ガス充填機とは
ガス充填機とは、容器などにガス充填を行う装置一般を広く指す言葉です。
ガス充填機が指すものには、LPガスをボンベなどの容器に充填する装置や、エアゾール缶などへガスを充填する装置があります。また、密閉したシール袋などにガスを封入するパック包装機・真空ガス充填シーラーなどを指す場合もあります。特定の形状の製品を指す言葉ではないため、文脈によって意味するところの製品は大きく異なります。
ガス充填機の使用用途
前述の通り、ガス充填機には様々な製品があり、それぞれ大きく異なる用途があります。それぞれにおいて、様々な容器・袋・包装などにガスを充填することに使用されます。
1. LPガス
代表的な用途の一つがLPガスの充填です。LPガスとは、プロパン・ブタンを主成分に持つ液化石油ガスです。給湯器やコンロなどの家庭用及び業務用ガス機器に広く使用されており、供給元事業者よりボンベで各契約者に配送されます。LPガス充填機は、LPガスを家庭などで使用するためガスボンベに充填するのに使用されています。
2. スプレー缶製品
エアゾール缶製品を製造するためには専用のガス充填機が用いられます。エアゾール缶とは、所謂「スプレー缶」であり、気化した液化ガスまたは圧縮ガスの圧力を用いて、内容物を容器の外に霧状や泡状にして噴射する仕組みの製品です。
3. 包装用途
ガス充填包装機・パック包装機・真空ガス充填シーラーなどと呼ばれる種類のガス充填機は、食品や医療器具などを包装する目的で用いられています。密閉した容器に窒素や二酸化炭素などの不活性ガスを充填することで、食品の酸化防止や鮮度の維持が可能です。また、医療器具では、ごみや不純物などが付着するのを防ぎ、滅菌状態・無菌状態を保つため、注射器やシリンジなどの包装に使用されています。
ガス充填機の原理
1. LPガス充填機
LPガス充填機は、大きく分けて下記の工程でLPガス充填を行います。
- 充填機への容器搬入
- 充填ユニットの高さ合わせ・装着
- 充填起動
- 容器バルブ開栓
- 定量充填・過不足判定
- 容器バルブの閉栓
- 充填ユニットの離脱
- 充填機からの容器搬出
LPガス充填機には、全自動・半自動・手動などの区分があり、上記工程は製品によって全自動で行われる場合と一部ないしほとんどを手動で行う必要がある場合とに分かれます。どの場合でも、定量充填・過不足判定については、必ず機械の側で行われる機能です。これは、ボンベの容量は厳密に管理する必要があるためです。充填前にはボンベ内の残存量を測定し、充填後は規定量が充填されているかどうか、充填前・充填後の重量から計算します。
2. ガス充填包装機
ガス充填包装機・パック包装機・真空ガス充填シーラーなどと呼ばれる種類のガス充填機は、食品や医薬品などを入れたパック内の空気を抜いて真空状態にしてから、不活性ガスなどを充填して封入します。ガス充填をせずに脱気のみで真空包装を行うことのできる製品もあります。用いられる主な不活性ガスは窒素や二酸化炭素などです。内容物によって使用する不活性ガスも異なります。
ガス充填機の種類
ガス充填機には前述の通り用途によって様々なものがあり、その中でもそれぞれいくつかの種類があります。
1. LPガス充填機
LPガス充填機には前述の通り、全自動・半自動・手動などの種類があります。
全自動は文字通り全てを自動で行うことができますが、半自動では、バルブの自動開閉、残ガス計量、自動充填と容器搬出などが自動です。手動の場合は、機能がミニマムになっており、定量充填と過不足判定の機能のみとなります。
また、レイアウトには回転式と定置式があり、回転式では少人数で多くの充填機を扱うことが可能です。
2. ガス充填包装機
ガス充填包装機の充填方式には、主にノズル方式・チャンバー方式・ガスフラッシュ方式の3種類があります。
ノズル方式は包装一つ一つにガスを吹き込む方式で、ガス充填機の中でも比較的安価でコンパクトな装置です。
チャンバー方式は、複数を同時にガス充填できる製品があります。チャンバー内を脱気した後にガスを充填するため、ガス充填率が高く、酸素濃度を低く抑えることが可能です。
ガスフラッシュ方式は、ピロー包装向けの装置であり、筒状の包装容器内にガスを吹き付ける方法で充填します。充填スピードが速く、大型の装置が多いため、大量生産向けの方式であると言えます。
参考文献
http://www.iwatani.co.jp/gas-ene/energy/use_here_food.html
https://www.fujiimpulse.co.jp/docs/prdcts/_ctgry-indx/0005indx_vcm-gsflsh.html