抗菌・抗ウィルスフィルム

抗菌・抗ウィルスフィルムとは

抗菌・抗ウィルスフィルムとは、菌とウィルスの両方に対して増殖や感染力抑えて殺菌もしくは無害化させる機能を持つフィルムのことです。

多くの場合、抗ウィルスフィルムと言われるフィルムは同時に十分な抗菌性能も持ち合わせていますが、抗菌フィルムと言われるフィルムは、ウィルスを無害化する性能が十分でない場合もあるので、注意が必要です。

タブレット端末や、スマートフォンなどの指で操作することが主体の情報機器に使われることもありますが、ATMや切符の券売機などの不特定多数の人が触れる情報端末で、より積極的に使われています。新型コロナウィルスの感染症の流行を受けて、ドアノブや照明のスイッチ、電車やバスの吊革など、多くの人の手が触れる様々な部分に使用されるようになりました。

抗菌・抗ウィルスフィルムの使用用途

抗菌・抗ウィルスフィルムは病院や介護施設などの医療施設、学校やオフィスなどの公共施設、飲食店やホテルなどの商業施設、交通機関やホテルなどの宿泊施設を始め、家庭内の様々なものに使用されるようになりました。

具体的には、建物の内部では建具、テーブル、ドアノブ、手すり、エレベーターのボタン、トイレブースなど、人の手が触れるところで使用されています。また、自動販売機、ATM、タッチパネル式の情報機器など、日常的に指で操作する機器の接触部分にも使われています。

抗菌・抗ウィルスフィルムの原理

菌とウィルスは共に人体の健康に害を及ぼす微小物質ですが、両者には構造や増殖方法が異なります。

菌は、生物としての基本構造である細胞壁、細胞膜、DNAや各種タンパク質から構成されており、環境と栄養が満たされれば、人間や動物の体内にいなくても増殖します。

一方で、ウイルスは細胞構造は持っておらず、DNAやRNAという遺伝子情報をタンパク質の殻に内包しています。ウイルスは人間や動物の体内に入り、それを宿主として増殖を始めます。ウイルスは埃に付着して空気中を漂っていたり、人体や衣服に付着して移動しますが、宿主の体内に入るまでは増殖を始めません。

従って、人の手が触れるところに抗菌・抗ウィルスフィルムを貼っておくことは、そこに菌が付いた場合には、菌を増殖させずに死滅させることが求められます。また、ウィルスが付着した場合には、ウイルスを不活性化させ、感染力を取り除くことが求められます。

抗菌・抗ウィルスフィルムの種類

抗菌・抗ウィルスフィルムには様々な種類があります。

一例をあげると、菌に対しては銀系抗菌剤と超親水バインダーの組み合わせで、フィルムについた菌の増殖を抑えて菌を減らします。銀系抗菌剤には殺菌効果が、超親水バインダーには菌に必要な水分や栄養をを奪う効果があるとされています。

また、ウイルスに対しては親水バインダーがイルスの表面に付着した水分子を取り除くことで、ウイルスの感染力を低下させ、銀イオンがウイルスの表面に付着し、ウイルスを不活性化すると言われています。

その他の抗菌・抗ウィルスフィルムには、銀と異なる金属を使用した無機系抗菌・抗ウイルスフィルムや、光を当てると細菌やウイルスを分解する物質を発生させる光触媒系抗菌・抗ウイルスフィルムなどがあります。

ベースとなるフィルムにはポリエチレンテレフタラート (英: Polyethylene terephthalate, PET) やポリプロピレン (英: Polypropylene, PP)などが使用されており、厚さは50μmから100μm程度のものが市販されています。形状はロール形状、シート形状があります。

さらに、今日ではスマートフォン用の様々な抗菌・抗ウイルスシートが市販されています。これらは機種ごとに、画面の大きさに合わせてカッティングされており、スマートフォン向けの付加機能を持っています。

抗菌・抗ウィルスフィルムの選び方

抗菌・抗ウィルスフィルムを選択する際には、具体的にどのような菌やウイルスに対して効果があるのか、人体に対する安全性は確保されているか、どのような器具や場所、材質のものに適応できるのか等を検討する必要があります。

特に、不特定多数の人の手が触れる機器に使用するフィルムの場合は、安全性に関する記述を確認することが重要です。使用する環境によっては、耐久性や貼り替えやすさ、洗浄して再利用できるかなども検討することが求められます。

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