止めねじ

止めねじとは止めねじ

止めねじとは、ねじの先端を相手部材に押し付けて固定するねじです。

ねじの頭部分に座はなく、ねじ部だけが見える外観です。一般的な止めねじには六角穴が設けられており、六角レンチやLレンチを使って止めねじを回します。六角穴以外ではすり割り (マイナス溝) のついたタイプもあります。

止めねじの別称は「いもねじ」「ホーローセット」「ホーロー」「セットねじ」「六角穴付き止めねじ」などです。JISでは「六角穴付き止めねじ」としてJIS B 1177に規定されています。

止めねじの使用用途

軸に対してギアやプーリーなどの部品を固定するために使われます。例えばモーターの出力軸へのプーリーの取り付けや駆動軸へのギヤの取り付けなどです。多くの場合には軸と穴のはめ合いはすきまばめ公差を使用しますが、軸と穴の隙間分は止めねじにより片側に押し付けられます。したがって高精度で同軸度が必要な部品同士を止めねじで取り付ける場合には注意が必要です。

止めねじは調整する用途でも用いられます。例えば圧縮コイルばねとの組み合わせで止めねじによりばねを圧縮して力の強弱を調整でき、止めねじを回して部品を押すと部品の位置を微調整できます。

止めねじの特徴

止めねじは取り付けが簡単で、ねじが部品の外に飛び出さず、省スペースかつ経済的です。止めねじの先端形状には種類が複数あり、目的や用途で使い分けられます。

1. くぼみ先

くぼみ先の止めねじは最も多く用いられる一般的な先端形状です。先端がクレーターのような形状にくぼんでおり、相手材を円周部分で押さえて固定します。

プーリーを軸に固定する場合にはねじ先端が軸に食い込んで軸表面を変形させるため、プーリーの軸からの取り外しができません。付け外しを想定する場合には軸の止めねじ固定部の段落しやDカットをして使用します。

2. 平先

平先の止めねじは先端が平らで相手材を傷つけにくく、繰り返し使用可能です。

3. ダブルポイント

ダブルポイントはくぼみ先と同様の形状をしています。くぼみ部分に付いている突起が取り付け軸に確実に食い込むためゆるみ止め機能が強いです。

4. トガリ先

トガリ先の止めねじの先端は90°または120°の円錐形です。相手材にはザグリをするため、深くまでねじ込めて止めねじの位置を決められます。

5. 棒先

棒先の止めねじの先はねじ径よりも細い軸形状で、先端部分は平らです。軸形状部分を使って位置決めや回転止め用途で使用したり、切れている軸の溝の底部分に止めねじを固定する用途で用いられます。

止めねじの種類

止めねじの頭部の形状によって、六角穴付き止めねじ、すりわり付き止めねじ、四角止めねじの3種類に分類されます。

1. 六角穴付き止めねじ

六角穴付き止めねじは最も流通している止めねじです。頭部に六角形の溝があり、六角レンチで回転させます。強い力で締められて深い穴でもねじが回転し、部品の固定用ねじとして幅広く使用可能です。

2. すりわり付き止めねじ

すりわり付き止めねじの頭部には溝が一本あり、マイナスドライバーを用いてねじを回転させます。繊細な回転が可能で、調整用ねじに向いています。ただし強い力で締める場合には不向きです。

3. 四角止めねじ

四角止めねじの頭部は四角形で、メクラプラグのような形状です。通常スパナなどの工具でねじを回転させますが、手でつかんでも回転できます。固定用ねじや調整用ねじとして使われます。

止めねじの選び方

止めねじの材質には、鋼、ステンレス、非鉄金属などが主に用いられ、使用する部品に合わせて選択します。基本的には同種の素材を使いますが、異種の組み合わせでは注意が必要です。

止めねじと部品が異種の素材では腐食が発生する可能性があります。金属と樹脂の組み合わせでは強度の弱い樹脂側が損傷しやすいです。意識的に弱い力でねじを締め、ねじがゆるまないようにゆるみ止め剤を用います。

参考文献
https://www.mikipulley.co.jp/JP/Services/Tech_data/tech14.html
http://www.alpsseiko.co.jp/data/2%20tomeneji%20no%20shururi%20p4-p9.pdf
https://e-neji.info/%E5%85%AD%E8%A7%92%E7%A9%B4%E4%BB%98%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%AD%E3%81%98%E3%81%A8%E3%81%AF

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