ヒンジボルトとは
ヒンジボルト (Hinge Bolts, Rod End Bolts) とは、ボルト頭部が円形もしくは矩形で、中央に穴加工されリング形状のボルトです。
「でんでんボルト」「蝶番ボルト」「スイングボルト」も同義語として使われています。英語名では、「Rod End Bolts」の方が一般的です。
ヒンジボルトと同形状で、頭部リング穴が自在に回転することができる 「ロッドエンドボルト」 やボルト頭部がリング状のボルトで 「アイボルト (吊りボルト) 」 があります。しかし、アイボルトは機械などの筐体に取り付け、ローブやワイヤなどで釣り上げるための金具として使用します。
図1. 各ボルトの形状
ヒンジボルトの使用用途
図2. ヒンジボルト使用例 (1)
ヒンジボルトは、工場や発電プラントのダクト・設備内のメンテナンス時に、作業員が出入りするためのマンホールカバーの固定用に使用されています。また、バルブでは弁軸 (ステム) の流体漏洩を防止する軸封 (ステムパッキン) のパッキン押え (パッキングランド) の締め付け用に使用されています。
図3. ヒンジボルト使用例 (2)
ヒンジボルトは、蝶番 (ちょうつがい) と同じような役割を担い、その特徴から主に開閉を伴う装置や機械で、開閉部品の固定用として利用される場合が多いです。装置や機械とボルトを一体化できるため、ボルトが脱落せず、容易に装置や機械の開閉ができます。
ただし、ヒンジボルトは、ボルト頭部のリング穴径が小さく、アイボルトのように吊り具として使用はできません。したがって、限定的な使用用途になります。
ヒンジボルトの原理
ヒンジボルトは、ボルト頭部のリング穴に、ピンやボルトなどを差し込み、ヒンジボルトが回転 (スイング) するように取り付けます。ボルトのねじ部に、ナット、蝶ナットやノブ (ねじ穴付きのグリップ)などをねじ込み、被締結物を固定します。
通常は、ねじ穴からボルトを抜き取ると、ボルトは装置や機械本体と固定されていないため脱落することがあります。しかし、ヒンジボルトは、装置とボルトを一体化させ脱落せず使用することが可能です。
ヒンジボルトの種類
ヒンジボルトの種類は、下記のように種別することができます。
1. 頭部形状
図4. ヒンジボルトの頭部形状
ヒンジボルト頭部の形状には、円形、半円形、矩形のように複数形状があります。
2. 寸法
図5. ヒンジボルトの寸法
ヒンジボルトの寸法は、主にねじ外径 (D) 、全長 (L) 、ねじ長さ (S) で表されます。ねじ長さは、ねじ部が全ねじではなく、部分ねじの場合になります。リングの穴径は、ねじ外径で決まる場合と、あらかじめ小径の穴のみで、使用者が必要な穴径に加工する場合があります。
ねじ外径は、M6~M30ぐらいまで販売されています。
3. ねじの種類
国内で販売されているヒンジボルトのねじの種類は、主にJIS B0205 メートル並目ねじ、が使用されています。また、ねじの方向は、右ねじ左ねじがあります。
4. 材質
ヒンジボルトの材質は、主に下記のようなものがあります。
5. 表面処理
ヒンジボルトの表面処理は、主に鉄、炭素鋼、合金鋼などの防錆・耐腐食処理として施され、下記のような種類があります。
- ユニクロメッキ
- 三価クロメート処理
参考文献
https://www.nbk1560.com/products/machine_element/hinge/?SelectedLanguage=ja-JP
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/110302392450/?HissuCode=DNDN12-100
https://e-neji.info/