磁気センサとは
磁気センサーとは、磁気を検知するセンサーのことです。
永久磁石・電磁石から生じる磁気や地磁気を検出する際に用いられます。磁気センサーでは磁気のベクトル(大きさや向き)を検知できます。
磁気センサの使用用途
磁気センサーは近年では、民生品から産業機器まで幅広く使用されます。
代表例はスマートフォンです。地図アプリや方角アプリの方向検知などに使用されます。
また、産業・研究分野では磁気を発生させる物質の検査・検知に使用されることが多いです。以下に検出対象例を列挙します。
- 地球から発生される地磁気検知
- 岩盤内における鉱物の磁気検知
- 筋肉や脳から発生される生体の磁気検知
- 紙幣の偽造を防ぐための磁性インク検知
- 構造物の非破壊検査に使用される磁気検知
- 電流が生み出す磁束検知
上記を検出することで、以下の製品に応用することが可能です。
磁気センサーの原理
磁気センサーは磁束によるローレンツ力を電気的信号に変換して磁気のベクトル (大きさ・方向) を検知します。
磁気センサーにも種類がありますが、ホールエレメントを用いたホールセンサーと磁気抵抗エレメント (MR) を用いた磁気抵抗エレメントセンサーに大別可能です。
ホールセンサー
ホールセンサーはホールエレメントと垂直磁束の間に生じるホール効果を利用して磁気ベクトルを検知します。ホール効果とは磁束に対して直角の電流が生じたとき、磁束と電流に対して90度の方向に起電力が生まれる現象です。
MRセンサー
MRセンサーは磁気を感じ取ると抵抗が変化する磁気抵抗エレメントを利用して磁気ベクトルを検知します。
磁気抵抗エレメントには半導体磁気抵抗エレメント・異性磁気抵抗エレメント・巨大磁気抵抗エレメント・トンネル磁気抵抗エレメントの4種類があります。
磁気センサーのその他情報
1. 磁気センサーとコンパス
コンパスは方位を知るための道具です。古くから永久磁石が使用されてきましたが、近年では永久磁石の代わりに磁気センサーを用いて方位を算出する電子コンパスが普及しています。
電子コンパスはスマートフォンにも搭載されています。スマートフォン内での役割は、方角アプリによる方角検知や地図アプリでのナビゲーションなどです。
地図アプリの多くはGPSを用いますが、GPSの位置検出精度は数メートル単位です。そのため、ナビゲーションとして使うには十分ではありません。また、電波状態の悪いエリアではGPS信号が受け取れない場合もあります。
これらの問題を解決するために電子コンパスと組み合わせて方位や進行方向を検出し、GPSの誤差を補正しています。また、常に進行方向が上を向くように地図表示を調整することも可能です。
なお、電子コンパスは微弱な地磁気から方位を算出するため、スピーカーなどの磁性パーツから受ける影響を補正する技術も使用されています。
2. 磁気センサーと自動車
自動車の安全性や快適性を高める制御システムを実現するために様々なセンサーが搭載されていますが、磁気センサーは信頼性やコスト面で有利です。主に以下の用途で使用されます。
- 車速検知
- エンジン回転速度の制御
- ABS (Anti-lock Breaking System)
- パワーステアリング
- カーナビゲーション
近年は自動運転技術が注目されており、AI技術を活用した実現に向けて技術開発が進んでいます。まだまだ多くの課題がありますが、これらを解決する方法として磁気マーカーシステムが注目されています。
磁気マーカーシステムとは、完全自律型の自動運転とは異なり誘導型のシステムです。道路に設置した磁気マーカーを車両の磁気センサーで検出して、現在地を特定し進路を制御する運転支援システムを指します。路線バスでの自動運転実現に向けて実証試験が開始されています。
参考文献
https://www.akm.com/jp/ja/technology/technical-tutorial/basic-knowledge-magnetic-sensor/magnetic-sensor/
https://go.alps.jp/l/506151/2018-09-03/sx9dz
https://www.akm.com/jp/ja/products/electronic-compass/technical-resource/
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1805/30/news038.html
https://jidounten-lab.com/u_autonomous-udo
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/84/9/84_769/_pdf/-char/ja