3次元CADとは
CADとは、製品設計をコンピューターによって支援する道具です。
「Computer Aided Design」の略称で2次元CADと3次元CADが存在します。この中で3Dの立体物を作製するCADを3次元CADと呼びます。
3次元CADの使用用途
3次元CADは大きく分けて2種類、建築用と機械用に分類されます。
その中でもハイエンドCAD、ミッドレンジCAD、ローエンドCADの3種類があり、それぞれ機能が多い順にハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドに分かれます。使用する目的や内容に合わせそれぞれの特性を理解したうえで使用することが求められます。
1. ハイエンドCAD
主な使用用途は自動車や家電など製品の部品点数が多く複雑な設計が必要となる場面です。
代表的なソフトはCATIA、Creo Paramatoric (旧Pro/ENGINEER) 、NXです。高価ですが3Dモデリング機能だけではなくシミュレーション機能も充実しており、日本の大手メーカーの多くはこれらのCADを使用しています。
2. ミッドレンジCAD
ハイエンドCADに比べると低価格で操作が容易ですが、シミュレーション機能などは劣る部分があります。しかし、主要な3Dモデリング機能はハイエンドCADに劣らず、設計でも十分利用できるソフトです。主に大学での研究用途や、部品点数が少なめで構造がシンプルな製品設計で利用されています。代表的なソフトは、SolidWorks、Inventor、TopSolid、Solid Edge 等です。
3. ローエンドCAD
安価なものから無料で利用可能なものまで様々なものが存在します。個人レベルにて趣味程度で使用するCADとしては十分ですが、複数部品のアセンブリや複雑な形状の作製を必要とする設計用途では、機能的に不十分な部分が多いです。
一方で、「オープンソースの3Dモデルデータを開いて簡単に修正して3Dプリントする」などの用途としては問題なく機能するため、本格的に製品設計は行わないが3Dデータを取り扱いたい方には十分なものになります。代表的なソフトはInventor LT、123d design、DesignSpark、Creo Elements Direct Modeling Express等です。
3次元CADの原理
様々なCADソフトが存在しますが、3Dモデルを作製する基本手順は以下となり、どのCADソフトにおいても共通です。
1. 平面を選択し、2次元のスケッチを描く。
2. 描いたスケッチを押出すことで3次元の立体を生成する。
上記手順にて作製した3Dモデルに対して同じ手順で変形したい平面を選択し、「押出し」や「切り抜き」などを繰り返すことで必要な形状を作製します。この「押出し」や「切り抜き」などのモデル作製機能については、各CADによって利用可能な機能に差があるため、用途に応じて最適な機能を持ったCADソフトを選択することが重要になります。
3次元CADのその他情報
1. 3次元CADの活用場面
3次元CADを活用する場面では、視認性に優れており2次元では表現が難しい設計や、構造の解析やクリアランスの確認を行う場面で使用されます。
また、使用するCADの種類によっては設計したパーツを組み合わせてアニメーションさせて実際の可動域や動作を確認することが出来ます。
2次元のCADは、難しい複雑な曲面のモデルも比較的容易に作成することができ、デザイン性を重視した設計を行えます。3次元CADを使用して作成したデータを利用し、組み立てや製造の指示書や仕様書を容易に作成することができます。
2. 3次元CADのメリット
3次元CADのメリットは、2次元のCADに比べ直感的にモデリングが行え、解析の情報もダイレクトに設計に反映することができます。
また、パーツ点数が多い設計を行う際も2次元のCADに比べクリアランスの確認も容易に行えます。
CAMデータや3Dプリンターを利用することにより試作品を容易に作成することができ、ランニングコストの大幅な削減を行えます。
3次元CADでモデリングした3Dモデルであれば形状を容易に把握できるため、専門の知識がない方にもわかりやすく形状を伝えることが出来ます。 大規模な設計を行う際には多人数での開発も少なくなく、他部門とのコミュニケーションも円滑に行え開発がしやすい状況を作りやすいでしょう。
3. 3次元CAD利用技術者試験
資格には、一般社団法人コンピュータ教育振興協会の定める3次元CAD利用技術者試験2級、準1級、1級の資格があります。3次元CADを使用するエンジニアの知識と技術が証明できる制度です。
参考文献
https://d-engineer.com/3dcad/cadsyurui.html
https://cad-kenkyujo.com/2020/02/28/cad-3/
https://d-engineer.com/3dcad/3dcaddekiru.html
https://www.acsp.jp/cad/3d.html