杭打機とは
杭打機とは、建設工事の中でも基礎工事の際に使用され、地中に基礎杭を打ち込んだり、杭穴を掘ったりする工事用の機械です。
大型建造物の基礎杭や地盤の改良に至るまで幅広い用途で使用されます。インフラ整備にも欠かすことのできない建設機械です。運転席の付いた大型の重機やトラックの荷台部分に設置されているもの、手動で使用できる小型の機械など、さまざまな杭打機があります。なお、大型重機の場合は、目的に合わせてオーダーメイドで生産することも可能です。
杭打機の使用用途
杭打機は、地中に基礎杭を打ち込んだり、杭穴を掘ったりできる工事用機械で、建物や橋脚の基礎部分を施工する際の作業で用いられます。杭は道路やビル、工場、鉄道などの大型な建造物の基礎部分と地中にある支持層と呼ばれる地層をつなぐのが役割です。
大型構造物の支持層は、地中の何十メートルと深い所にあるため、重機でなければ作業ができません。また、杭打機のみでは杭打ち工事を終えない点も特徴です。杭穴が中で崩れないようにするセメント液を製造するプラント、既成杭を運搬・吊り上げるためのクレーン車、汚泥が発生した際に使用するショベルカーなど、複数の重機で施工しています。
杭打機の原理
杭打機はクレーン車のような姿をしており、自走できるタイプやキャタピラ式のタイプは現場までトレーラーで運搬されます。そもそも、杭は既成杭と場所打ち杭の2種類に分けられます。
既成杭は、何分割かした杭をあらかじめ製作しておいて現場に搬入し、繋ぎ合わせながら施工するものです。杭打機に備わった大型ハンマーを落とす打撃方法や油圧の力で圧入する方法があります。
場所打ち杭は、穴を掘り円筒状の鉄筋を入れ、掘った穴に直接コンクリートを流し込むものです。使用する杭や工法によって重機を使い分ける必要があります。
杭打機の種類
杭打機は前述した通り、大きく既成杭と場所打ち杭に分類できます。
1. 既成杭
埋め込み方式
杭穴を掘った後、セメント液を流し込みつつ、既成杭を沈めるプレボーリング工法や杭の先端から高圧水を噴射し、地盤を緩めながら杭打ちを行うジェット工法、杭の先端に刃があり、杭を回転させて打ち込む回転杭工法があります。
打ち込み方式
ドロップハンマー方式やディーゼルハンマー方式などがあり、ハンマーの強い打撃力を利用して杭を打ち込んでいます。打撃力を利用しているため、施工の際の作業速度が速いというのが特徴です。また、上下に振動を与えて地盤を緩くして打設する方法もあります。
圧入方式
油圧の力を反力として圧入機に搭載した荷重を利用して地中に杭を打ち込み、引き抜く際に発生した抵抗力を反力として利用し、連続して杭を打ち込む方式です。他の工法に比べて、振動や騒音が少なく、発生する汚泥の量も軽減することができます。
2. 場所打ち杭
場所打ち杭に使用される重機は、「アースオーガ」です。アースドリルで地中深くまで掘り進めながら、杭の穴が崩れないように粘性のあるセメント液を流し込みます。アースオーガにはクレーン機能もあり、1台で杭打ちを完了させられるため、複数の重機が入れないような狭い現場向きです。
また、既成杭では対応できない1m以上の径の杭もアースオーガによる場所打ち杭で対応することができます。
杭打機のその他情報
1. 建柱車
戸建て住宅の建設の際にも基礎工事があり、「柱状改良」と呼ばれるものがあります
。杭に似ている方法で、使用する重機は建柱車です。3トントラックの荷台部分にドリルが設置されており、穴を掘りながらセメントミルクと呼ばれる液体を流し込みます。その後、円柱状に固まる事によって基礎を支えます。
この建柱車はクレーン機能が備わったものもあり、柱状改良以外にも使用されます。例えば、電柱を設置する際、まず始めに建柱車で穴を掘ってそこにクレーンを使用し、電柱を建て込みます。
また、ゴルフ練習場のネットを支える鋼管柱を立てる際も同じように穴を掘り、大型レッカー車を使用し、鋼管柱を建て込んでいきます。
2. 油圧杭打機
手動で使用できる小型の杭打機も存在します。油圧杭打機は、建設現場の仮囲いと呼ばれる防護壁をしっかり支えるために、単管を杭として打ち込む時に使用されます。1人で持ち運べるほどの大きさながら、油圧で動くためハンマーを使用するよりも早く楽に打ち込むことが可能です。
参考文献
https://www.tobu21.co.jp/products/piling/
https://www.n-sharyo.co.jp/business/kiden/piledriver/
https://www.n-sharyo.co.jp/business/kiden/factory/