離型フィルムとは
離型フィルムとは、フィルムの上に離型剤を塗布したものです。
素材は主にポリエチレンテレフタラート (英: Polyethylene terephthalate, PET) を始め、ポリプロピレン (英: Polypropylene, PP) 、ポリ塩化ビニル (英: Polyvinyl chloride, PVC) などが使用されており、身近な例としては、封筒の糊部分に付けられていて、封筒を閉じる際に剥がすフィルムなどがあります。
離型フィルムに使用される離型剤は、一般的には樹脂製品の製造工程において、金型から製品を取り出しやすくするために予め金型の表面に塗布する薬剤です。フッ素系離型剤、シリコン系離型剤、油性離型剤、水生離型剤、粉末離型剤などの種類があり、対象材料の種類や環境によって使い分けます。
離型フィルムの使用用途
離型フィルムは、離型剤と同様に、樹脂製品などを金型で製造する際に、金型と樹脂の間に挟み込んで、成型後に樹脂が金型から外しやすくするために使用されています。ここで使用される離型フィルムは耐熱性に優れたものでなければなりません。
同様にプリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等の製造工程においては、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に使用されています。接着する部材同士を離型フィルムで挟み込んで熱プレスし、接着の後に離型フィルムを剥がします。
また、接着剤や塗料などの粘着性のある薬剤を使うパネルや紙類の製造工程において、お互いの部材が接着しないように、セパレータフィルムとしても使用します。
その他、離型フィルムは粘着用製造工程紙、製造工程紙、耐食ライニング、CFRPなどの成形用離形フィルム、産業用ロールカバー、薬品キャップ、無菌包装材、リサイクル対応ラベル用フィルムなどにも使われています。
離型フィルムの原理
離型フィルムは、PETやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどのフィルムの上に離型剤を塗布することで、粘着剤に対しても剥離しやすくなっており、非粘着性に優れています。
非粘着性とは、付着性の強い物質に接しても、強くは付着しない性質を持っていることで、それゆえに離型剤を表面に塗布したフィルムは剥離が容易になります。
非粘着性を有するためには、水や油を良くはじく性質、水や油や他の薬品と接しても混ざりにくい性質、そしてこの2つの性質を持つためにも科学的に安定した分子構造を持っていることが重要です。具体的にはテフロンフッ化樹脂が非常に高い非粘着性と耐高温性を持った物質とされており、離型剤として使われています。
離型フィルムの選び方
離型フィルムは様々な種類の製品が市販化されています。離型フィルムを選択する際には使用目的や使用環境にあったものを選択することが大切です。
工具や部材を販売する通販サイトで「離型フィルム」を検索すると、様々な材質の離型フィルムが、ロール形状やシート形状で販売されています。そして、ロールの大きさやシートの大きさにもバリエーションがあります。
それぞれの製品には使用目的が簡単に記されているため、合う製品を選択します。
離型フィルムのその他情報
離型剤の種類
離型剤には、フッ素系離型剤、シリコン系離型剤、油性離型剤、水性離型剤、粉末離型剤があります。
1. フッ素系離型剤
フッ素系離型剤は耐熱性や耐薬品性に優れているため、幅広い用途に使用されています。
2. シリコン系離型剤
シリコン系離型剤は、フッ素系離型剤に比べて安価で環境への影響が少ないため、食品や医療分野で使用されています。
3. 油性離型剤
油性離型剤は、粘着性が高いため、ゴムやプラスチックなどの成形加工に使用されています。
4. 水性離型剤
水性離型剤は、環境への影響が少なく取り扱いが簡単なため、家庭用で使用されています。
5. 粉末離型剤
粉末離型剤は、塗布が容易で残留物が少ないため、電子部品の製造に使用されています。