TOFカメラ

TOFカメラとは

TOF (Time-of-flight) カメラとは、光の飛行時間を測定することで対象物との距離を可視化するカメラです。

対象物との距離の計測に使用するのは主に赤外光です。照射した赤外光が物体から戻ってくるまでの時間を測定し、この時間から距離を算出しています。

通常のカメラでは対象物の二次元的な情報しか得られないのに対し、TOFカメラで撮影した画像には奥行きの情報が含まれているため、三次元的な情報を得ることが可能です。カメラのように画像で情報を取得する方法を「3D-TOF」、単純に距離だけを知る方法を「1D-TOF」と呼びます。

TOFカメラの使用用途

TOFカメラは以下のように産業・医療など幅広い分野で応用されています。

1. 人物・形状認識

TOFカメラは、人物や形状認識として利用されています。病院内にいる患者の動きをTOFカメラで認識し、見守る時に役立てられます。また、店舗に設置することで、人の動きを追跡し、人数をカウントする際にも活用可能です。

その他、TOFカメラは車の自動運転にも使われます。自動車が歩行者に追突しないように、TOFカメラで歩行者を検出することができます。

2. 物体検出・安全監視

工場等の生産現場では、物体検出や安全監視の目的でTOFカメラが利用されています。産業用ロボットや運搬機器に取り付けることで、物体の侵入を検知が可能です。

また、プレス機やロボット等の危険源にTOFカメラを設置すれば、接近しているのが搬送されている物体なのか、人物なのかの識別ができるようになります。農作物の観測として活用する場合は、サイズや形状を測定することで収穫時期の判断に役立てられます。

3. スマートフォンへの活用

TOF方式距離画像センサーのスマートフォンへの活用が進んでいます。TOF方式距離画像センサーをスマートフォンに搭載することで、プレイヤーの身体的動作を高精度に捉え、ゲーム内に反映させることが可能です。VRやARでの活用も期待されています。

また、ECサイト上で何か物を売買するときに、瞬時に物の寸法を測って表示することが可能になります。その他、TOFカメラはスマートフォンログイン時の顔認証機能にも使用されています。

顔の形状をTOFカメラで識別することにより、顔認証機能を実現します。一般的なカメラとは異なり、持ち主の顔写真を使っても単なる平面と認識するため、TOFカメラを搭載すればなりすましも防止可能です。

TOFカメラの原理

TOFカメラの原理

図1. TOFカメラの原理

TOFカメラカメラは主にレンズ、光を検出する検出器とこれに同期する光源によって構成されています。搭載された光源から照射された参照光を対象物で反射させ、検出器に到達するまでの時間 (飛行時間、英: Time of Flight) を測定しています。

光の速度は約30万km/sで不変の定数です。したがって、対象粒の距離は両者の積の半分であること分かります。

TOFカメラの種類

飛行時間の計測手法は大別して、直接TOF法と間接TOF法の2種類があります。

1. 直接TOF法

直接TOF法は、参照光としてパルス光を照射し、反射光のパルスを検出します。照射から検出までの時間を直接計測することで、飛行時間を計測する方法です。

参照光の照射と同時に、測定用回路の内部で既知の幅と周期を持った測定用パルス電流を発生させます。測定用のパルス電流と反射光により、検出器でパルス電流が発生する時間との差から飛行時間の測定が可能です。

2. 間接TOF法

間接TOF法は、参照光との位相のずれから距離を求める方法です。光源から出る連続波の振幅を変調して周波数が既知の正弦波を生成します。

これを参照光として対象物に照射し、対象物からの反射光の位相のずれを検出します。位相のずれは正弦波の周波数を用いて時間差に変換することが可能です。これにより、飛行時間を算出することができます。

具体的には、参照光の1周期に対して反射光の強度を4回測定します。これを離散フーリエ変換することによって、参照光との位相のずれを求めることができます。

TOFカメラのその他情報

TOFカメラのメリット

TOF方式のメリットとしては、小型で、CPU負荷が少なく、暗い所で利用することが可能ということが挙げられます。それぞれのメリットを以下で説明します。

1. 暗所でも利用できる
TOFカメラは、可視光ではなく赤外光を利用しているため、暗下で使用することができるのがメリットです。 周囲に光源が全く無い状況下でも物体の立体的情報を得ることができます。

2. 小型でCPU負荷が少ない
TOFカメラは、シンプルな装置構成をしているので、ストラクチャードライトの方式と比べて、小型化が可能になっています。また、CPU負荷が少ないということも魅力的です。

製造現場で使用される生産装置にTOF方式のセンサーを組み込むことを考えた場合、CPU負荷が少なければ遅延が生じるリスクを減らすことができ、安定的な生産システムの構築を行うことが可能になります

3. 低価格な製品もある
TOF方式のカメラは高価な製品だけではなく、スペックの違いによっては低価格な製品もあります。スペックによりTOFカメラの価格は大きく異なるため、購入前には必要なスペックと照らし合わせて検討することをお勧めします。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej/70/11/70_880/_pdf
https://news.mynavi.jp/article/20200320-smartphone_word/
https://www.inrevium.com/pickup/tofcamera/#02
https://emb.macnica.co.jp/articles/5744/

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