ガラス塗料

ガラス塗料とは

ガラス塗料とは、石英ガラスを溶媒に溶解させた塗料です。

常温でも液体であるため、常温下での塗装および硬化が可能なことが特徴です。また、さまざまな素材に塗装できます。

ガラス塗料の使用用途

ガラス塗料は、常温下での塗装が可能な上、耐久性や耐候性に優れることから住宅の外壁や屋根の塗装によく使用されています。また、ガラス塗料は、木材やコンクリート、モルタルおよび金属など多くの素材の塗装可能であるため、家の内壁や水回りのコーティングにも使用されています。

ガラス塗料の原理

ガラス塗料は、石英ガラスを溶媒に溶解させた塗料です。この塗料中のガラスを形成する成分の加水分解と脱水縮合が促進されることで硬化が起こります。

すなわち、ガラスと同じ主鎖に結合するオルガノポリシロキサン基が加水分解し、ヒドロキシ基に変化します。さらに、変化したヒドロキシ基が残存オルガノポリシロキサン基と脱アルコール反応することで硬化する仕組みです。

ガラス塗料の種類

ガラス塗料は、一般的には完全無機質ガラス塗料を指します。ただし、有機質配合ガラス塗料も含む場合もあります。

1. 完全無機質ガラス塗料

完全無機質ガラス塗料とは、原料の石英ガラス含有量が99.7%と非常に高い塗料です。完全無機質ガラス塗料は有機物を一切含まないことからガラスと同等の性質を持ち、経年劣化や可燃性の心配がなく、半永久的な耐久性と不燃性を有します。また、ガラスの特性を有するため、撥水性や耐透水性、耐薬品性および耐防汚性にも優れています。

この塗料を建築物の外壁塗装や屋根の塗装に使用すれば、建築物の耐候性や耐熱性、耐透水性および耐防汚性、防カビ性も確保可能です。また、透明性が非常に高い薄膜を形成し、高級感を演出できます。

さらに、この塗料では希釈に有機溶剤ではなくアルコールを使用するため、人体や環境に影響を及ぼしにくいというメリットもあります。ただし、通常の塗料に比べて高価なうえ施工にも時間がかかるため、工事費が高価になるという点がデメリットです。

2. 有機質配合ガラス塗料

有機質配合ガラス塗料は、原料に無機質と石油化学物質を使用している塗料です。ガラス塗料ではあるものの有機物を混合しているため、有機物が酸化し塗膜は劣化していきます。

全無機質ガラス塗料の持つ特性は備えておらず、ガラス塗料の安価版と位置付けられています。

ガラス塗料のその他情報

1. ガラス塗料の短所

ガラス塗料は外壁の塗装に好適ですが、シーリングが使用されている外壁には向いていません。シーリングの耐用年数は7年から10年程度と言われています。そのため、シーリングを使用した外壁ではシーリングの耐用年数に合わせてメンテナンスが必要です。

一方、ガラス塗料の耐久年数は約20年と言われています。すなわち、シーリングを施した外壁の上にガラス塗料を塗布した場合、ガラス塗料の耐久性が高いうちにシーリングのメンテナンスが必要になります。結果、価格も工事費用も高価なガラス塗料を十分活用する前に塗り替えなければならないのがデメリットです。

さらには、ガラス塗料の特性上、重ね塗りが難しいこともデメリットとして挙げられます。そのため、将来の塗り替え回数などを検討した上でガラス塗料を使用することが重要です。

2. ガラス塗料の仕上がり

ガラス塗料は木工にも使用可能です。ガラス塗料は石英ガラスを溶媒に溶解させた液状のものであることから、木の繊維に浸透して硬化します。そのため、木肌の味わいや質感を残したまま塗装できるメリットがあります。

木製であれば屋内外問わず、同じような質感で塗装できることもメリットの1つです。浸透させることで、内部から生じる腐食やカビから木材を保護できます。また、表面にも析出することから水やキズおよびダニなどからの保護も可能です。

3. 建築における白華現象

木製の建築物が多い日本では、建築物に使用される木の内部に燃焼を防止するための防炎剤を含浸して使用するのが一般的です。しかしながら、この防炎剤には吸湿性の高い薬剤が多く、梅雨のような高湿度環境にさらされることにより表面に析出して白く固まる「白華 (はっか) 」と呼ばれる現象が起こります。

しかし、ガラス塗料を使用すれば湿度が高くても析出して白華現象を起こすことがなく、この点からも期待されています。

参考文献
https://gaiheki-tatsujin.com/9477
http://c-craft-88.jp/glasscoating.php
https://gaihekitosou-hotline.com/glass-tosou/
https://gaihekitosou-hotline.com/glass-tosou/

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