷として巻線抵抗器が使われます。
巻線抵抗器の原理
抵抗器は、電流を流しにくくする抵抗体です。抵抗器に電流が流れると、電子は抵抗体の原子とぶつかり、移動速度が弱くなります。電子と抵抗体の原子が衝突することで、電子のエネルギーが摩擦によって熱に変換され発熱します。
抵抗器は多くの種類があり、巻線抵抗器はその1つで、セラミックなどの絶縁体にマンガン線やニクロム線などの抵抗線を巻き付けたものです。巻線抵抗器の抵抗値は、巻線の長さに比例し、巻線の断面積に反比例します。
抵抗器の回路内での代表的な役割は、オームの法則により、電流や電圧の調整、分圧、熱の利用などです。
巻線抵抗器の種類
巻線抵抗器は、ケースの材料によって分類すると、いくつかの種類があります。
1. セメント抵抗
ケースにセラミックを使用した抵抗器であり、セメントで封止します。10W以下の中容量クラス用です。構造から絶縁性と耐熱性が優れています。デメリットは、インダクタンス成分を持つため高周波特性が良くないことです。
2. メタルクラッド抵抗
抵抗器の外側を金属で覆ったものです。巻線抵抗体に放熱フィン付アルミケースなどを取り付けて、シリコン樹脂などで封入します。数10W以下の中容量用です。環境変化 (耐熱・耐湿・耐圧・絶縁性) に優れた抵抗器です。冷却性能が高いため、他の電力用抵抗器に比べ小型です。
3. ホーロー抵抗
セラミックなどのボビンに巻いた抵抗線の上に、ホーローを焼き付けた抵抗器です。ホーロー抵抗は耐熱性が非常にすぐれているので、大電力用に適しています。デメリットは、巻線抵抗のためインダクタンス成分が大きいので、高周波特性が良くないことです。
巻線抵抗器の特徴
1. 巻線抵抗器の長所
・優れた温度係数:周囲温度の変化に対する抵抗値の変化率が小さい抵抗器です。
・電流雑音が比較的に小さい。
・良好な耐熱性:耐熱温度が高く、温度の変化に対する電気的・機械的安定性が優れています。
・優れた耐パルス性:瞬時的なサージ電流対して、高い耐性があります。
2. 巻線抵抗器の短所
・高周波特性不良:抵抗線をコイル状に巻いているためインダクタンスが高く、高周波でインピーダンスが上昇します。
・高抵抗値は不利:高い抵抗値のものは大型になり、高価となります。
巻線抵抗器のその他情報
巻線抵抗器の規格
抵抗器の規格の代表的なものは、日本産業規格「JIS C 5062抵抗器及びコンデンサの表示記号」、「JIS C 5063抵抗器及びコンデンサの標準数列」があります。抵抗値や許容差の表示や抵抗値の標準値などを定めています。
抵抗値の標準は、標準数列E24、E12、E6、E3があり、各々抵抗値の許容差が定められています。例えば、E24は、許容差が±5%であり、抵抗値の標準数列が、1.0、1.1、1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.7、3.0、3.3、3.6、3.9、4.3、4.7、5.1、5.6、6.2、6.8、7.5、8.2、9.1です。
抵抗器は、実際の使用では比で使うことが多く、整数よりこの数列化された値のほうが使いやすいと言えます。
参考文献
https://www.akaneohm.com/column/classification/
https://detail-infomation.com/resistor-type/